10、そして11
10.神様ありがとう
ゆうしゃは かみに かんしゃした!
勇者「よかった! この魔界公園の魔界公衆トイレ、魔界トイレットペーパーがまだある!」
まおう は じゃしん に いけにえ の ちを ささげた!
魔王「魔界特売の魔界プリン、まだ魔界スーパーの棚に残ってた!」
勇者は神に感謝した。
勇者「魔王城への魔界通勤快速で座れた!」
魔王は邪神に焼肉を捧げた。
魔王「録画予約した魔界ドラマの最終回。魔界野球中継が延長してなくてちゃんと録れてた!」
勇者「いやぁ、毎日感謝することだらけで俺は忙しいよ!」
魔王「我もだ勇者よ! もっと邪神様に生け贄を捧げなくては!」
11.突然の雨
ぱらぱら。
勇者「! …雨か」
魔王「雨って、俺ちょっと苦手だな。マント濡れる」
勇者「脱げ」
魔王「マントをッ!? 魔王が、ーー脱ぐ、だと?」
勇者「ごめん俺が悪かった。魔王がマント脱ぐなんてあり得ないよな。お相撲さんに髷切れっていうようなもんだよな」
魔王「…ああ。カレーにらっきょう付けるなって言うようなもんだよ…」
勇者「カレーには福神漬けだな、俺は…。赤いやつ。着色されてるやつ。」
魔王「マジ? あ、それかね。メダカの水槽に水草入れるなってなもんだね。俺にマント脱げはね」
勇者「…マジかよ。やべえな。メダカ卵産めねぇじゃん…」
魔王「ーーいや、産むことはできると思うよ。産み付ける場所がないだけで…」
勇者「あ! じゃあさ、手を入れて待ってたらよくね!? メダカが産卵するまで、待つ」
魔王「手にタマゴ産んでもらうの?」
勇者「うん。感動の瞬間を見届けよう」
魔王「でもさー、あれ、すぐには孵らないよね、タマゴは」
勇者「…あ? そうなの? 俺てっきり、2~3時間で孵化するもんだと」
魔王「いやー、それはないね。数十日かかる。メダカはね。あれね、タマゴ見てるの以外と楽しいよね。なんつーの、新たな生命の発生? を見守る? みたいな?」
勇者「で、味噌汁に入れる?」
魔王「うん。昆布だしがいいな」
勇者「シイタケのダシもとろう」
魔王「ぐつぐつ煮る」ぐつぐつ
勇者「アクを掬う」ヨッコラショ
魔王「もっとぐつぐつ煮る」ぐつぐつ
勇者「メダカがピチピチ跳ねる」ピチピチ
魔王「助けてやれよお前! それが勇者の使命だろうが!! 今にも我が悪の手で味噌汁にされそうなメダカを!! 救うためにお前は旅立ったんだろ!?」
勇者「因果が前後してるそれ」
魔王「というと?」
勇者「メダカ→旅立つ、じゃなくて、旅立つ→メダカ」
魔王「つまり…!」
勇者「…ああ。俺が旅立ったばかりに、メダカたちは…! メダカの学校は、魔王の手で…!」
魔王「冷製じゃがいもスープ(ビシソワーズ)に!!」
勇者「…え、あれ、味噌は?」
魔王「入れたよ。隠し味にちょっと」
勇者「あ、そうなの? どれどれ…」
ビシソワーズの底から、見上げるメダカの目玉…。
それを見た勇者は悟った…。
勇者「俺は…、メダカを…」
魔王「…ふふん。勇者よ、ようやく己の罪深さに気がついたらしい」
勇者「おのれ魔王! なぜらっきょうを用意しなかった!! 箸は!? お椀はッ!?」
魔王「…らっきょう?」
勇者「らっきょう」コクコク
勇者「あ。雨やんでら」
魔王「メダカよ…。お前たちの死は無駄にはせぬ」
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ラスト、あと4題ですっ!↓
12.そーっと伸ばした手
13.このタイミングで乱入か!
14.電話の口実、考え中。
15.今こそキスのタイミング
Thanks for your Read !