第百一話 スレド砂漠の恐ろしさ
読んでくださりありがとうございます。私は砂漠に行くと確実に迷う自負があります。
「最初の戦闘は俺らに任せてくれぃ」
そう言うとポールとピエールが馬車を飛び出して率先して戦闘を始めた。デザート・アリゲイターの群れは3体程いたがわずかの間にポールが1体、ピエールが2体のデザート・アリゲイターを仕留めていた。その手際は見事なもので思わずジャロは大きな拍手をしていたが、マルコは同じく拍手はしていたもののその兜の奥の眼は光っているように見えた。
「苦戦するような敵じゃあないとは言え仕事仲間に拍手されるってのは気分がいいね。次モンスターと戦闘する時はマルコ頼むぜ」
「……」
マルコは無言でポールの言葉に頷いた。先程からマルコの声を聞いたことがないがどうやら寡黙な人のようである。
そう言っていると再びデザート・アリゲイターが1体目の前に現れた。マルコは馬車を飛び出すと重そうに見える大きな剣を自在に操りポールやピエールよりも早くデザート・アリゲイターを仕留めたのである。どうやら実力ではマルコの方が上のようである。
「…ふぅ。かわいげのない奴だぜ。仕留めるのは俺らより早いじゃんかよ。当然って感じだな。これだとジャロもかなり強いのかな? ジャロが戦うのを見るのが楽しみだぜ」
「いやぁ、多分一番遅いんじゃないですかね。戦ったことのないモンスターですし」
そう言いながらジャロはモンスターが出現していないか確かめようとした時マルコの剣の柄にある石がキラリと赤く光ったような気がした。次の瞬間地響きが聞こえて来た。
「……ん? こりゃ地響きか?」
ポールが突然の地響きに驚いた声を出した瞬間ジャロの体は馬車の外へ投げ出された。投げ出されながらもジャロはその衝撃に戸惑いながら馬車の方を伺った。ジャロの目に入ったのはそれはそれは大きなうわばみの姿であった。そのうわばみの瞳は赤く光っていた。その光は先程マルコの剣の柄に感じた光と同じようにジャロには思われた。
「痛っ……。馬車から投げ出されたのか」
ジャロは戸惑いながら先程まで大きなうわばみがいた場所を眺めていた。うわばみは誰かに操られているようであった。あのサイズのモンスターを今の仲間メンバーで倒せるとは到底思えない上に、それを操る者がどこかにいると思うと中々恐ろしいものである。
さて、これからどうしようか。護衛依頼は受けたけどこんな感じだと実行不可能になるんじゃないのかな。……とりあえず依頼主を探すとするか。というかアムニスヴェーレどころかこのスレド砂漠自体来るのが初めてなのに今僕1人ってのは中々寂しいし厳しいな。誰かいないかな。……お? あれはなんだろ。なんか光ってるのが見えるな。行ってみようか。
『ダリアのティアラを手に入れた』
ジャロはいきなりのピンチですね。帰るにも帰れず、アムニスヴェーレに行く方法も分からないんじゃお手上げですよね。ところどころジャロは何かを感じ取っているようでしたが果たして真相はどうなのでしょうか。