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デザイナーズバトル  作者: ゴスマ
バトル物は修行に始まり勝利で終わる..ハズ。
2/11

第2話 バトル物は修行に始まり

ひかるが復讐を志すエピソードに関しましては本章では触れない予定になっています。

 ひかると羽織が歩くこの地方一帯はファーニチャーという極悪集団がとり仕切っていた。


 だが、彼ら幹部である7戦士達はこんな田舎には住んでいない。


 しかしひかるは三つ先の街である’魔苦土成’(マクドナリ-)に7戦士の末席である風呂敷・最強マット・マクスが居るという情報を掴んでいた。


 えっ?漢字の読み方がおかしい?


 気にしない、気にしない。きっとキラキラネームで本人も悩んでいるだろうからそっとして於いてあげよう。


 「マットは7戦士の中では一番下っ端だが。羽織、なぜこいつを狙うかのか分かるかい?」


 「ええ、只でさえ強い奴らに結束されると厄介だからでしょう?そして彼らは身勝手だから自分より序列の低い仲間にはきっと手助けしない。その点で言うとマックスは七戦士とはいえ序列最下位だから丁度いいわよね。弱い順番に各個撃破して行けば同時に経験値も稼いで強くなれるわ。」


 グッド!その通りである。しかしこの作戦には大きな穴があった。


 「その通り。でもマッドの推定レベルはDbL30、今の俺達じゃあどう逆立ちしても太刀打ちが出来ないよね。」


 じゃあどうするのか?勿論修行するのである。


 何時するのか?まあ直に始めるのだけれども、この世界には精神と時の部屋は無いとだけ予めお断りしておきたい。


 

◇ ◇ 


 ここは鮮魔竿せんまさおという、物凄く長いタケノコで有名な田舎村である。


 この村の中央に聳え立つ山には曲がりくねった長い石階段があり、それは山頂まで延々と続いていた。


 村の入口に置かれた無料パンフレットに依ると遥か遠くに見える山頂には寺院の本堂があるはずである。


 「なあに?こんな所に連れてきて。牛乳配達のバイトでもさせる気?」


 おっと、その発想は羽織が生まれる前の物であるはず。一体彼女の実年齢は幾つなんだろう?


 「念のために羽織の年を教えてくれる?

  いやほら、深夜労働や就業制限といった法律の問題があるかな。」


 「17歳よ。女子だから夜10時以降の深夜労働は逮捕しちゃうぞ?」


 もっと幼く見えてしまったがそうなのか?


 「なんで羽織が逮捕できるのさ。まあいいや、ちょっとあそこを見て。

  途中途中に小さな屋根付きの門が見える?

  各門には修行僧がいるから俺達は彼らと戦うんだ。

  相手も二人なので遠慮する事は無いからね。さあ行こう。」


 そう言ってひかる達は太陽に温められた灰色の石階段をのしのしと上り始めた。


 ◇


 「はあ、はあ、ぜえ、ぜえ。」


 残念な事に羽織には体力が無かった。


 息を切らしながら階段を上ると 白シャツに黒モンペを履いた二人の修行僧が器を片手に小門の陰から飛び出して来た。


 「待って居たぞ挑戦者の諸君!」


 「チャレンジ料金はお一人様500ギラになります。」


 托鉢を持って来た修行僧の胸には墨でデカデカと’こころ’と書いてあった。


 流石は修行僧、良い文字を選んでいる物だと感心した。


 因みに鉢に1,000ギラを投入すると僧はクルリと背を向けて戻って行ったのだが、なんとその背中には’した’という文字がありひかるは思わず階段から転び落ちそうになった。


 ...成程、修行が必要な訳である。


 もう一人準備体操をしている修行僧のシャツには’種’と書いてある。最初はなんかこう生命の種的なのを想像していたのがもう底が知れたので彼の背中を見たいとは思わなった。


 「デザインターゲットはTシャツ!」


 「「えぇっ!!」」


 思いも寄らぬターゲットに怯む二人。


 「うーん、えい!」


 羽織が可愛らしくスケッチブックを出すと’種’の人がいやらしい目つきで羽織の胸元や太ももをチラ見している。


 ひかるはこの修行が終わったら羽織にはもっと防御力が高い服をデザインしてやろうと密かに思った。ショルダーシールドとか背中にミサイルポットとかいろいろゴテゴテと付いていて二度と描きたくないと思う程の重装備が想像のキャンバスを通過して行く。


 さて、ひかるが夢想している間にバトルは進み、羽織の初撃は相手にダメージを与えなかった様だ。


 スケッチブックを覗いて見ると中央にヒマワリの絵が描かれている、中々可愛らしい感じのTシャツだったが如何やら相手の心に響かなかったらしい。出すときに自信たっぷりだった羽織は少し凹んでいる様子だった。


 「では反撃です!それっ。」


 「ぶぁfuぁ!」


 突然羽織が妙な音を吹き出しながら膝を付く。


 その擬音はヒロインが出してはイケない類の音である。


 ヒロイン枠じゃ無いから別に良いのだが大丈夫なのであろうか?石畳で膝を擦りむいてたりしていないかひかるは心配した。それはそうと敵は一体どんなデザインを?そう思って敵のスケッチブックに注目すると’種’男が描いた物は、Tシャツに鋏で何本も水平の切れ目を入れ更に其れを編んだ物だった。


 素晴らしい。ビューティフルかつ悩殺的である。


 だが流石に胸の大事な部分にまでスリット入れたら痴女以外着てくれる人が居ないだろう?


 えっ、室内で?


 彼氏が喜ぶから?


 いやいやそれは’種’さんの個人的な趣味でしょう。


 とにかく羽織の心が折れたのでひかる達の1敗であった。


 次にひかるが負けると千ギラが無駄になる。千ギラあれば大手寿司チェーン王賭賂おおとろで緑のお皿が10皿は食べられる金額である。えっ?大トロ?中トロ?なにそれ美味しいの?{注:美味しいです。}しかし、タコ・イカ・軍艦唐揚げ派のひかるにとっては緑の皿で十分なのだった。


 「俺のターン!このTシャツでどうだ!」


 ひかるは渾身の作品を誇らしげに掲げた。


 白いTシャツは肌色に染められ、その上に普段Tシャツ内に秘められている乙女の柔肌が写実風に書き入れられている。


 えっこんなの誰も着ないって?ひかるにもそれは分かっていた。分かっているが今回の狙いはそこでは無かったのだ。


 「ぶっ!」


 予想通り’心’の修行僧が鼻血を出して蹲った。


 下心のある目で羽織を眺めた後にこれを見たらそうなる事をひかるは何故か確信していた。


 「血でスケッチブックが汚れてしまった。という事はこの勝負お前の負けだ!」


 法廷の判事でもこれほどスパッと言えないくらいスパパッと断定すると、


 「みっ見事だ...俺たちを貴方の弟子にしてください。」


 未だ一勝一分けにも拘わらず二人の修行僧は負けを認めた。座り込んで礼をする二人の背中にはデカデカと’下’の文字。それを見た羽織が引き気味に後ずさりした。


 羽織は二字熟語の意味を理解したのである。


 「いいだろう!しかし俺の向かう先は修行地獄だ。命の保証は無いと思ってくれ。」


 修行僧達は着ていたシャツを脱ぐと下にはもう1枚真っ白なTシャツが現れた。そして墨と筆を持ち出すとひかるたちに新しい文字を入れてくれという。


 ひかるは’下・心’の男に’花・ハナジ’と、羽織は’下・種’の男に’転生・しろー!’と書き入れた。


 こうしてパーティーは4人になった。


当て字が酷いのでイラっとされた方にお詫びします。

読んで頂き有難うございます。

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