フリーチェ王国編3
多分短いです。
異世界生活1日目。
今日は、俺たち個人個人の“クラス”と、異世界召喚を受けた者の特典である専用武器を調べるようだ。
クラスは、異世界もののライトノベルでよくある職業…この場合は、収入を得るというものではなく、個人個人の能力の特徴に、名前をつけたものだと思って欲しい。
この“クラス”は、この世界の人なら誰でも持っていて、俺たちのような異世界から来たものは、無駄に個性に溢れていたり、複数持っていたりといった特徴があるようだ。
続いて、専用武器とは、その名前の通りその個人にしか使うことが出来ない特殊なものだ。
こちらはクラスとは違い、この世界の人は持っていないのが普通らしい。
中には持っている者もいるが、大抵が譲り受けたり、強奪したものなのでまともに使うことが出来ない。
また、専用武器の中には意思を持っていたりするものもあるそうだ。
専用武器は千差万別、どのようなものでもありえない強さを誇るらしい。
クラスは、そんなに個性が豊かでなくて構わない、ありふれたもので充分だ………希望としては、やっぱり俺も男の子だから………剣とか銃とかその辺の扱いが得意なものがいいな。
専用武器は………剣とか槍とか……銃とか?見た目がかっこよかったら特に文句は無いな………意味不明な武器とかは勘弁していただきたいが。
朝早くから、お城の中庭に集められた俺たちは、青っぽい色をした水晶に触れて、自分のクラスやステータスついて調べていた。
水晶は、古代のアーティファクトって言うのかな………まぁ、とにかくとても貴重なものらしく、一つしかないため、俺は長い行列に並んでいた。
来るのが遅く少し後ろの方になってしまった。
列の前の方では、歓声が上がったり、ため息が聞こえたりと大盛り上がりである。
列から外れた人たちは互いのクラスについて話し合っていたので、耳をすませて聞いていた。
クラスでも、かぶっているという人はいなかったが、似たような人たちはいた。例えば、剣士とソードマンとか………っていうかほとんど同じ意味じゃん。
中には当然、珍しいのも何人かいる。
例えば、修行僧や釣り師、天馬騎士とか。
天馬騎士ってカッコイイなぁ………馬さんがいないけど、それでも天馬騎士なんだ。
俺の知り合いも何人かクラスを調べ終わり、列に並んでいる俺に教えに来た。
まず、俺の従姉妹であるあきらのクラスは、召喚術師。その名前の通り、召喚術を使用し、召喚獣を呼び、それと共に戦うといったものだ。召喚獣は動物だけとは限らず、人によっては植物を呼び出したり、動く鉄の塊を呼んだり、見たものの心を折るような気味の悪いナニカを呼ぶ人もいるそうだ。
動物が好きで、しかも懐かれやすかったから、納得の結果だ。
次に、俺の友人の青木駿、コイツは拳闘士、剣闘士ではなく拳闘士、自分の体を武器とし、強靭な肉体のみで戦場を駆け抜ける………まぁ、筋トレが趣味なだけあるなと、納得してしまった。
あと、男なのにクラスが巫女だと言う人もいた。
男の娘ならギリギリわか……るけど、そいつはメタボ気味な奴で、メガネで………見た目通りのやつです。
オタクですよ、俺の高校で出来たオタク友達ですよ、
名前は杣友和也、彼についての説明は………まぁ、いいかな。
ただ待つことがこんなに辛いなんて知らなかった………まぁ、年末と夏にある某イベントに何回か行ったことがあるから、なんとか………ギリギリのところで耐えることが出来た。
俺は、心臓が高鳴るのを確認しながら、自分の姿が反射している水晶に触れる。
性格的に狂戦士になる確率が高そうだが………もし叶うのならアーチャーか、マイナーだが、ウォーロックとかなら嬉しい。ウォーロックとは、男性版の魔女……そう言えば魔女という言葉を英語にするとウィッチだけどあれって初めは、男女の区別がなかったみたい。魔女狩りというものが起こり、ウィッチ=魔女となったみたいだ。
さて、俺のクラスとステータスはどんなのかな?………なんか、他の人より時間がかかっている気がする。水晶の担当の人も若干顔を曇らし始めたし………まさか………クラスが無いなんてないよね?
俺の心配は無駄になったようでちゃんと推奨に浮かんできた。水晶の担当の人はそれを急いで紙に書いて渡してきた。
そこにはこう書かれてあった。
『名前:勝頼倫太郎。
クラス:影法師
種族:人間(男)』
手のひらよりも大きい紙には、真ん中にそれだけしか書いてなかった………他の人のようにステータスや、スキルは書いておらず、本当にそれだけだった。念の為、太陽に透かしたり色々してみたがそれだけだった。
スキルやステータスは急いでいたから書くことが出来なかったのだろう………ちなみに、皆さんは影法師というものを知っているだろうか?
影法師とは、人の影の妖怪である。
…………って妖怪じゃん!
影が人より薄いからって………妖怪判定するなんて酷いなぁ。あきらに頼まれたので見せたが………納得したような顔をされてしまった。
その顔は………思い出しても腹が立つ顔だった。
ま、まだだ。俺にはまだ専用武器という希望が残っている………専用武器はクラスに沿ったものが多くなるというが………うぅ、気にしないようにしよう。
鎌とか、その辺の印象の悪いものにならなければいいけど。
ちなみに、俺の中学時代の影でのあだ名は、極道だったりする………あと、死神とか殺し屋とかあったな。
多分殺し屋とかのあだ名の理由は、この生まれ持った目つきの悪さと、右眉毛の上あたりにある、結構大きな傷痕が大きな原因だろう。
この傷は小学校の時、間抜けな事故のせいで負ったもので………なかなかに目立つ。
俺はただ一心に自分の専用武器がまともであり、凶悪な見た目をしていないことを祈った。
頼む………武器くらいはまともであってくれ。