あのダンジョンの下で
短いのかもしれません。
まだ、アイナたちとの集合時間まであるけど
迷宮に行こうと思う。もっと近くで見たいからね。
それに、5分前集合は基本だから、まぁ、今のままだと15分前集合になるか。別にいいか。
迷宮の入り口近くには、人だかりができていた。
「なぁ、シャティ、アレなんだとも思う?」
「何だろうね。ねぇ、見に行こうよマスター。百聞は一見に如かずだよ。」
シャティは、俺の«倭文神»の端を引っ張り、
人だかりへと連れて行こうとしている。
その慣用句を実際に口に出した人は初めて見たなぁ。
「はいはい、わかったから、引っ張るな。」
俺とシャティは人だかりへと入っていった。
何とかして人だかりの一番前まで来た。
すると・・・
『勇者様たちがダンジョンから戻って来たぞー、出迎えろー』という声が聞こえた。
勇者って俺と同じ召喚された奴らのことだよな。
へぇ、こんな出迎えてくれるもんなんだ。
勇者たちがダンジョンの入り口から出て来た。
まるでパレードだな。
何人かが俺に気がついて近寄って来た。
あきらと、あと、駿か。あれ?その後ろの人は・・・
「お出迎えありがとうー。リンたろくん。やっぱり君は瑞樹のことが好きなんだねー、瑞樹も愛してるよー」
「三香原先輩!この世界に来てたんですか⁉︎」
この人は三香原 瑞樹さん、俺の中学からの知り合いだ。
クリッとした目に、キリッとした細い眉、整った顔立ちのニカっと笑う笑顔の素敵な人だ。
髪の毛は何故かツインテール。漫画でしか見たことがない。普段は大丈夫なんだが、時々苦手だ。
「そうなんだよね。補修に来てたら、床が光って・・・ん?リンたろくんちょっと聞いてもいいかな?」
「はい、何でしょう先輩。」
「あなたの腕に抱きついている少女は何者なの?少女っていうか幼女だけど」
「えっとこいつは・・・シャティと言いまして。」
「ウチの名前はシャクティ=ネクター、マスターの奴隷だよ。」
その事をきいて、周りがざわついた。主に勇者組が。
『あんな小さな子を奴隷にするとか』
『ロリコンなのかな?あの人』
『おまわりさんアイツです、アイツが犯人です。』
俺はロリコンじゃない。おいコラ、あきらなぜ、お前まで嫌なものを見るような顔をする。お前がロリコンだろ。
「奴隷ってどういうことかな?リンたろくん。
瑞樹のような美人が近くにいるのにそんなもの必要なのかな?ねぇねぇ????教えてよ。ねぇねぇねぇ?」
三香原先輩の、目が焦点を失い、空虚なものになった。怖い。クビをホラー映画に出てくる人形のようにカクカクするのやめてください。、
「せ、先輩、これには訳がありまして、聞いてください。」
「理由など聞きたくない!」
そんな!理不尽な!
その時、シャティは、さらに燃料を投下した。
「あと、ウチはマスターのお嫁さん候補だよ!ちなみに第三夫人を予定してるよ!」
周りの空気が完全に凍った。
シャ、シャティー!何を口走っているんだ。
あと、お嫁さん候補ってなんだ!俺は聞いてないぞ。
冗談だよな?
・・・なんで!頬を赤らめる!?『ぽっ』じゃねえよ!
「は、はははは。リンたろくんにはお仕置きが必要なようだね。ひとつ教えてあげよう、瑞樹のクラスは黒魔術師なんだよ。だから、君に呪いをかけてあげよう。瑞樹に惚れる呪いをね。もう、君は瑞樹なしじゃ生きられないようにしてあげるよ!」
三香原先輩は、乾いた笑いをしながら、
どこからともなく鎖を出してきた。鎖の先には針のようなものが付いている。
「せ、先輩。その鎖はもしかして・・・」
「そうだよ。これが瑞樹の専用武器さ。あとは、この杖かな。」
そう言って、三香原先輩は、動物の骸骨がついてる真っ黒の杖を取り出した。本当に怖ぇよ!
『ジャラジャラジャラジャラ』
鎖がひとりでに動き出した。何それ、はぁ?
これは、不味い!ここから逃げよう!
絶対にヤバイことになる。
「シャティ!掴まれ!」
俺はシャティを、抱き寄せる。
「逃げられると思ったの?リンたろくーん!」
「て、«転移»!」
俺は、とっさに«転移»を使って建物の上に逃げた。
«影転移»ではなかったのは俺が焦っていたからだ。
俺が転移するタイミングと同時に俺がいた地面に鎖が刺さった。
「リンたろくーん、どこに行ったのー?次に会ったら訳を話してもらうからねー。アハハハハハ!」
三香原先輩が、叫んだ。
・・・本当に怖かったです。
なぜかシャティは、『強敵ね、でも、負けないんだからね。』と、つぶやいている。何を言っているんだ。
そのあと、建物の上からアイナとリシアを見つけた。
彼女たちのところに移動して、宿に案内してもらった。
今日はさっさと寝よう。きっと悪い夢だ。
倫太郎、アナタ疲れてるのよ




