第二百五話 雑貨屋に行く前に
読んでくださりありがとうございます。さて、ジャロは雑貨屋に行って所持アイテムを充実させるようですが……。
こうして改めて見るとポーションや携帯食料の類はまだそこそこ余裕はあるな、もちろん買い足すけど。状態異常の回復手段が無かった事が一番手間取った原因だな。絶対買わないとね。しかし潜行の書何個目だよとか思っていたけどそれよりゴブリンの牙の方が多いな。いつの間に4個も持っていたんだ? それじゃあ雑貨屋に向かいましょうかね。
ギルドを出て雑貨屋へ行こうとしたジャロを呼び止める声がした。振り返るとそこにはマルコの姿があった。マルコ曰くどうやらスートがジャロに用があるのだとか。ともすると急用なのかもしれないのでジャロは一旦雑貨屋へ向かうのをやめてスートの所へ行くことにしたのである。
「オーナー、言われた通りジャロを連れて来ました」
「ご苦労、下がってて良いよ」
マルコはスートのその声を聞くとするりとどこかへ去っていった。正直ジャロにはスートに呼び出されるような事に覚えは無い。イマイチ要領が掴めない顔をしながらジャロはスートの顔を見つめた。
「なんだい? 僕の顔に何か付いてるかい?」
「いや、どうして呼ばれたかがわからないだけで顔には何も付いてません」
「なるほどね、それはそうだ。だってマルコにも何も伝えずに君に来てもらったからね。君にレイテントの事で少し頼み事があってね」
どうやらスートはレイテント絡みの要件があるようである。確かに以前ジャロはレイテントがもたらしたトラブルをギルドのクエストとして解決しているためレイテント絡みの要件ならジャロに話が行くのはわからないでもない。しかしあくまでそれはコマンダーとしてである。傭兵訓練所のスートから頼まれる事は本来は無いはずである。
「……レイテントですか?」
「そう、レイテントだよ。レイテントの連中の中にはところどころコマンダーが混じっているのは知っているかな?」
「……はい。以前幹部とも戦ったことがあるので」
ジャロのその言葉にややスートは目を丸くさせた。どうやら☆5クエストオアシスの危機での出来事はスートはそれほど詳しくは無かったようである。
「へぇ、君が僕に変装した不埒者を撃退したまでは知ってたけど、幹部まで撃退してたのかい。それは是非今からする話に乗って貰いたくなったな」
「今からする話……と言いますと?」
「実はねもうすぐこのカードから傭兵とコマンダーをムーロサッケルに派遣することにしたんだよ」
「ムーロサッケルと言うと……光の国でしたっけ?」
「そう光の国ムーロサッケルさ。あそこは国王が変わってからレイテントがかなり躍進しているんだけど元々我々も派遣していてね。どうも連中の躍進がきな臭くてさ。今回はコマンダーも派遣して向こうの実情を探ろうかと考えているんだよ。しかし我々にコマンダーの伝はさほど無くてね。勿論ギルドの協力を得て何人かは斡旋してもらえる手はずなんだが、馴染みのコマンダーであるジャロ、君にも参加してもらいたくてね」
「ええと、それはクエストって言う事になるんですか? それとも個人的なお願いって感じですか?」
「やはりコマンダーならそこが心配になるんだろうね。勿論傭兵に支払う報酬と同じものをクエスト達成報酬として渡すつもりだよ」
「へぇ、そうなんですね」
「まだ派遣はしないからさ、ゆっくり準備して僕に声をかけてくれれば良い。この話受けてくれるかい?」
アムニスヴェーレを離れてムーロサッケルに行くみたいですね。光の国ムーロサッケルは国王が変わってから何やら問題が生じていそうですね。何かトラブルに巻き込まれないと良いのですが。