第百三十話 案内役のトーレス
読んでくださりありがとうございます。どうやら王殿に行くようですね。ジャロは無事に案内役の人と合流できるでしょうか。
「おっと、丁寧にこりゃどうも。それでは改めて、俺はここアムニスヴェーレ中心にコマンダーをしているトーレスです。どうぞよろしく。ギルドから君を王殿へ案内するよう命じられているのでやって来ました。それじゃ早速行きますか」
どうやらコマンダーであるらしいトーレスはギルドが手配した案内役で合っていたようだ。そして流れるように王殿への案内が始まったようである。トーレスの案内に従って歩きながらジャロは気になる事をぶつけてみることにした。
「あの、トーレスさんってコマンダーなんですよね。こう言った案内ってのはクエストなんですか? それとも別の何かなんですか?」
ジャロがトーレスに質問を投げかけるとトーレスはこちらに顔を向けながら笑って答え始めた。
「いかにも俺はコマンダーだよ。それからこれはまあクエストじゃあないね。正式にギルドから依頼を受けた訳じゃないし、報酬金も謝礼もないしね。ギルドからのお願いってところかな。別に無視してもいいんだけどやっぱり人助けになるならやっておきたいじゃない?」
なるほど、トーレスはギルドからかなり信頼されているようである。この案内も言うなればボランティアと言ったところであろうか。最初の喋り方からして俗っぽさを感じたが、案外トーレスは実直な人物のようである。
「さて、着いたよ。ここが王殿アムニスヴェーレだよ」
「ありがとうございます」
「どういたしまして。さ、早く行きな。国王がお待ちしてるぜ」
トーレスの案内で無事王殿にたどり着いたジャロはやや緊張しながらも王殿へと足を踏み入れたのであった。
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王殿アムニスヴェーレ
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ジャロが王殿へ入ると黒い服をきた人が3人ほど入り口付近に待機していた。服装からして執事さんだろうかとジャロが思っていると奥にいた執事がジャロの目に入ってきた。その人物はジャロも良く知る人物であった。
「ジャロ様、しばらくぶりでございます。国王様がお待ちですので私がご案内いたします」
「アリエテさん、ありがとうございます、助かります」
見知った人物の登場にジャロは少しばかり安堵したようだ。ジャロはアリエテの案内に従い王殿の奥へ進んでいった。王殿と言うだけあってかなり広い建物であるようだ。そのため王殿までの案内だけでなく王殿からも案内が必要に違いない。そういう意味ではアリエテの存在はとてもありがたいとジャロは感じていた。そうした内にジャロは一際大きく重厚な扉の前に案内されたのである。
「ジャロ様、こちらの扉の奥に国王様がいらっしゃいます。国王様お呼びのコマンダーが参りました。……それではジャロ様、お入り下さい」
ここまで来てやっぱり入りませんはおかしな話だろうと意を決してジャロはその重厚な扉に手をかけた。見た目とは裏腹に扉自体には重さはさほどなく国王がいらっしゃる部屋はすんなりとジャロを迎え入れた。
次回アムニスヴェーレの国王との対面です。一体どんな展開が待っているのでしょうか。