新たな街へ
新章に入りました。
次の日、王さんは約束通り馬車を持ってきてくれた。
まぁ持ってきたのは、前に俺たちが泊まっていた宿を教えてくれたモブ顔の人だった。この人も大変だな。
馬車は、幌馬車といえば分かりやすいかな。
綺麗な馬車だ。荷台のようなところにはかなりの数の荷物が置けるくらい広かった。これ、4人で寝ても余裕なんじゃないかな。でも、これお高いんだろな。
もちろん馬も頂いた。馬の種類は、元の世界で言うところの、ペルシュロンという種類によく似ていた。特徴としては足が短く、胴が太いが、ものすごく力が強い種類の馬だ。2頭の名前はそれぞれ名前は、ディオとメデスと言うらしい。
ディオは、名前こそ某超有名なマンガの、人間を辞めたり時を止めたりするボスのような名前だが、そのキャラとは違い優しい瞳をしていた。まぁ、俺には馬の気持ちなんて分からないんだけど。毛並みのほうは、真っ黒だ。
メデスのほうは、医薬品みたいな名前だけど、
・・・特に特徴がない。毛並みが白っぽい以外普通の馬だな。なんか頼りない感じがするなぁ。
ええい、貧弱貧弱ぅ!
今思ったんだがこの二頭名前を合わせると『ディオメデス』にならないか?ディオメデスというと、神話に出てくる英雄ヘラクレスの12の難行の1つでもある人喰い馬と同じだなあ。まぁ、ディオメデスは、人の名前なんだけど。なんだか不安だな。
まぁ、細かいことは気にしないようにしよう。
とりあえず、恒例行事としてリシアに聞く。
「次の国ってどこに行くんだ。」
「確か他の勇者様がたはルート通りだと
『迷宮都市ラカタ』にいるはずっス。だから、今度はそこに行くのがいいと思うっス。何よりこの国から近いっスからね。」
俺は魔王を倒しに行く気はないから、他の召喚者たちと同じルートを行くことはしなくて良いのだが、迷宮都市というなら話は別だ。やっぱり、異世界に来たらダンジョンに行かなくちゃ。異世界転生もしくは召喚系ラノベでも必ずと言っていいほどダンジョンには行ってるしね。楽しみだー。
『パカラ パカラ パカラ パカラ パカラ』
馬の蹄の音が、一定のリズムめ軽快に聞こえる。
一定のリズムって眠たくなるよな。
今の御者は、リシアに任せてある。
リシアたん、ときどきポンコツだけど、有能だなぁ。
「どれくらい迷宮都市までかかるんだ?リシア」
「えっと・・・二日くらいっスね。」
二日かー、かなり遠いな。まぁ、リシアだし道に迷うことはないだろう。だってスキルで«道案内»っていうスキル持ってるくらいだもんね。
それにしても、リシアはかなり馬車の扱いに慣れているらしく、ほとんど馬車は揺れない。これだったら酔う心配はない。ていうか遅くね?
まぁ、旅っていったらこんなもんかな。
馬車の中で寝転がりながら、空を眺める。
ちなみに馬車の中には、荷物はない。
街で買ったものは全部俺の『影収納』にいれているからだ。ていうか、元々そんなに荷物買ってないし。
綺麗な空だなぁ。絶好の昼寝日和だ。
某超超超有名な作品のメガネの少年が、寝ることが大好きな理由が分かった気がする。俺も寝ることは好きなんだがな。多分、今の俺の目はいつもより遥かに死んでいるだろうな。
そんなことを考えつつぼーっとしていると、アイナがほんのり顔を赤く染めながらいそいそと近づいてきた。
ちなみにシャティは、馬車の出口?のほうに座り足をぶらぶらさせている。危ないな、落ちたらどうするんだ。
「ご主人様、頭をあげて顔を横に向けてください。」
何だろう?頭をあげる?あー、頭も動かすのもめんどくさいなぁ。まあ、アイナの頼みだし、頑張るか。
「こう?アイナ、これでいい?」
俺は筋肉を使い頭をあげる。意外と首だけ上げるって結構、筋肉使うんだぜ。
俺が首を上げるとアイナはサッと俺の頭の下にふとももを入れてきた。わぁーい、ここが俺の死に場所かぁ。
我が生涯に一片の・・・って、なんじゃこりゃー!
ア、アイナさん。どうしたんですか?
俺は、若干パニックになった。
シャティも気づいたようで『何してるの!アイナっち、ウチもしたい!』と言っている。
・・・何を言っているんだろう?
「シャティちゃん、私はご主人様のお世話係として仕えています、だからこれは、仕事の1つなのです!」
アイナはビシッとシャティにそう言った。
言っているセリフがまともだったらカッコイイんだけどな。
それからしばらく俺はアイナに、ひざまくらをされていた。シャティの目から光が消えている。
まるで深淵だ。ジーッと俺の方を見ている。
なんだかいたたまれない気持ちになり、アイナのふとももから退こうとすると、アイナがものすごい目で睨んできた。ちょっとでも動いたら殺す!と言わんばかりの目だ。まるで、あきら担当のロリメイド(偽)さんの目のようだ。怖い。頭を太ももを戻すと顔が蕩けた。
そのまま馬車に揺られながら、時間は過ぎた。
幸せそうな顔のアイナと、怖い目をしながら半笑いのシャティの2人に囲まれながら。
何回か御者台にいたリシアはこっちを見たが、
2人の放つ空気が、怖過ぎて、すぐに前を向いた。
助けてよォリシアたーん。
ちなみに今は誰も喋ってなく、パカラパカラと、
馬の蹄の音の 音だけが響いている。
心なしか馬も怖がっているような。
「うん?何だ?なんか来たぞ。」
しばらくすると、スキル«気配察知»になにかがかかった。このスキルぼんやりと、分かるだけだから遅れるんだよな。馬車から外を見ると、狼みたいなのがいた。
白いなぁ。もう少し大きかったら、黙れ小僧って言ってきそうな感じだ。
「白狼っスね。かなり厄介な魔物です。群れで行動し襲ってくるっス。行商人にとっては天敵のような存在ス。」
御者台にいるリシアが、すこし怯えながら伝えてくる。
練習していた«影の支配者»の能力の1つである、影でモノを作るというものを使おう。
名前を決めたいがいいのが思いつかないから、適当でいいかな。う〜ん、じゃあ«道具作成»にしよう。イマイチカッコよくはないんだけどな〜。
『承知しました、その名称で登録します。』
俺は«道具作成»で、影の槍を作り、思い切り投擲した。
ゲ○・ボルグ!と叫びたくなるなぁ。
何匹かの白狼に、刺さり貫いた。うわぁ。
死体は«影収納»に入れておく。なにかの役に立つかもしれないからな。
俺はアイナたちに命令する。
「アイナとシャティは、馬車を守ることに専念してくれ。。リシアは俺と来い、さあ、狼たちを狩るぞ。」
「任せて!」「承知しました」「了解っス。」
そのあと、シャティが、炎魔法で槍のようなものを作り飛ばしたり、アイナが矢で貫いたり、
リシアが狼を三枚おろしにしたりと、活躍してくれた。
意外と楽勝に勝てた。
シャティの魔法はかっこよかったな。
『炎魔法取得しました。』
よし、これで俺にも使えるようになったー。
・・・ご都合主義様々だな。
俺たちはいま、鍋の周りを囲んで座っている。
その日の夜ごはんは、シャティが、腕をふるって
ポトフを作ってくれた。野菜はグラニースで買ったもので肉はおなじみイノシシさんのお肉だ。
大きな鍋でグツグツ煮ている。いい匂いだ。
『ぐー』とお腹がなった。それが誰のお腹の音かは分からなかった。リシアもアイナも、もちろん俺も、鍋をジーッと見ていたからだ。誰のお腹がなったなんてどうでもよかった。
「お待ちどうさま。熱いから気をつけて食べてね。」
「「「いただきます!」」」
ポトフは、火傷しそうなほど熱いが、
それをふーふーしながら食べた。
優しい味だ。野菜の旨味が体に染み込んでいくようだ。イノシシさんの、お肉は、普通に焼くだけでもかなり美味しいはずだが、野菜の甘みがその美味しさを上げている感じがする。
美味い!ふと、アイナのほうを見るとものすごい幸せな表情をしている。俺は思わずそれを見て笑ってしまう。かわいい。美味しそうに食べ物を食べる女の子っていいよね。
シャティが、ふと近づいてくる。
「マスター、美味しい?」
「もちろん。ありがとうなシャティ。」
「じゃあ、ご褒美に頭なでて。」
俺はそれに従い、優しく頭をなでる。こんな美味しい料理を作ってくれたんだ、これくらいしないとな。
「えへへへへ♪」
かわいいなぁ。あれ?そういえばシャティって何歳なんだ?
「シャティ、ひとつ聞いていいか?」
「何?マスター?」
「お前何歳なんだ?」
「・・・乙女の秘密よ♪」
秘密ならしょうがない。聞かれたくないなら聞かない。
その日は、俺とアイナが、火の番をした。
シャティと、リシアは、馬車の中で俺が«影収納»から出した布団をしたに敷いて寝てもらっている。
馬車の中で寝ると身体がバキバキになるからな。
火の番をしながら、アイナと話をした。
「ご主人様は、ご兄弟は、いらっしゃるのですか?
あの、ご主人様を鞭で叩いておこした女性は妹さんですか?それとも・・・」
「あぁ、アイツ?アイツは俺のいとこだ。
兄弟は1人弟がいるよ。多分この世界にも来てると思う。なぜそんなこと聞くんだ?」
「・・・未来の弟になるかもしれないからです」
ボソッとなにかを言ったが聞こえなかった。
「うん?なんて言ったんだ?」
アイナは顔を真っ赤にしながら、上目遣いで
『あ、えっと、ご主人様のことをもっと知りたかったんです!』と言った。そんなこと言われると惚れてしまうではないか。
「アイナにはいるのか?兄弟姉妹?」
「はい、何人かいます。全部妹ですが。特に私の下の妹はかなり優秀な女の子です。私の何倍もすごい子です。」
へぇ、アイナよりもすごい子か。
どんなだろうな。っていうか全部妹って。逆に凄い。
そのまましばらくアイナと話した。
それから二時間くらい経つとアイナは眠たそうに、
うつらうつらと、揺れていた。
俺はアイナを、持ち上げ馬車の中に運んだ。
3人は川の字になってしあわせそうな顔で寝ている。
おやすみ、3人とも。
その後は焚き火の明かりで本を読んだ。
それにしても、星がキレイだなぁ。




