第4話 トレー〇ング
ふう、バカバカしいなあ。と肩の力を抜いて一息ついて頂ける様な話を目指しています。
前回までのあらすじ
羽織とコンビを組んだ光は修行寺の第一門を突破し、修行僧を仲間に加えると第二門に挑んだ。
「反撃する!」
茶色シャツの胸には黒字で’トレ’の文字が描かれていた。その男が出来たばかりのデザインを1枚破って投げて寄越すと慌てて光は前に出た。
これはキチンと受け取らないと審判の印象が悪くなってしまう。プロレスリングでロープに振られたら技を受けると分かっていても戻ってくるのと同じ理屈である。
空中で辛くもキャッチした敵のデザインを見て光の心は大きく動揺する事になる。
「ぐはっ!これは!」
めちゃくちゃ上手かった、一瞬写真と見違える程に。
薄黄土色をした木目が川面の様に流れるフォルム。
何だろう素人の投稿写真に一人だけプロが混じっている錯覚を覚える。
’ピピー’
その時突然、ジャッジマンがズボンから取り出したホイッスルを吹き鳴らした。
「反則か!?」
『それを今から調べます。』
ジャッジマンは慇懃に’トレ’男のボディーを丁寧にチェックする。
脚、あっ靴下からナイフが出て来た。
腰、あっ背後からヌンチャクが出て来た。
袖、なんと巨大コンパスと鉄定規が出て来た。
『ふうー、問題ないですねえ』 と、ジャッジマンは汗を拭う。
問題ないのかよ!光は心の中で突っ込みを入れた。
すると’トレ’男が勝ち誇った笑みを浮かべる。
「ならばこの勝負俺の勝ちだな。」
『さてそれはどうでしょう?最後にその手に持ったスケッチブックを拝見しましょうか?』
ジャッジマンがそう言った瞬間’トレ’男があからさまに動揺した。
「なっなにゆっ#%&’( 」
’ピッピイィ-------!’
試合終了の長ホイッスルを鳴らしたジャッジマン。彼によって暴かれた物、それはトレーシングペーパーだった。
「貴様トレーサーか?!」
光がそう言うと’トレ’男はダッシュで逃げて行った。
背中に描かれた’ーサー’の文字に添えられたパッ〇マンの黄色いイラストが印象的だった。
すると遠くを見つめる光にジャッジマンが語りかけてきた。
『これで2勝だけど君のデザインも機能特化で褒められた物じゃ無いね。色使い、見た目のインパクトに加えてずっと一緒に過ごしたいと思える何か...おっおい、まだ喋って…』
スマホの電源ボタンを指で長押しした姿勢の光を羽織がジト目で見る。
光は顔を赤らめながら言い訳した。
「だって仕方ないじゃん。勝てない下住み時代から数えると、あのアドバイスもう100回以上聞いているんだから!」
◇ ◇ ◇
’そんな貴方にトレーシング式ブートキャンプ ’
階段を上り次の敵を目指して小門を潜るとそこには上記の大看板が設置されていた。
なんだかダンベルや縄跳びの絵が描いてあるのだがダイエット教室の間違いではなかろうか?
「はーい、そこの貴方たち。うん、そう。君と、それから君。あっブ男君は要らない。」
羽織が「私、ブ男じゃないからいいでしょ?」などと’しろー!’に確認していたが、花地は下を向いていじけ出してしまった。
おいおいあんなマッチョに何か言われた位で気にするなって。大体見て見ろ奴の着ているピッチピチのタンクトップを。蛍光ピンク色だぞ?デザインレベルを疑ってしまうだろう?
「それで?俺たちに何か用かな?」
ブ男判定を免れた’転生・しろー!’が恰好つけて言った。そういえばこいつらの本名聞いてないや。呼びにくくて仕方が無いので聞いて見るか?
そう思いながら光が’しろー!’に近づいてみると、マッチョを前にした転生の鼻息が妙に荒事に気が付いた。若しかして’しろー!’はそっち系だったのであろうか?と肌さむさを感じた光は思い直して近寄らない事にした。
「いーい?良く聞いてね?
幾ら凄いアイデアがあってもそれを表現する技術が無くっちゃ宝の持ち腐れなのよ。
だーかーらーぁ」
この時点で十分イラっとした光は怒りゲージが満タンになったから〇龍拳出してもいいか?と視線で羽織に同意を求めていた。
「「トレーシング・トレーニング!」」
次の瞬間、驚いた事に突然背後に隠れていたピンクのマッチョが飛び出しマッチョは二人に増殖した。声を揃えてポーズを決めるピンクマッチョ達を前にして羽織は言葉を失う。
因みに二人目は細マッチョで割とキュートな容姿であった。
(つづく)
読んで頂き有難うございました。
マッチョの出番はこれで終わりです。