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「…あの、お名前は?」
隣に座る黒髪美人さんに尋ねる。
「…あぁ、僕は長澤 雅。生徒会副会長をしてるんだ。」
「…生徒会、すごいですね。」
「そんなことないよ。村瀬君の方がすごいよ。外部生は12年ぶりだよ。うちの試験は難しいからね。」
…試験なんか受けたっけ?
ま、いっか!!
「…ハハハッ」
突然先輩が笑い出す。美形は笑うと二割ましだ。
「なに笑ってんですか?長澤先輩?」
「…可愛いね、和葉。コロコロ表情が変わる。ねぇ、眼鏡とっていい?」
ジリジリと先輩が詰め寄ってくる。
「あ、の長澤せんぱ『みやび』 …え?」
「雅って呼んで。」
「…み、やび先輩?」
「う〜ん、本当は呼び捨てがいいけどまぁ、いいかな。」
そう言うと、雅先輩は僕の眼鏡をとってしまった。
雅side
なんだこの可愛い生き物!!
新学期が始まる前、家の事情で入学式ギリギリに学園にくることになった。
そして、学園に着くと、門の前に…
オタクがいた。
ボサボサの黒髪に黒渕眼鏡。見るからにオタク。
この学園は広いから迷うだろうと理事長室まで送ることにして、車に乗った。
そしたら、急に百面相しだして、案外可愛い。
それに、僕は、身長が和葉より20センチは高いから、必然的に和葉は僕を見上げるかたちになる。
眼鏡の隙間から見える顔は可愛らしい。きっと変装してるんだ。
そして、眼鏡をとった。
そこに表れたのは、今までに見たことも無いような綺麗な顔。
小さな顔に、クリクリの大きな目、整った眉に、スッとした鼻、小さくて真っ赤な脣。
綺麗で可愛らしい。
そして、
「…優葵、?」