第九十七話 グリモアの推薦
読んでくださりありがとうございます。グリモアの話とは何でしょうか。また指名依頼でしょうか。
「ジャロ様は何度☆4クエストを達成されたのですかな」
「達成数ですか? ……あんまり覚えてないですけど、多分2、3回ですかね。正確に数えましょうか?」
「いえいえ、ジャロ様もご存知とは思いますが、ギルドランク☆4への昇格の条件にギルド以外からの評価、推薦というものがありますな」
「……推薦ですか? いや全然知らないです」
「なるほど、まだギルドからそういったお話はありませんでしたか。ともかくギルド以外の人からの推薦が必要なのですよ。ギルドランクが高いと言うことはギルドの顔になりえますからね。それなりの人格というものが必要なのですな」
「へぇ、そうなんですね」
「その点で言うなれば、ジャロ様は実力、そして態度共に申し分ないかと私は思っておりますな。ギルドランクを上げる際の助けになるよう私から推薦しておきますよ」
『グリモア(ヴァルトプトル)から推薦を受けた』
へぇ、こう言うアナウンスが流れるって言うことは推薦はゲームのシステム上でも重要な概念なのかな。とりあえずグリモアさんにお礼は言わないとな。
「ありがとうございます。早くランクを上げれるよう頑張りますね」
「ほほほ。ええ、頑張ってください。頑張っている人を見るとこちらも力が湧くものですな」
そう言うグリモアの顔は嬉しそうに綻んでいた。
――
ギルド ヴァルトプトル支部
――
ギルドへ戻ってきたぞ。早速クエストの報告をしておこうか。
「こちらギルド受付になります。何か御用ですか」
「クエストの報告に来ました」
「かしこまりました。……はい、確かにクエスト達成が確認出来ました。クエスト一件で報酬金がこちらになっております。ご確認ください」
「……、はい大丈夫です」
「それから報酬ですね。しばらくお待ちください」
さて、今回の報酬は何かな? 前回は聖職者のローブだったから今回も期待出来そうだ。
「報酬がこちらとなっております」
『竜神石を手に入れた』
あ、なんだ竜神石か。装備品か何かを予想してたらこれは予想外だわ。竜神石ってクエスト報酬でも手に入るんだね。これで2個目だわ。もうちょっと良いものかと思ってたけど竜神石も充分良いものではあるよね。
さて、クエストは何か更新されているかな。めぼしいのが無かったら水の国へ行く方法でも調べようかな……。その時クエストボードへ向かおうとするジャロを呼び止める声がした、カナリアである。
「カナリアさんじゃないですか。一体どうしたんです?」
「お前がギルドにいて助かったよ。それなりに信頼出来る人じゃないとこちらも困るからな。お前なら信頼して任せられる」
「ええと、何を任せられているんです?」
「時にジャロよ。お前水の国に行きたくはないか?」
このシステムはギルドにだけいい顔をすればいい訳ではないという戒めでもあります。コマンダーとしての腕は単に戦闘の実力、言うなれば強さだけでは測れないのです。
なおクエスト達成数の関係上この推薦が活きてくるのはまだ先になります。