行きは良い良い、帰りは怖い。
ストックもいい感じに溜まってきてるんで、今日も投稿します。
俺は、ココとラータと一緒に屋敷へと入る。ラータは飛んで入るが動くのがだるいのか、俺の方に捕まっており、ココは、俺の頭の上に乗っている。・・・暑苦しいなぁ。一応、庭は芝が生えているので大丈夫っぽいが念の為、服をはらっておく。砂とか付いてたらアイナに怒られるからな。
玄関から入り、リビングに行くとリシアが鼻歌を歌いながら上機嫌でテーブルを拭いていた。アホ毛は鼻歌と連動するようにフリフリと揺れていた。
「どうした?リシア、ご機嫌じゃないか。何かあったのか?」
「それがっスね・・・美味しそうなお酒を見つけたんスよ!パーティで出そうと思ってるスけど、いいっスか?ああ、あとお酒の種類はワインスよ。」
「酒かぁ・・・うーん・・・。」
俺はまだ未成年だ。この世界では成年が何歳かは知らないが、まだ飲めないなぁ。異世界もののラノベとかだと10歳から14歳ぐらいで成人になることが多いよなー。
「別に出してもいいが、俺はちょっとお酒が苦手だから飲めないよ。」
「そうなんスか・・残念スね、お酒を飲むことが出来ないなんて。あっ、他のみんなは飲めない人いるっスかー?」
「私は大丈夫ですよ。多分」
「小生も飲めるよ。」
・・・あれ?今アイナ小さく多分って付けなかったか?まぁ、気のせいかな。
「じゃあ、倫さんはグレープジュースでいいっスか?雰囲気がワインっぽいので合わせるために買ってきてるんスよ。」
「グレープジュースは、大好きだからいいけど。・・・間違えてワインを入れるなよ。」
「あははー、そんなヘマしないっスよ〜。」
・・・可能性としてはありえるんだよなぁ。
「マスター、料理運ぶの手伝って〜。」
料理を完成させたらしいシャティが、キッチンの方から俺を呼んでいる。今日はどんな料理を作ってくれたのかな?魚料理とは分かっているんだけど。
「きょうの料理は、ローストビーフと、ほうれん草とベーコンのキッシュ、そして、お魚のマリネだよ!ちなみにお魚の名前は分からないよ。なんか、美味しそうな魚だったから買ってきたんだよ。」
可愛らしいエプロンを着たシャティが胸を張りながら料理名を言っている。
キッシュとは、丸く焼き上げたパイ皿にベーコンなどの具材と、卵入り生クリームを流し込んだ日本でいうところの茶碗蒸しのようなものだ。フランスでは家庭の味らしい。マリネというのは、魚をお酢などにつけた料理だ。
酸っぱいのは、俺少し苦手なんだが、シャティがせっかく作ってくれたものだ食べなきゃね。
俺の家訓シリーズの一つに『出された料理は残さずに食べろ』ってのがあるんだよなぁ。
「それではご主人様、乾杯の合図をお願いします。」
アイナがルビー色に黒みがかった赤ワインが入っグラスを持ちながら言ってくる。・・・なんだろう、すっごく色っぽく見える。ルビー色の赤ワインは、彼女の雪のような白髪とあい、彼女の魅力を底上げしておるような気がする。
「うん。それでは、ご指名を受けた勝瀬倫太郎です。僭越ですが乾杯のあい「堅いよ!マスタ〜。もっと柔らかく言ってー!」」
シャティに堅いと注意されてしまった。仕方ないだろ、乾杯の音頭をとったことがないんだから。
「それじゃあ、カンパーイ!」
「「「「「カンパーイ!」」」」」
俺はグレープジュースを飲んでみたけど、うん!美味しい。ブドウの味が強く出ていて、ほのかに酸味がかっている・・・酒じゃないよ。ちなみに、シャティも酒が苦手ということで飲んでいない。・・・何歳なんだろうな彼女は。エルフは、見た目の年がとりにくいって言うのがラノベの常識だけど、この世界でも同じなのかな?
ちなみにココは、パーティには参加していなかった。彼女(彼?)曰く、召喚獣は、食べ物を食べる必要がないらしい。勿体無いなぁ。
あと料理を食べて分かったが、どれも美味しかった。食わず嫌いはダメだね。
俺がもぐもぐと、料理を食べていると。
後ろからだきつかれた。白色の綺麗な髪が視界に映る。
「ごひゅじんさみぁ〜、飲んでますか〜♪
美味ひぃですよー♪ごしゅじんさまってばー♪」
アイナは、目の焦点があっておらず、頬を真っ赤にして笑っている。
ラノベモノでも、こういう時は誰か一人ものすごく酒に弱いというのはお約束だけど・・・あっ、他の子たちどうかな?・・・うん、大丈夫そうだな。酔っているのはアイナだけか。
「ごしゅしんさま!どこを見てるんですか!わたひだけをみてくだしゃい!」
俺が周りの子たちを見ているとアイナが首を絞めながら言ってくる。・・・苦しい、苦しい。酒が入るとサイコになるのか!
「分かったから、首を絞めるのはやめてくれアイナ。苦しいよ。」
「あっ、ごめんなひゃい・・・じゃあお詫びにあ〜んしてあげますね。はい、あ〜ん♡」
アイナはキッシュをフォークで一口大に切り分けて、俺の口元に持ってきた。一瞬食べようかと迷ったが、アイナの目が怖いので大人しく食べることにする。
「えーっと、じゃあいただきます。」
俺は、アイナがフォークに刺しているキッシュを食べる。うん、美味しい。
「えへへへへ」
俺が食べるのを見ると、ニコニコと楽しそうに笑った。アイナの表情はさっきから崩れっぱなしだ。可愛いなぁ。
「えへへ、こひゅじんさま♡愛してます♡」
そう言ってアイナは抱き着いてきた。今、すっごくことを言ったような気がする。
そして・・・。
「すーすー。」
俺の肩に寄りかかりながら、規則正しい寝息をたてながら眠った。
幸せそうな顔してらぁ。でも、性格変わりすぎだろ。
アイナが寝たあとの空気は若干冷えきっていた。見てはいけないものを見てしまったという雰囲気だ。どうしたらいいんだろうね、こういう場合。
「マスター、アイナっちを部屋に運んだげて。こんなところで寝ると風邪をひくからね。」
俺は、分かったと、シャティに対して答えようとしたまさにその時、ピクンと耳が震えてアイナの目がカッと開いた。
「あっ、アイナ起きたんだね。どうする?もう寝る?」
「・・・正座」
彼女は、少し不機嫌そうな真っ赤にした顔で呟いた。
「えっ?」
「正座してください!ご主人様!」
俺は、アイナに言われるがままに正座した。
ちなみにおれだけでなく、アイナは、リシアやシャティの方を見て、同じように、正座してくださいと言った。彼女たちは、俺の隣に来て同じように正座した。
ラータは、自分には関係ないだろうと思ったのか、部屋に戻ろうとしている。あっ、おいコラ!逃げるな!
アイナも同じように思ったのか、それを逃がさなかった。
「ねぇ、ラータちゃん?いったいどこに行くんですか?」
「えっ?小生は自分の部屋に行っきょんやけど。」
「へぇ・・・あなたも正座するんですよ。」
「ほーなん?小生も関係あることなん?」
ラータは、どうでもいいといった感じで受け答えしている。ダメだ!ラータ!今のアイナに口答えをするな!
「いいから、正座してください。」
「(ラータ、逆らうな。我慢しろ!)」
ラータも渋々正座した。
俺はおそるおそる聞いてみる。
「俺たちは、これから何をされるんだい?」
「今から私はあなた達を説教します。覚悟してくださいね。色々言いたいことがあるんですよ。」
時々出る暗黒面のアイナスマイルをしてきた。この笑顔を見ると背筋が凍る感じがするんだよな。
「まず、ご主人様は〜、無茶をしすぎなんですよ!今日だって大量に血を出して、もし死んでしまったら私は・・・・・・他にも沢山あります!」
アイナは自分のグラスにお酒のお代わりを入れた。そして、それをお酒のCMのようにぐびぐびと飲んでいる。ちょっと危険なレベルの一気飲みだ。
「あ、アイナ、そんな一気に飲んだら・・・。」
「ごひゅじんさみぁ!今はお酒を飲まにゃぎゃやってられないんですよ!次はリシアちゃんです!リシアちゃんはーーーー」
呂律が回っていないアイナに俺たちは1時間近く説教された。
俺たちは、足のしびれで悶絶しながら、ソファで寝息を立てているアイナを見て、誓った。
『アイナにお酒はダメ。ゼッタイ。』
本当に辛かったです。




