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「…僕は、にげたんです。」
「…逃げた――?」
「はい。 僕は、ASUKAのギターのジュンと付き合ってたんです。
でも、ある日、ジュンのファンにリンチされたんです。暴力団に頼んで。
どうやら、僕とジュンが仲良くしてるのが気にくわなかったらしくて――。
それで、次に起きたときには病院のベットの上で、声が出なくなってたんです。
声って言っても、普段の話す声じゃありません。『歌声』を失ったんです。
その次の日に、僕は、逃げました。今は田原さんって言うASUKAのマネージャーとリーダーのタクさんとしか、連絡は取ってません。
この学園に、ASUKAのメンバーが居ると聞いたんです。だから、ばれないように変装してます。」
少し、スッキリした気がした。
「…和葉、大丈夫?ごめんね――。」
「…えっ? ッ!なんで…」
僕の頬は涙で濡れていた。その涙を雅先輩が指で拭う。
グイッ!!
先輩に急に抱き寄せられた。
先輩はすっごいいい匂いがして、すっごく暖かくて、いつの間にか眠りについていた――。
「…は、か、ずは?和葉」
んン、まだ眠いよ―。
「…雅先輩?」
目を開けると目の前に雅先輩のやけに整った顔があった。」
キレーな顔だなぁー
「…どしたの?和葉。着いたよ、行こう。」
「…はい。」
雅先輩と車を降りて、理事長室がある校舎に向かう。
でも、そこにあったのは――。
「…もう、僕やだ――」
素晴らしき『城』だった。