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第二百十五話 少し違います

 読んでくださりありがとうございます。クロンの弟子についての話の続きです。


「ほう、傭兵なのに詳しいんですね。ですが、少し違いますな。魔導の実験に失敗したのはルーロという魔導士ですよ。かつての国では有数の魔導士でした。しかし魔力を複製する実験をしていたところ魔力の制御が出来なくなり国中に魔力が溢れた……。それがルーロという魔導士が起こした事故です」


「へぇ、つまりそのルーロという魔導士は実験に失敗したって事ですね。でも実験に失敗したくらいで国中に魔力が溢れることになるんですか?」


「はは、それも少し違いますな。ルーロは実験を失敗したのではありません。出来すぎたんですよ。本来なら魔力の複製が出来ず魔力が萎んで無くなるのが通説でしたが、その時は何倍にも複製が出来てしまい魔力を制御していた機械のキャパシティを大きく超過しましてね。それで国中に魔力が溢れてしまったという訳ですよ」


 ……なんだか難しい話になって来たな。そもそも火の国の近くにもう一つ国があるなんて知らなかったし魔導士の事も知らなかったな。ところでそれじゃあクロンの弟子ってのはどういう話なんだ? 今のところルーロって言う魔導士の話なんだけど……。


「そしてルーロにはまだ若い子どもが居ました。それがクロンという男です。彼はまだ若かった故にルーロの犯した罪に問われることはありませんでしたが彼は魔導士を引退したと風の噂で聞くようになりました。そして魔導士と言う名が消えコマンダーと言う名が定着し始めた頃にまことしやかに囁かれるようになったのがクロンの弟子の噂だ……と言う訳です。彼は子どもを作らなかったようですが1人弟子を作ったと言う噂です。そもそもクロンがどこで何をしているのかも分からないから根も葉もない噂レベルの話ではあるのですが、何故だか皆その噂を誰かしらから聞いた事がある不思議な話なんですよ。クロンの弟子について私が知っているのは以上です」


 なるほど、分かったような分からないような。そもそもクロンって人が居るとして今何歳くらいなんだろうな。まあ噂程度の話ならこれくらいの情報で良いのかな。……ところでなぜクロンの弟子について話せばレイテントに連行されるんだろう? ……聞いてみるか。


「あの、アグエラさん。さっきこの話をする時レイテントの人がいれば連行されていた……と言ってましたがどうしてなんですか? 別にレイテントに関する事でも無いようですし、分からないんですけど」


「あぁ、それの説明がまだでしたね。レイテントのトップがコマンダーを毛嫌いしているようなんです。それで同じ考えの今の国王との結びつきが強いのではと噂される程です。そしてレイテントはクロンの弟子など昔の魔導士の話も警戒しておりこの話をする者を処分しようと躍起になっているんですよ」


 グリオの話はやはりあやふやでところどころ間違っているようですね。しかしこのアグエラという人物はやけに詳しく知っていますね。噂へのアンテナが非常に優れているんでしょうか。

 またこのクロンの弟子という話は結構重要な話のようでレイテントがムーロサッケルで躍進している背景でもあるようです。しかし国王がコマンダーを毛嫌いして良いんですかね。まあルーロの時の事件が再発すれば国が滅ぶからという理由が分からないでも無いんですが……。

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