【灰塵の中から現れ出た矜持の七人。】
『邪魔だぁーーー!!』
『鉄屑ども!!』
『そこを、どけぃーーー!!』
道端で鉄屑を拾い集める戦災孤児達を手荒く払い除ける大男の集団。
縦長の盾に大きな鉄槌を肩に抱えた厳つい武装の一団が廃墟と化した街を我が物顔で闊歩する。
占領軍、血の爪団❰ブラッド.クロー❱の部隊である。
黒煙が、いたるところで立ち上り親を亡くした幼子たちが路傍で立ち竦み泣いている。
凄惨な戦争の傷跡が至る所に見られ横たわる死人に驚く素振りもなく擦れ違う人々。
栄華を誇った、この聖都は、かって地の四隅、津々浦々に住む人々に至る迄、熱い眼差しを集める羨望の都市であった。
しかし今や壮麗な建造物は見る影もなく無惨な残骸を晒していた。
死人の悪臭が漂い、鎮魂歌の如く未だ助けを求める声が絶えることがない荒廃した戦災地。
これは、そんな塗炭の苦しみと灰塵の中から立ち上がった七人の少年少女達の物語である。
生活の糧を得るため鉄屑を拾い集めては闇市の行商人の元へと荷車で運ぶ、その姿に人々は彼らを鉄屑と呼んだ。
やがて彼らは、その名を大地に驚かせる救世の勇者へと変貌するが今は、まだ小さき者達に過ぎなかった。
少年少女たちは運命の糸
を手繰り寄せるように一人、また一人と不思議な力により集められて行く。
この物語は聖都の港へ入る大型のガレー船上に立つ二人の人物の会話から幕を開ける。