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gossip*error②

作者: aotohana



中学ん時の勘違い。


あいつの「特別」になりたくて…


ずっと…。





「千早って…慣れてるよね」


いきなりの、ふうこの言葉に俺は飲んでいたジュースを吹き出しそうになる。


「…何がだよ」



「別に…。ってか千早顔赤いんですけど」






千早と私は一応付き合っていると思う…たぶん。

中学の頃、変なあだ名をつけ、からかってきたあいつ。


1週間前にようやく両想いになったわけで。


だけど…なんか、心の奥、もやもやがある。


千早は茶髪にピアス、見た目ちゃらいかんじだから、男友だちには「たらし」なんてよく言われてる。



千早は女の子にも変わらずに接する。

男女で差がないことは、いいところだと思う。

けど…また3組のともちゃん来てるし…。

付き合う前と何にもかわらない日常。







慣れてるってなんだよ。

べつに、そんなことねぇし…。



ありえない状況に俺はとまどっている。

隣のクラスの、山田卓也となぜか一緒にいるからだ。


気まずい…。


「斎藤って、正直俺のこと、嫌いだよな」


俺から渡された、包みを受けとった山田の思いがけない言葉に、つまる。


「や…別に、嫌ってなんか…」


ほんとはあんまよく思ってねぇんだけど…

んなこと言えねぇし。


「まぁ、俺はお前のこと嫌いだけどな」


は?

ふざけんなよ。

だから嫌だったんだよ、なのに風子の奴が頼むから…。




昼休みのことだった。屋上でヤスたちと飯食ってたら、小さな包みを持って風子がやってきた。




「何どうした?」


風子は息を切らしていた。


「やっとみつけた~、悪いんだけどこれ、卓也に渡してくんない?」


なんで山田?


「なんで俺が?つか何それ?」


「探してたんだけど、1組にいなくて。私放課後、委員会だから渡せないし。千早、次合同だから会えるでしょ」


予鳴がなる。


「ヤバイ…じゃあ、お願いね」


いったいなんなんだ?




で…今に至る。


「ふうこが俺に何…」

山田は包みをあけ、メッセージカードらしいものを見る。


!?


なんだ?いったい…

山田は笑っていた。もちろん声に出してじゃねぇけど、なんつーかこいつのこんな柔らかい表情初めてみる。



「お前それ何?笑顔マジこぇんだけど…」


やっべ、怒らしたかも。


「じぁ…俺行くから」


用件は済んだし、立ち去ろうとするけど…


「斎藤、風子に言っといて」


何が?俺は振り返る


「手作りクッキー俺もらったことないから、すげぇ嬉しいって」


は?


「そんだけ、じゃあな」


俺を残して、あいつは言うことだけ言って去っていった。





放課後の屋上。


千早はほぼ毎日バイトが入っている。

2人とも帰りは逆方向だから、千早のバイトの時間までここで過ごすことにしている。


ちょっと嬉しい2人の時間。

この時間が付き合う前と変わった唯一のことかな。



けど、千早はどこかぼんやりしてる。


「千早、疲れてる?」


「いや…別に」


千早ってあんま弱音吐かない。以前もすごく顔色悪いのに、無理してたりして…心配。でもね…私の知らない…千早にとって頑張らなきゃいけないってものがきっとあってね、



だから心配だけど、何も言えないんだ。






「あ…あのさ、山田がなんかクッキー嬉しいって言ってた、手作りって…」


俺が言うまで風子はすっかり忘れていたらしい。


「あ~、そうだった…そっかぁ、卓也喜んでたんだ、良かった、千早渡してくれてありがとね」


嬉しそうに微笑むふうこ。


なんでさ…あいつにやったの?


ガキくさくて…そんなこと聞けねぇか…。


「よかったな」


俺も笑って返した。






昼休み。屋上で結城、ヤスたちとだらける。

腹もいっぱいになって眠いし…。

ここんとこ、バイト忙しかったからな…



「なぁ、千早」


「何?」


ヤスが真剣な表情で俺を呼ぶ。


「千早はマジでふうこと付き合ってんの?」


あれ?俺、こいつらに隠してねぇし、前に言ってたんだけどな。


「そうだけど、何?」


「ほら、やっぱちゃんと付き合ってんじゃん、だから言っただろ、結城」


ヤスと結城の言ってる意味が分かんねぇんだけど。


「いや…なんかさ…なんか千早と風子ってそういうイメージなかったからさ…」


思ったことをはっきり言うヤス。


「ほら、お前モテるしさ、風子は山田とずっと仲良かったじゃん、俺らてっきり山田と付き合ってんだと思ってて」


慌ててフォローする結城。モテるってことでごまかそうとしてっけど…全然フォローになってねぇし。



「山田とはなんでもねぇよ、てか俺も別にモテねぇし…噂だろ」


俺はなんでもないふりして笑った。

周りにもやっぱり、俺らってそんな風に見えんだな。



「千早…風子とはどこまでいってんの?」


「お前手はやそうだよな、たらしだし」


たらし?

ちゃらい?


いつもの俺の印象だ。


「お前らには絶対言わねぇよ、バカすぎて」


俺たちはじゃれあう。





放課後の屋上…委員会があって、顔だしてたら遅くなっちゃった。


急いできたんだけど…


千早…寝てる。

少し冷たい風が彼の茶色の髪をふわふわ揺らしている。


やっぱ疲れてんのかな…

ちゃんと寝てんのか心配になる…


なんで千早はいつもへらへらって笑ってんだろ…。


「千早…風邪ひくよ」


柔らかそうな髪を撫でる。



「…ん…ぶ…ぅこ…」


寝ぼけている彼にキスされた。

いつもより…なんか長い。息できない…


!?


彼がびっくりして私から離れる。


「風子?あ…なんか悪い…ごめん俺」



もう…恥ずかしすぎる。

心臓の音うるさすぎ。





ぶーこ…千早そう呼んでた。

それは中学の時に彼がつけた…変なあだ名。



寝ぼけてて…けど彼の中私がちゃんといる?

すごく嬉しかったりする。


心の奥のもやもやが…一気に吹き飛んだ。


私って単純なのかな…。





中学ん時の夢見てた。


俺はぶーこのこと何回も呼んでんのに

あいつには聞こえないみたいで


振り返んない。

あいつの先には必ず山田がいるんだ。


俺はすごく悲しくなる。

そしてこっちを見て欲しくて何度も呼ぶんだ。


やっと振り返ってくれて…


「千早」


って笑って俺のこと呼ぶから

俺、すっげ嬉しくて…なんか泣きそうになって…


そんなぶーこにキスをした。






帰り道…卓也を発見した。

私と同じ方向ってことは、葵と会うんだな。

よかった…。


「卓也」


私は走っていき、声をかける。


「なんだ、風子か」


なんだって…失礼しちゃう。


「そんなこと言っていいの?仲直りのきっかけ作ってあげたのに」


罰が悪そうに卓也はため息をつく。


「やっぱお前に相談してたんだ」


「で、塾の紗結ちゃんとはいいの?」


私はいじわるっぽく言う。


「お前、楽しんでるだろ…俺あいつのこと、なんとも思ってないし、はっきり断ったんだよ、それなのに葵に誤解させるようなこと言うから」


卓也は中2の妹と付き合っている。

塾が一緒なんだけど、その…紗結ちゃんって子が卓也のこと好きで…葵に根も葉もないことを言ってきて…2人はケンカした。



まぁ、一方的に葵がすねてたんだけど。

けど、やっぱり会いたくなって、手作りのクッキー

にを渡すはめになった。


その日忙しくて、卓也にもなかなか会えなくて…渡してくれた千早に感謝なんだけどね。


「ねぇ、メッセージカードなんて書いてあったの?」


瞳が合う。けど、全然卓也はいつもと変わんない。


「教えない」


つまんない…。



「なぁ、ふうこ、斎藤とどう?」


「千早?…べつに…変わんない、なんか疲れてるみたいで心配」


私も頑張って普通に話す。


「じゃあさ…風子も、葵みたいに手作りクッキー作ってみたら?けっこう元気でるよ」


私あんま料理得意じゃないんだけどな…

ってか、あいつはそんなん喜ばなそうだけど、


「マジでこれ食えんの?」とか

「いらねぇし」とか言ってヤスくんたちにあげそう


何より…そんなことすんの…ちょっと恥ずかしい



「ほんとに元気でる?」


「あぁ、まぁ…あいつ単純バカだから、絶対元気でるって」



単純バカって…しかも卓也また1人楽しそうだし…

意味わかんない。






放課後の屋上



「あのさ…千早これいる?」


初めて作ったからなんだか、反応がドキドキする。


「なにそれ?」


私の包をみて彼は不思議がる。



「クッキー…だけど…いる?」


彼の瞳が揺れる。


「いらねぇ」


彼のいつもより低い声。


……恥ずかしい、こんなことして私…。

差し出した包を引っ込めようとしたのに…



「…って嘘…俺…それほしい」


そういって今度は笑った。





私の手作りのクッキーは、葵のように上手くできなくて…形もいびつだし…焦げてるのもあるし…



なのに…


「うまいよ…」


そういって彼は笑うんだ。


好きだよ…千早。






あいつと一緒のクッキーなんていらない。


だって、山田と俺は違うじゃん。


俺はずっとふうこの特別になりたかったんだ…


気持ち伝えたけど…なんか不安なんだ


俺ばっかなんじゃないかって


また勘違いしてんのかなってさ…



けど…泣きそうな風子を見たら

受けとるしかできない…


ほんとは欲しかったんだ


ふうこの手作りクッキー、俺も。





「葵のはね、もっと上手にできてたんだよ。卓也も美味しいって言ってたし…私のは…下手だから…あんま無理しないでね」



千早は全部食べそうな勢いだったから、私は心配になって言う。



!?


食べていた…千早の動きが止まる。



「山田のって…妹が作ったの?」


なんか訳わかんないこと言うし…


「そうだけど…?何?」


……。


「何でもねぇ」


そう言うと彼は無邪気に笑った。



あ…そういえば…卓也が千早のこと『単純バカ』って言ってたよね…。



どう意味なんだろう?




end



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