第百話 傭兵たちとつかの間の談話
読んでくださりありがとうございます。今回同行する傭兵たちはどのような人たちなのでしょうか。
――
トルク街道
――
馬車はトルク街道を走っている。傭兵たちとジャロはモンスターが出現していないか馬車の2階部分で偵察しながら待機していた。とはいえトルク街道ではモンスターが出ないため特にすることもないのである。そのうち傭兵の1人がジャロに話しかけてきた。
「やあ、同じ護衛を任された身として仲良くしようぜ。俺はポールって言うんだ」
「ポールさんですね。僕はジャロと言います。今回はよろしくお願いします」
「はは、俺らにそんなにかしこまらなくてもいいぜ。そこにいるのがピエールであっちにいるのがマルコだよ」
ポールがそう言うと名前を呼ばれたピエールと呼ばれた人が笑いながら手を振っておりマルコと呼ばれた人は軽く会釈していた。マルコはフルフェイスの兜を被っておりその顔はあまり見えないがジャロには悪い人ではないように思われた。
「傭兵って言っても俺ら同士の絡みはあんまり無くってよ。ピエールとは結構一緒にクエストをするんだがマルコとは今回が初めてなんだよ」
「へぇ、そうなんですね。傭兵はどんな戦い方をするんです?」
「俺ら傭兵は専ら肉弾戦だな。傭兵は自分の手でモンスターと戦うから常に危険と隣り合わせなんだぜ? まあ実力者はそれを常に乗り越えるもんなんだけどよ」
そう言うポールは得意気である。
「じゃあその武器で戦うってことですか?」
ジャロはポールの傍らの武器が気になるようである。ポールの近くには立派な槍がピエールの近くには弓と矢が、そしてマルコは大きな剣を背にしていた。心なしかピエールの持つ矢の本数が少ないような気がした。少ない矢で充分な程の実力者なのだろうか。
「あぁ、もちろん。これらは俺らの自慢の武器だよ。戦闘になったら自慢の戦いを見せてやるよ。楽しみにしときな。君の戦闘スタイルはその連れてるモンスターによる感じかな?」
ポールはジャロの連れているモンスターをまじまじと見ていた。今先頭にしているのはアトラスである。敵として厄介なモンスターでありジャロの自慢のモンスターでもあるためジャロは胸を張っていいるようだ。
「もちろんこちらも自慢の仲間たちで戦っていきますよ。楽しみにしておいてくださいね」
「そろそろスレド砂漠に入りますよ。モンスターの偵察を始めてください」
下からテスタさんの声が聞こえてきた。談笑していたジャロたちは気を引き締めてモンスターの出現に備えた。
――
スレド砂漠
――
トルク街道を抜け馬車がスレド砂漠に突入した。ここから馬車の進みはトルク街道よりは遅くなるが安全に素早く移動するにはこの方法が良いらしい。アムニスヴェーレ王家自慢の馬車は砂漠を走っているとは思えないスピードで進んでいった。しかしモンスターに遭遇せずにアムニスヴェーレに着くほどスレド砂漠は甘くは無かった。たちまちデザート・アリゲイターの群れに囲まれてしまった。
このゲームでは傭兵はコマンダーとは異なりその肉体を武器にモンスターに立ち向かう人たちのことを指します。コマンダーも傭兵も同じ人間ですから色々な人がいるようですね。
今回で第百話となりました。物語はここからさらに進んでいきますのでどうぞお楽しみに。