コウカイとやりすぎ
気がつくと朝になっていた。俺は毛布をかけられて、馬車に寝かされていた。なんだろうな、ぐっすりと寝た、という気分じゃない。眠気がなかなか取れないな。
そう言えば、なんかあったような。
・・・あっ!アイナたちは無事なんだろうか。
俺は毛布を吹き飛ばして急いで馬車の中から外を見た。
「あっ、起きましたか、ご主人様。おはようございます。」
「あっ、おはよう。」
アイナが微笑みながら、挨拶をしてくれた。
彼女はリシアとシャティにひざ枕をしていた。2人はよく眠っている。
こう見ると姉妹みたいだなぁ、微笑ましいな・・・じゃない!
「どうして俺は、眠り薬で眠らされたんだ?アイナは、その理由知ってる?」
「あ、はい、存じ上げてますよ。実は・・・少し聞かれたくないお話がありまして。で、でも悪巧みとかじゃないですよ!ただの順番決めです。ただの順番決めですからね。」
ちょっとやりすぎな気がするが、まぁ、そういうことならいいか。人間聞かれたくないこともあるし。
「そういうことなら許すよ。でも、こんなことはもうしないこと。いいね?」
「はい、申し訳ございません。」
馬たちは、しばらく前に起きていたようで、ムシャムシャと、エサを食べていた。アイナが、エサを出したようだ。
「アイナ、その2人と馬車に乗ってくれ。すこし、早いが出発しようと思う。今日は俺が御者をするから。」
「あっ、はい。承知しました。」
俺は御者台に乗って馬の手綱を握り、スキル«騎行»発動する。
スキルが発動すると、ゲームの画面のようなものが出てきた。おぉー、どうすれば、馬が思った方向に行くかが分かるようになった。凄いなコレ、かなり便利だな。
ご都合主義万歳。
俺は後ろに乗っているはずのアイナに声をかける。
「火の番をしていて眠いだろう?アイナ、寝てていいよ。」
「承知しました。ありがとうございます。でも、お気持ちだけ貰っておきますね、ご主人様。」
アイナの声が横から聞こえた。・・・横?
彼女はいつの間にかに横にちょこんと座っていた。
メイド服を着た美人が横にいる。
やっぱり、アイナってかなりの美人だよな。
サラサラのシルクのような美しい白い髪。
白玉団子のようなプニプニとしたキレイな肌。
その小動物のようなクリクリとした青い瞳はまるで、サファイアだ。結婚するならこんな人がいいな。
「ご、ご主人様、そんなに見つめられると恥ずかしいのですが。えへへへ♪」
俺は彼女の声を聞いて、ハッと正気に戻り、御者に集中する。何をしてたんだ俺は!
女性の顔をじっと見るなんて。
「ご主人様、何か、私の顔についていましたか?」
「い、いや、そうじゃなく。・・・正直に言うと見とれていた、アイナに。この人と結婚する人は幸せ者だなとか思ってた。」
照れくさい。っていうか、死にたい。
正直に言いすぎた。
アイナはリンゴのようになった。顔を尻尾で隠している。
パカラパカラと、馬の蹄の音だけが山道に響く。
俺はさっきのことを忘れるために馬を操ることに集中する。ずっと俺はこう思っていた。
『うわぁぁぁ、やっちゃった、やっちゃった!クソが!なんで正直に言っちゃたんだろう。うわぁぁぁ!』
うぅ、後悔でいっぱいだより
しばらくすると何か体の片側が重くなった。
ふと、重さがかかっている方に目を横に向けるとアイナがスースーと寝息をたてて、もたれかかっていた。
危ないなぁ、落ちたらどうするんだ。
俺は『和文神』を操り、ゆりかご?のようにしてアイナを後ろに運ぶ。影でも運べたが、影じゃなくこっちにしたのは柔らかそうだったからだ。
«影収納»から毛布を出してアイナにかける。
もちろん毛布をかけるのは、御者中だから影でだけどね。影を手の形にしてかけた、上手くかけられたかな?
3人が、起きたのは昼くらいだった。
昼ごはんは、朝ごはんなのか昼ごはんなのかわからなかった。あっ、俺は朝ごはんに、毎度おなじみのリンゴもどきを食べたよ。
やっぱり、夜更かしはいけないな。
それにしても、3人だけの話ってなんだったんだろう。
まぁ、秘密が女を美しくするって、とあるマンガの登場キャラクターも言ってたしね。
そもそも俺が気にすることじゃないだろうな。




