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第百四十七話 キャロットにはカフェインが足りない

 読んでくださりありがとうございます。前回最後に声をかけてきたのはキャロットなんでしょうか? それにしてはやややさぐれているように思いますがね。


 ジャロの背後から突然声がしたため驚いて振り向くとそこには探していたキャロットの姿があった。最初に出会った頃と比べてやや顔に生気がなくなっているような気がするのは気のせいであろうか。眉間には最早取れないのではと思える程深く皺が入り、その手には何か飲み物の缶のようなものが3本ほど握られていた。……見た目からしてエナジードリンクの類ではないだろうか。


「そこにおられるのはジャロ様でしたか、そういえば私がどこにいつもいるか伝え忘れてましたね、ここは私の控え室だった場所です、ほんの半日まではね」


「……控え室だったと言いますと?」


 ジャロが率直な疑問をキャロットに投げかけるとキャロットは山のように積み上げられた書類のうちの1つを手に取ると話し始めた。


「この書類の山は我々ギルドが保有している機密事項です。元々はシロガネが管理しておりました。そのためギルドはカテゴライズして保存のみしておりましたが、それではシロガネが引退をもしする場合の引き継ぎが大変なのです」


「なるほど……」


「ですから、引き継ぎを簡略化するためにデータで保存してみてはどうかとシロガネに進言した……までは良かったのです」


 キャロットの言葉を受け改めて書類の山をジャロは見つめた。確かにデータに保存すれば改良もしやすく管理もしやすいだろう。しかしそれはデータで存在するから出来る芸当である。紙面にしか存在しないものをデータに起こすことは並大抵のことではない。ましてやこの世界のデータというものがどこまで進化しているかによって作業量が格段に変わってくるのである。


「保存……。この量をですか? ちなみに聞きますが、どういった方法でデータに起こすんです?」


 そう尋ねたジャロを見つめるキャロットの目は死んだ魚のようであった。


「方法は聞かない方が良いわ。絶望するのは少ない方が絶対に良いもの」


 そう言うとキャロットはカフェインを身体に注入しながら椅子にどっかりと座った。当初のイメージとはまるで違うやさぐれた姿にジャロはやや戦いたのであった。


「それで、ジャロ様は私に一体何を聞きにこられたんです?」


「あぁ、えっとですね……、アムニスヴェーレ周辺の砂漠にある洞穴のマップなんかは無いのかなと思いまして」


「あぁ、それでしたら既にデータに起こしたものがありますね」


 そう言うとキャロットは机の上の端末を操作してジャロにその画面を見せた。そこには確かにスレド砂漠とシャダル砂漠にある洞穴のマップが記されているようである。


「ふむふむ、なるほど。じゃあスレド砂漠にはダマッカの洞穴の他にあと3箇所あるんですね」


「また聞きたいことがあればいつでも聞きに来てくださいね。恐らく当面はこの部屋にいるはずですので」


「参考になりました、ありがとうございます」


 目当ての情報が手に入ったため上機嫌でジャロは部屋を出ていった。それをキャロットは見届けると中断していた作業に取り掛かり始めた。早速1枚目の資料を手に取るとデータに起こすために端末に手を伸ばしたキャロットの手は途中で止まった。


「……はぁ、やっぱり疲れてるのかしらね。そもそも洞穴の場所なら門衛が詳しく地図にして持っているじゃない。……まあ次にジャロ様がギルド来た時に受付から伝えておきましょうかね」



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