第百三十一話 国王ウェザリア四世
読んでくださりありがとうございます。アムニスヴェーレの国王とご対面です。一体どんな人物なのでしょうか。
ジャロが扉を開けて中へ入ると部屋の奥に扉よりさらに重厚にあしらわれた装飾のチェアに王冠を被った人物が足を組んで座っていた。恐らくこの方が国王なのだろう。ディアノルト国王は思わずジャロが爺さんだと言ってしまうほどに歳を取っていたがここに座っている人物は立派な髭こそあれどお爺さんとは決して言えない程に若さが感じられた。
「ふむ、よくぞ参られた。王殿へようこそ、私がアムニスヴェーレ国王であり、この王殿の主であるウェザリア四世である」
やはり若さが感じられたのは間違いではないのであろう。ウェザリア四世の声はよく通り力強いものであった。その声にやや気圧されたジャロであったが用件を伺うことにした。
「はじめまして国王様。私コマンダーをしておりますジャロと申します。何故私をお呼びになられたのでしょうか?」
かしこまりながらジャロはウェザリア四世に尋ねた。そしてようやく国王の口から出てきたその内容はジャロには思ってもみないことであった。
「まずは礼だな。先刻の護衛クエストだがうちの娘が世話になった。良き働きだったと娘も言っておった。……あぁ、娘だけでは君にはわからんな、娘とはダリアの事だ」
「護衛クエストでしたらば申し訳ありませんでした。結果としてダリア様に怪我を負わせ……」
「それは構わん。むしろ拉致された時点で君への依頼の範疇は超えておるのだからな。ギルドへの依頼を間違えたこちらの責任である故、君は気にしなくても良いとダリアも言った筈だ。それに本来であればその後の処理をするのはこちら側の問題なのだからその後賊の討伐、ダリアの救出までしてもらったのだから礼が必要だと私は判断したまでだ。ダリアからも受け取ったとは思うが私からも礼をさせてくれ」
『“竜の兜“を手に入れた』
「それは竜の兜と言ってな、仲間モンスターへの装備品だがこの国に伝わる貴重なものだ。是非役立ててくれ」
「……ありがとうございます」
「さて、君に折り入って頼みがある。頼みと言ってもすぐに実現しろと言う訳ではないから安心してじっくりと取り組むが良い」
まあ礼だけで終わるんならギルドに送って終わりだもんね。まだ何かあるのは薄々わかってたけど国王からの頼みかぁちょっと気乗りしないな。
「君は最近ムーロサッケルに出来た傭兵訓練所の噂を知っているかな?」
「ええと、レイテントのことですか? それならスートさんから聞きました」
「ほう、既に知っておるか。ならば話が早い。レイテントは新興の傭兵訓練所だがどうも存在がきな臭い。あの国で女王が君臨してからすぐに誕生したかと思うと瞬く間に力をつけたのだが、ついにこの国にも干渉するようになった」
「干渉……と言いますと?」
アムニスヴェーレの国王は思ったより若い人物なんですね。しかしスートから聞いてはいますがムーロサッケルの傭兵訓練所の話をなぜアムニスヴェーレの国王がコマンダーであるジャロにするんでしょうか。