簀巻きとホイル焼き
「着いたよー、ここがワタシたちが泊まってるところだぜ。入れよ。ご馳走してやるぜ」
なんか急に気が大きくなったな。まぁ、いいけど。
あっ、ちなみに、怜の一人称は、『ワタシ』だ。アクセントは『ワ』のところな。別に、コイツがオカマとかではなく、何となくこんな感じにしているらしい。
怜たちが泊まっているというそこは大きな屋敷だった。マジでデカい。これ、城なんじゃないだろうか。
掃除が大変だろうな。
「そういえばここに何人の勇者がいるんだ?」
「今は10人くらいだよ。他の人たちは先に旅立ったからね。俺たちも明日にはここを出発する予定だし。次の国の名前は・・・忘れた。」
怜は、舌を出して、てへぺろ♪とした。すっごいムカつく。それにしても、こんなでかい城・・・じゃなかった屋敷をたった10人て。
「とりあえずそこに座って待っとってー。」
怜はキッチンに立ってエプロンを着けていた。
コイツが着けているエプロンはヒラヒラの・・・それ、普通のエプロンじゃなくない?それ、アレだよねぇ、
どこかの学園の生徒会執行部のセリフ全てにカギ括弧がついている副会長のあだ名と同じだよね。
「なぁ、ひとつに聞いていいか?」
「兄ちゃん、なんだい?変な質問なら答えないけど。」
「そのエプロン誰に貰ったんだ?」
怜は、自分のエプロンを見て胸を張って答えた。
「これはワタシの担当のメイドさんに貰った!いいやろ、いいやろぉ。」
すっごいムカつくドヤ顔をしてくる。
担当のメイドさん、遊んでんなぁ。
俺は、椅子に座り、周りを見た。
この屋敷、中に入って改めて思ったが、広い屋敷だな。
俺は周りを見渡していると、机の上に皿が置かれた。
「はい、出来たよー!お残しは許しまへんでェ」
ちょっと待て、料理出来るの早くないか?クラスである料理人のスキルかな?
出てきたのは鮭のホイル焼きのようなものだった。アルミホイルではなく葉っぱだったけど。
とても美味しかった。身はホクホクとしていて、バターのおかげで少しオレンジ色に近くなった肉は口の中でホロホロと溶けていく。柑橘系の汁をかけているのか酸味でさらに箸が進む。ご飯が欲しいなぁ。
「ありがとうな、美味しかったよー。」
「あいあーい、あとで金もらうぞ」
「あいよ、えーっと1000ギルくらいでいいか。」
「じゃあそれでイイよ」
俺は、怜に1000ギル渡した。
さて、おなかいっぱいになったし宿に帰るかな。
ダンジョンは、もう1回行くのはダルい。
宿に帰ろうと思った時、ふとバルコニーのほうを見るとアイナがいた。・・・ヤバい、すっごいお嬢様感が出てる。
「あれ?アイナ、なんでここにいるんだ。」
「あ!ご主人様。三香原様に呼ばれてここに来ました。ご主人様こそ、どうしてここに?」
あー、思い出した。そういえば、朝も言ってたな。
「ああ、俺の弟にメシを作ってもらってたんだ。リシアやシャティ、三香原先輩は、どこにいるんだ?」
「はい、三香原様と、シャティさんは外にいます。」
「外で何をしてるんだ?」
「決闘だ、そうです。仲が良いですよね、あの二人。」
アイナは子供を見る母親のような優しい笑顔を浮かべた。
「それで、ご主人様、弟様はどこにいらっしゃるのでしょうか?」
「うん?キッチンにいるぞ。ほらあそこ。」
俺がキッチンを指さすと、フリフリのエプロンを脱いでいる怜と、その横に紫色の髪で片目を隠した見た目は
すっごいイケメンなメイド服の女の人がいた。クールっぽい印象だった。背丈は怜よりほんの少しだけ小さいくらいだから168cmくらいかな。あの人が怜の担当メイドさんかな?
「あれ?そういえば、リシアはどこにいるんだ?」
「えーっと・・・そこにいます。」
アイナは俺の足下の近くを指さした。・・・足下?
そこを見ると、鎖でグルグルの簀巻きにされて、
少し焦げている気絶したリシアがいた。
なんかプスプス音が鳴ってる。
「おい!リシア、大丈夫か!?アイナ、何があった?」
「それが、三香原様と、シャティチャンの二人がケンカをしそうになった時、それをを止めたところ、怒られてこんな目にあってしまったんです。あぁ、あと、あきら様たちはケンカが始まる少し前にダンジョンに行かれました。」
アイツら絶対に逃げたな。
とりあえず、«回復魔法»をかけておく。まだ意識は戻らないが、気絶しているだけなのですぐに起きるだろう。
「アイナ、俺はリシアを連れて先に宿に帰ってるよ。
シャティと、三香原先輩のケンカにメドがついたら連れて帰ってきてくれ。シャティを頼んだよ。」
アイナは深々と美しいお辞儀をして『承知しました』と言った。・・・もう本当にお嬢様感がヤバいな。
リシアに巻きついているこの鎖きれるかな?
・・・まぁ、大丈夫だろ、なんとかなるさ。
俺はリシアをおんぶして宿に戻った。
鎖があるせいで、少し持ちにくかった。




