一目でもふもふと分かったよ。
最近暑くなってきましたね。暑いのが私は苦手なのでこれから耐えられるか不安です。
俺が«影転移»の入口兼出口である空中に出した楕円形の影(以降これを見た目から窓と呼ぶ。)から出ると、モフっとした狐の尻尾に顔がめり込んだ。ちなみに、出口は村の入口?というかは分からないが以前俺たちがこの村に来た時入る時に通ったところに設定してある。朝、ムキムキ男と会った場所だ。
しかし、この尻尾すっごいモフモフだ。人をダメにするなこれは。クリーニングに出した毛布みたいだ。
「あっ、旦那!どこに行ってたんですか?村長を連れてきましたぜ。」
って、ムキムキ男、おまえのかよ!おい!俺のこの気持ちをどうしてくれるんだ!
「お久しぶりデす。旦那様。わっちのこと覚えテますか?」
「「お久しぶリ〜、旦那さま〜。」」
ムキムキ男の後ろからぴょこんと耳が見えたかと思うと、わっちさんは静々と、双子ちゃんたちはムキムキ男を飛び越えて出てきた。すっごい跳躍力だなぁ。
・・・それにしても、旦那様?どういうことだ?
なんで三人とも着物なんだ?狐っ娘と言えば、着物だけど・・・よくわかんないなぁ。
「申し遅れたノです。わっちの名前は、シュェランといいまス。これからよろしくお願いシます。」
「リンユーの名前はリンユーなのです。旦那さまこれからよろシく〜。」
「リンリーの名前はリンリーなのです。右に同ジ〜。」
双子ちゃんは、どっちがどっちなんだろう。今は名前を名乗ってくれたから分かるけど。
2人とも、太眉でツリ目で、金髪だから、分かんない。きっと小さな違いがあるんだろうけどわかんないなぁ。しかし、将来的には、美人になるんだろうなって言うことは直感で分かる。
わっちさんの名前はちょっと発音しにくい。しゅぅえりゃん?しゅえらん?きっと文字にすれば伝わるんだろうけど、実際に言うと難しい発音だ。
三人とも、中国人ぽい名前だな。
「えっと、しゅぇりゃん?さん、あー、発音がしにくいので、シェラさんと呼びたいのですがよろしいでしょうか?」
「ハい!・・・デもそこまで他人行儀じゃなくてモいいんデすよ?」
「あっ、はい。それでシェラさん俺になにか用ですか?」
シェラさんたち三人は互いにアイコンタクトをしつつ声を合わせてこう言った。
「「「旦那様のところで働かせてください!」」」
ちなみに、アイコンタクトをしている時からその言葉をいうまで彼女たちの尻尾は、フリフリと揺れていた。狐っ娘の尻尾ってやっぱり実際に見ると可愛いなぁ。もふもふしたい。
痛っ!アイナ、つねらないでくれ。君結構というかかなり力が強いからかなり痛いんだよ。
「まったくもうですよ、ご主人様。・・・(私でしたらいつでもOKですからね?)」
彼女は俺の心を読んだのか小さくそう言ってきた。後で覚えていたらもふもふしよう。
それにしても、雇ってくれか・・・ふぅ、やれやれだぜ。断るのもめんどくさいし、なんか、涙目だし採用しようか。お金なら余裕があるからな。
「えーっと、じゃあ、住み込みで俺たちの家のハウスキーパーをしてくれませんか?俺たちは旅をしているので、そのうちにに家を空けるので、その間ハウスキーパーをして欲しいんですけど。まぁ、しばらくは次の国には行きませんけど、その間もきちんと給料は出しますよ。あと、今日からお願いします。俺たちが旅に出るまでは・・・使用人として雇いますので。」
三人は見事な敬礼をした・・・敬礼をしたと同時に狐の尻尾がピンとたった。
俺がアイナたちと、«影転移»で屋敷へと帰ると、キッチンでシャティが水着とエプロンで待っていた。水着エプロンというやつだ。どこから持ってきたのか水着はスク水で胸のところに『しゃてぃ』と書いてあった。ちなみに、文字は日本語ではなくこの世界の文字だったけど。
・・・もう、俺はツッコまないぞ。スルーをします。ツッコミきれない。
「あっ、マスターおかえりなさい♪ご飯はちょっと待ってね、今準備中だか・・・ら・・・ねぇ、その娘たち誰?ねぇ、マスター質問に答えて、目を逸らさずにね。」
さっきまで、何が嬉しいのかは分からないが嬉しそうにキラキラしていたシャティの目から、ベタで真っ黒に塗ったようにハイライトがなくなった。
「この人たちは、この家のハウスキーパーとして雇った人たちだ。それ以外の説明は・・・無いなぁ。」
「へえー、なるほどね・・・で?本音はなんなの、マスター?正直に話したら許してあげるよ。」
本当に怖い。俺、何か間違ったこと言ったかな?
正直に話したら許してくれると言っているのに手から雷が出ているのはどうしてだ?
「あのー、旦那はん?お布団の件どないなったん?まさか、忘れとらんよなぁ?」
・・・ありがとうございます、ラータ。ナイス、助け舟。
「ごめん、ラータ。素材は持ってきたんだけど、まだ布団屋に出してない。でも布団屋に出しても完成するまでに時間がかかるよ?それでもいい?」
「いや、逆に都合がよかったわ。それじゃあ、旦那はん、お布団の素材をちょうだい。」
「いいけど、素材を手に入れてどうするんだ?・・・まさかお前が作るのか?」
ラータは、降格をニィと、上げて笑った。目が死んでるから迫力があるなぁ。
「そのまさかやで。小生には、実は«裁縫術»って、スキルがあってな。まぁ、なんでもっとるかは知らんけど。じゃあ、早速作ってみるわ。やけん、早く素材ちょうだい。」
俺は、«影収納»から、毟ってきたアイシクルチキンの羽根を取り出した。見た目だけでいえば羽毛布団に使う用の羽に見える。
そして、ラータは、それを両手いっぱいに持って、天井をすり抜けて、自身の部屋に行った。
・・・ラータがすり抜けるのは分かるけどどうして羽根もすり抜けたんだ?・・・細かいことは気にしないでおこう、頭が痛くなるだけだ。異世界だからということにしておこう。
「旦那様、わっちたちはどうすればいいンですか?」
ラータが飛んでいった後でシェラがそう聞いてきた。そう言えば、ハウスキーパー以外に思いつかなかったからなぁ。どうしようか。具体的な仕事かぁ。
「・・・シェラは、園芸とかって出来る?」
「出来る、当たり前デす!」
「リンリーも出来ルの〜。」
「リンユーも出来るー、任せテ。」
リンリーとリンユーはまるで組体操をするかのように手を繋いでポーズを決めた。
「あっ、じゃあ、君たちの仕事は、庭の整備とかをお願いするよ。庭の…4分の1くらいは、自由に使っていいよ。他は、アイナや、シャティの手伝いとかかな?」
三人は敬礼をして、庭の方へと走っていった。
そう言えば彼女たち、着物だけど、大丈夫なのかな?着物では動きにくいだろうに。なにか服でも買ってきてやるかな?
ああ、言うのを忘れてたけどこの屋敷の庭は、200メートルトラックがギリギリ入るくらいの大きさだ。普通に使って、っていうか、そもそも全部は使えないから、自由に使ってもらおう。
『グゥ〜〜〜〜〜〜』
シェラたちが庭の方に走っていってすぐに俺の腹が大きな音で鳴った。
「あっ、ごめん。お腹が空いちゃって。」
今はお昼くらいなのでちょうどお腹が1番空く時間帯だ。そう言えば、シェラや、リンユー、リンリーたちはお昼を食べてきたらしい。
やっぱり、お腹が鳴るのは、生理現象だよね。止められないから仕方ないよね。
俺は、元の世界でもお腹はよく鳴ってたから、慣れた。恥ずかしがると逆に恥ずかしいのだ!
「あっ、マスターもうすぐ完成だから、ちょっと待ってね〜。」
「あぁ、もちろん。・・・あれ?リシアがいないっぽいけど、どこに行った?まさか、まだ寝てるのか?」
「そういえば、いませんね。」
アイナと、俺は周りをキョロキョロ見ていた。
人って、こういう時そこにいないって分かってるのに、確認のために周りを見るよね。そういえば、俺、元の世界で、近くにいるのに名前を呼ばれながら探されたことあったなぁ。
「リシアたんなら庭のほうで剣を振ってるよ。」
昼ごはんは、鮭っぽい魚のムニエルだった。
ムニエルって外はカリカリっとしてるのに中はホロホロしてるギャップがたまらないよね
あー、米が欲しい。しまったなぁ、怜に聞いておけば良かった。
明日は、何をしようかなぁ。
・・・とりあえず、布団を干そう。布団は干すと、気持ちいいからな。




