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ニコラ・テスラ~世界システム阻止作戦

 ここは観察者が地球を探察している内部亜空間。地表の人類がUFOと称する探査プローブは火山の火口や巨大洞窟、極地から出入りする。

 たまに洞窟から紛れ込んだ人間の巷語風説飛語に乗って地球空洞説、地底人説の根拠となり、シャンバラともアガルタとも呼ばれる場所だ。

 観察者は人類とは見ても似つかない姿かたちだ。いわゆるエイリアングレイ。リトルグリーンマン。人類に見つかればたちどころに騒ぎになるので、地殻外部、つまり人類の生息する地表で情報を収集するのは、人間と全く変わらぬ姿の有機質ドロイドだ。

 ドロイドたちは人類の社会に溶け込み様々な文化、生活様式の情報を収集している。


 これはニギギ率いる亜空間内で地球観察を続ける観察者たちの一幕だ。


 アメリカ合衆国カリフォルニア州カスケード山脈シャスタ山。

古来よりこの地方に住むアメリカ先住民の聖なる山とされ、名前はその部族のひとつシャスタ族に由来する。

 そのシャスタ山の巨大洞窟最奥には、亜空間へと繋がる入り口がある。シャスタゲートから帰還したドロイドの一人、アメリアから収集したデータの吸出しを行っていた若い観察者の一人が血相を変えて指令室に駆け込んできた。

 アメリアが持ち帰った地表の情報雑誌を翻訳していた観察者も目を剝いて駆け込んできた。

 そして揃って「分隊長大変です、地表の人類が亜空間への侵入を目論んでます」と報告してきた。

「まさかそんなことあるわけないでしょう」

「何事ですよ騒々しいですよ」

 地球観測最古参の一人ニヌルタも駆けつけてきた。

「それが、分隊長これを見てください」

 翻訳した誌面を差し出されたニギギとニヌルタは目を剥いた。

「電磁共振ですと?!」

 詳しいことは割愛するが、要は内部亜空間に干渉する技術だ。地上はようやく電気を扱う程度に進化しただけで、まだ光速を越える技術も確立していない。そんな未発達な科学で一足飛びに亜空間干渉を実現なんてされたらえらいことになる。つかまり立ちが出来るようになったばかりの幼児に指令室の指揮を一任するようなものだ。どんな事故が発生するか想像しただけで背筋が凍る。最悪、内部亜空間の観測衛星クババ・キュベレイが実在する物質として固定されて地球から排出される事態まである。

 当然、指令室は蜂の巣をつついたような騒ぎに陥った。

 それでなくとも人間の人口密度が高まって、亜空間内に帰還するドロイドの目撃情報が拡散される事態がまま起きている。

 ならばいっそ電磁共振を思いついた人間と接触を試み、亜空間内に勧誘しようという楽観的意見から、観察を切り上げて現在おおぐま座の方角にあるHD83423に駐留する本隊と合流するべきだと撤退論まで幅広い意見が飛び交った。

 勧誘するというのはなかなか魅力的な案だったが、ニギギは却下の判断を下した。大昔クババ・キュベレイ建造の素材を採掘するために派手に地上で活動した結果、初期文明のあちらこちらに痕跡を残してしまった経緯がある。観察者は地球人にこれ以上一足飛びの進化を望んでいない。はなはだ不本意だが、介入せざるを得ない。

「シャスタゲートから地上に向かう班はこれより長期滞在任務に入ります」

「任務内容はターゲットの監視及び情報収集です」

「何か製作したモックアップがあればその場でガワだけのコピーを生成、オリジナルは速やかに持ち帰る」

「ターゲットには地球人も護衛が監視か目的は分かりませんがエージェントが張り付いていると思われますが、不用意な接触はしないでください」

「そしてここが一番大事です、ターゲットが死去したタイミングでターゲットが成し遂げた全ての成果を持ち帰ってください」



 ニコラ・テスラ。1943年1月7日、マンハッタンのニューヨーカー・ホテルで死去。享年86歳。FBIが押収したとされ、今日人類の知るニコラ・テスラの残した発明品、設計図は観察者が作ったダミーである。




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