第百二十一話 ダリアからの呼び出し
読んでくださりありがとうございます。騎士団はファトーレらのことを野蛮人と言ってましたが確かにそうですね。
その言葉にダリアは洞穴の入り口近くに王殿の馬車が停めてあるのを確認してからその男に向かって言い放った。
「アリエテたちが賊を撃退したわ。賊は拘束してあるから責任持ってアムニスヴェーレに連行しなさい。アリエテ、賊を彼らに渡しなさい」
「かしこまりました、お嬢様」
ダリアの言葉を受けアリエテが拘束されたポール、ピエール、ファトーレそして拘束されていないマルコを男に引き渡した。拘束されていない男が混じっていることに気づいた男は要領を得ない顔をしていた。ダリアもそれをわかっているのか言葉を付け加えた。
「拘束されてないその男は負傷者よ。今回の出来事には関係ないけれど一緒に連れて帰りなさい」
「かしこまりました」
騎士団がファトーレらを連行していくのを見届けたジャロたちもまた馬車でアムニスヴェーレに向かうことにした。モンスターの出現に備えるためジャロが2階へと上がろうとするとアリエテがそれを制止したのである。
「ジャロ様、もうこの辺りのモンスターは大人しい性格のものが多いですから索敵は結構でございます。テスタにさせますのでジャロ様はご安心ください」
ジャロにはアリエテのその申し出の真意がわからなかった。テスタが索敵をするのもよくわからない上に自分がしなくても良い理由もわからなかったからである。
「……お嬢様よりジャロ様へお話があるようですので1階にいらしてください」
そう言うとアリエテはジャロに1階部分に来るよう促した。相変わらずその真意が掴めないジャロは促されるまま1階部分へと繋がる扉を開けた。扉を開けたジャロの目に高級そうな座席に座りながら目をつぶっているダリアの姿が映っていた。
「……お嬢様、ジャロ様を連れて参りました」
アリエテの声にダリアは目を開けるとまっすぐにジャロを見つめた。
「ジャロ様こちらへお座り下さいませ」
促されるままジャロはこれまで座ったことの無い座席の質感にやや戸惑いながらも座った。話があるとは聞いてはいるがどんな話かが見当もつかずジャロの額と背筋には嫌な汗が流れていた。
「それで……ええと、ダリア様。話と言うのは一体どういったものでしょうか」
「……まず、ジャロ様には謝罪をせねばなりません。この度は申し訳ありませんでした」
その一言はジャロにとって全くの予想外であった。なぜなら護衛対象は道中怪我をしてしまったので護衛としては失敗と言っても差し支えがなく、むしろジャロは怒られるのではないかと先程から嫌な汗を流していたのである。予想外のその一言で始まったダリアの話の内容はさらに予想外のものであった。
いきなり謝罪から始まりましたが一体ダリアはジャロに何を話そうとしているんでしょうか。