第二百八話 グリオに導かれ
読んでくださりありがとうございます。グリオと一緒にムーロサッケルへ向かうようです。
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タマナの林
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グリオとジャロがバイクに乗ってシャダル砂漠を突っ切り、タマナの林に差しかかったタイミングでグリオがバイクを停め片付けだした。どうやらバイクはここまでのようだ。
「さてと、今からは徒歩でムーロサッケルへ向かう。似たような木ばかりだから道が分かりにくいんでな、覚えておくと次来る時便利だ」
「へぇ、それじゃあグリオさんはもう道を覚えたってことですね。僕も早く覚えないとな」
「はは、ムーロサッケルへはまだ1回来ただけだから道なんて覚えてねぇよ。オレの場合は勘だ勘」
……えぇ、勘だったらグリオさんの道覚えたって間違っている可能性があるってことじゃないか。それに勘でちゃんとムーロサッケルへ着くのか?
「そう不安そうな顔をするな。別に勘でも着かない事は無い。これでも遅刻はした事が無いんだぜ?」
そう言うとグリオはどんどん林の中を進んで行った。ムーロサッケルはかなり寒い所なのだろうか林の葉には僅かに雪が積もっており、2人の口元からは白い息が漏れていた。
「さて、もう見えたぞ。あれがムーロサッケルへ続く関所だ」
「もう着いたんですか? バイクを途中まで乗ったとは言えムーロサッケルまでは結構早いんですね」
「うーん、少し違うな。これはムーロサッケルへと続く関所だって言ったろう。まだムーロサッケルへは着かない。 」
「へ?」
「ムーロサッケルへはここから山に登る。あの国は山の上に造られた国でな。派遣が盛んなのもその理由からだ」
そう言うとグリオは関所へさっさと並んで行った。慌ててジャロがグリオの後を追いかけて関所へ向かった。ムーロサッケルへ行く人は少ないのだろうか、グリオの前には人の影は1つも見当たらなかった。
「こちらムーロサッケル南関所になります。身分証の提示をお願いします」
「……どうぞ」
「……ええと、グリオ様とジャロ様ですね。確認できましたありがとうございます。……しかしコマンダーの方がここを訪れたのは久しぶりの事ですな。コマンダーには何も無い所だと思いますがね」
門番がそのような事を言うのはあまり無い事であった。そもそも関所を通る事に対しては制限が無いためさまざまな人が関所を通るはずである。まさかコマンダーであるだけで目立つとは思わなかったがグリオは一切動揺を顔に出さなかった。
「へぇ、色々な人が往来してたって聞いてたけどな。なんだ、国の方針でも変わったのか?」
「いや、確かに国の方針も変わってはいますがここにはさほど影響は無かったですね。他の人ならそこまで問題はありませんがコマンダーの方だと少々問題が出るかもしれません。そこまでして行く用があるなら別ですが」
「コイツの修行にって思っていたんだがな。まあ行くだけ行ってみよう」
グリオはジャロの肩を叩きながらそう言った。コマンダーでは目立つかもしれないがひとまずはムーロサッケルへと行くことは出来そうである。しかしジャロはグリオの修行という言葉が引っかかるようだ。ジャロの視線を感じてかグリオは聞いてもいないのに弁解を始めた。
「ムーロサッケルはコマンダーのルーツでもあるから修行しに行くで誤魔化せるかなと思ってな。まあどうせ修行みたいなもんだろ。これから険しい道になる気を引き締めて行くぞ」
コマンダーのルーツねぇ……。まあ何かしらはあるんだろうけど、ムーロサッケルに有るとは知らなかったな。……なるほど、これは確かにこれは険しい道だ。
ジャロの目の前に広がっていたのは切り立った崖のような山肌に沿うように造られた僅か人2人分有るか無いかくらいの狭い道であった。
グリオがムーロサッケルへの道を決めています。ムーロサッケルへ行ったことの無いジャロは彼について行くしかありませんがそれにしても険しい道ですね。それに道中でモンスターに出会ってないのは少し変です。いつもなら数回戦闘が挟まれてもおかしくは無いのですが……。