11/15
じゅーに
12.そーっと伸ばした手
勇者♀(魔王の髪…。サラサラ…)
勇者(トリートメントとか、どうしてるんだろう)
勇者(…やっぱり、血? 人間の血とか…)
勇者(たぶん、ヘモグロビンとか赤血球とか白血球が、傷口を固めたり、髪をサラサラにしたり、キューティクルが保護されたりするんだ…)
勇者(サラサラの魔王の髪…)
勇者(このために、どれだけの命が…)
魔王『キサマは、今まで食べた米粒の数を覚えているのか?』
勇者「…覚えて、いたい。忘れたくないんだ、魔王ーー」
勇者「俺は。俺が生きるために糧にしてきた米粒たちを、ーー決して、忘れたくないよ」
魔王「ーー勇者?」目を開ける
勇者「なんでもないよ。ーーね、魔王も、その髪をサラサラにするために犠牲になった人たちのこと、少しくらいは、考えてみてね……」
魔王「……???」キョトン