毒、濁、独
たまに、こんな気持ちになります。
それは、じわじわと静かにやってくる。
誰にも気付かれないように。
足音を一切立てずに。
体をどんどん蝕んでいく。
そして、いつの間にか体中に蔓延するのだ。
まるで、毒の様に。
気付いても、もう間に合わない。
いつしか透明感はなくなり、色を感じる事が出来ない。
緑が綺麗に映えていた景色。
美味しそうに見えていた食べ物。
優しい笑顔が大好きだったあの人。
全てが、黒く黒く濁って見える。
「いっそ、全て塗り潰してやろうか」
そう呟いた声は独り、誰にも届かなかった。