1 片翼の歌姫
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1 片翼の歌姫
ある日、美しい白銀の羽根をもつ天使は片方の翼を失った。
右翼は自分自身。
左翼は美しき声。
彼は声を失った。
片翼の翼を失った彼は、飛び立つことができるのだろうか――。
「…何ここ、城じゃん・・」
ボサボサの長い黒髪に厚い黒渕眼鏡をかけた、小柄なオタク(?)少年は、全寮制男子校、藤華学園高等部の門の前に立っていた。
「なんで僕は、こんなところにいるんだよ、はァ、」
それは遡ること2週間前――
「…和葉、あんた4月から藤華学園に通いなさい。」
母親から突然言われた言葉。
「えっ?何で?僕もう高校決まってるんじゃ?」
「あんた、もう歌えないんでしょう?あなたがいても意味ないの。まあ、3年は面倒みてやったけど、もう限界よ。お金もはいらないし。ほんと役立たずね。あなたはこの家にはいらないわ」
そう。僕は声を失った。普段は話すこともできる。でも、僕は歌うことができなくなってしまった。あの日から――。
「…この門どうやって開けるのかな?」
叩いても押しても引いても
「…開かない」
「ねぇ、何してるの?」
後ろを振り向くと黒髪の美人さんが。
「あの、今日から編入する村瀬和葉と言いますが、この門はどうやって開けるのですか?」
「…あぁ、この門はね、カードキーが必要何だよ」
すると、黒髪美人さんは、門の端の所にある機会にカードを通した。
ピピピ
ガガガガガガガ
でっかい門が開く。
「…すごい、ありがとうございました。」
「…どういたしまして。さあ、車に乗って。理事長室まで送るよ。」
キキッ!
ベ、ベンツだ。
僕は、黒髪美人さんに手を引かれベンツに乗り込んだ。