頭の中ちゃんぽん
最近少し面倒な仕事に追われていたので更新が遅くなりました。
ギルドには、冒険者たちが依頼に行く前にモチベーションを上げさせる、または依頼を終えて帰ってきた冒険者たちのために酒場のようなスペースが存在している。
と言うか、ほとんどが酒場みたいなものだ。
朝が早いため、酒場のような食事場所にいる冒険者の人は少なく、反対にギルドの受付のところや、依頼が書かれた紙が貼ってあるクエストボードのところに集まっていた。
俺は、ココを抱いたままカウンター席に座る。
ギルドマスターさんの所に行っている受付係の人が戻ってくるまで長そうだから、飲み物でも飲んでいよう。
「すいません、注文いいっすか?」
俺は、目の前にいるコップを布で拭いている店員の人に話しかける。
今店員さんは目の前の人しかいないので、仕事の邪魔かもしれないが、仕方がない。
「・・・・・・・。」
しかし、店員さんはボーッとしながらコップを拭いていた。
声が小さかったかもしれない。
もう一度だ。
「すいません、注文いいっすか?」
「・・・・・・・・・・あっ、いらっしゃい。
何にしますか?」
5回目でようやく店員さんに届いた。
やっぱり声が小さいのかな?
もっとハキハキと喋ろう。
「それじゃあ・・・ホットコーヒーでお願いします。」
「分かりました、他には注文ないですか?」
「以上です。」
「少々お待ちください。」
店員さんは、そう言い、コーヒーミルを使い、コーヒー豆でいい音を鳴らし始めた。
どうしてこんなにコーヒー豆が砕ける音って、渋いんだろうな。
完成したホットコーヒーをゆっくりと冷ましながら飲み終えると、丁度いいタイミングで受付の男性が戻ってきた。
俺はお代を払って受付の男性のところへ向かう。
「ギルマスが部屋に来いってさ。
と言うか、お前なんでネコ撫でてんだ?
どこから連れてきた?」
「僕のペットです。」
「うん。まぁ、お前のことだから、うん。」
召喚獣って説明するのも面倒なので、俺がそう言うと、何か歯切れが悪そうに受付の人は言う。
何か釈然と・・・痛っ!
俺の胸のところで抱かれていたココに、手を噛まれてしまった。
傷は浅いが血が出ている。
「【どうした、ココ。痛いんだけど。】」
「【こら!あるじ様!
ちゃんと余のことは召喚獣だと説明するのだ!
でないと、ただの可愛すぎるネコちゃんだと思われるじゃろうが!
舐められたら終わりなのだぞ!】」
古いタイプのヤンキーみたいなことを言うなぁ。
あと、自分で可愛いというのかよ・・・・・まぁ、たしかに可愛いんだけど・・・・自分ではなぁ。
「【聞いているのか!あるじ様!】」
ふしゃーと、少し目を釣りあがらせているココを黙らせるためにとりあえず、喉を撫でておく。
するとココは目を閉じて体重をかけてきた。
「【あるじ様ぁ。
そこじゃそこ、きもちいぃ・・・って余は誤魔化されないぞ!】」
ココは閉じていた目をカッと開いた。
やっぱり、こんな単純なことでは機嫌が直らないか。
子を守る猫のように・・・・猫なんだけど、ふしゃーふしゃーと唸ってうるさいココのことは放っておいてギルドマスターさんの部屋に案内してもらう。
失礼だが・・・このギルドの一番偉い人だからやっぱり、桐○一馬みたいな感じなのかな。
全体的に、ギルドの職員さんはそういう系の見た目の人が多いからね。
あっ、酒場の店員さんは女性の方だったよ。
酒場の店員さんの見た目は・・・・そうだなぁ、
ギルドの職員の方達と一緒にいると、例えるなら、田舎から出てきたばかりの少女が悪い大人に捕まった、そんな感じに見えてしまう。
全体的に美しいと言うより可愛いという印象が強い人が多い。
そのため、このギルドでは年に何回か、初心者が自警団の人に通報をするということが起きるらしい。
・・・・ちなみに、ギルドではそれを解決するために、職員の人の頭にハイビスカスのような花を付けて可愛さをアピールしようとしたことがあったらしい。
しかし、子供がたくさん泣いたため、すぐに終わったらしいが。
「君には、海の真ん中にある国『海洋国家プルモ』に行って欲しい。
そこで、とある魔物を倒してきてほしいのだ。」
ギルドマスターさんの部屋に入って、コーヒーを出されながらそう言われた。
・・・・さっきコーヒー飲んだばかりなんだが。
失敗したな、茶にしておけば良かった。
あっ、ギルドマスターさんの雰囲気は、桐生さんというより、碇ゲン○○のようだった。
見た目は40代くらいで眉間のシワは深く刻み込まれている。その目付きは・・・・目付きだけで人を殺せるかもしれないレベルだ。
髪の毛は単発でソリ込みがきっちりと入っている。
「返事を聞かせてもらってもいいかな?」
少しボーッとしていたらドスの効いた声で睨みつけてくる。多分、睨みつけてはいないのだろうが、この人の雰囲気では、仕方がないだろう。
そう言えば、ギルドマスターさんの名前はロットさんと受付係の人が教えてくれた。
・・・・・特に感想はない。
それにしても・・・・返事・・・か。
・・・・どうしようかな、俺としてはギルドには、色々とお世話になっているから、いいんだけど・・・アイナたちの意思にもよるな。
・・・・いや、俺だけでいいのか?
そのへんも話し合わないとな。
・・・・俺としては・・・彼女たちと・・・どうなんだろうな。
「まだ答えられないか?」
「・・・・・・はい。2、3日待っていただけませんか?仲間たちに意見を聞いてみますので。」
「あぁ、分かった。良い返事を待ってるよ。」
「ありがとうございます。」
「あと、これは命令だから、断るなんて選択肢はないことぐらい・・・・」
「それは十分承知しております。
それでは私は帰らせていただきます。」
ロットさんの部屋を出ると、いつものように頭を乗っていたココが念話で話しかけてきた。
いつの間に乗ってたんだ?懐に抱いていたはずだが。
「【それで、どうするのじゃ?あるじ様?】」
「【さっきもロットさんに言った通り、アイナたちに聞いてみないとなぁ。】」
「【もし、アイナたちが、嫌です!、とか言ったらどうするのじゃ?】」
ココは俺の額をぺちぺちと前足で叩いてくる。
肉球柔らかいなぁ。
「【そん時はその時で、俺が1人で行ってくればいい話だ。彼女たちの意見はできる限り尊重したいしね。】」
「【そうか・・・・・あるじ様的にはどうなのだ?】」
「【どうとは?どういう意味だ。】」
「【彼女たちと離れることに何か感じないのか?そして、お前の考えには・・・お前の意思が入っていない。
お前は・・・・いや、これは言わないでおく。】」
その後ココは一切喋らなかった。
俺の意思・・・・・はぁ、まだ高校生の俺にそんなこと・・・・・。
深いため息が出た。
本当に、こういうところだよな。
頭の中ゴチャゴチャのまま、ギルドの酒場でお昼ご飯を食べて、そのまま気がつくと屋敷へと帰ってきてしまった。




