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旅の始まり

初作品。不定期更新。予定では長ーくやっていきます。異世界バトルもの

「じゃ、行ってくる」

そう言って旅を飛び出した青年の名はレイ。数少ない竜人の生き残りであり、竜人の歴史を知るためにこの旅は始まった。


どこへいこうか。とりあえず出発したはいいものの目的地の当てがない。今まで里を出たことがなかったし、里も森の奥にある辺境だったおかげで外の情報がほとんどなかった。

「案内役でも欲しいけど…」

そう簡単に見つかる訳はない。というか知らない人間の当てのない旅についてきてくれる奴は普通いない。幸い最低限の魔術は使えるようにしてあるし、腕っぷしには自信がある。ある程度の危険ぐらいは恐らく問題ないが行く先が分からないのはあまりに致命的だ。

そう考えながら森を歩き続けてかなり経った。

「長いなあ」

翼を使ってもいいのだが必要以上に体力を使いたくない。あと30分経っても森を抜けられないようなら流石に使おうか。そんな風に考えた瞬間、目の前に白い線が横切った。

「何だ」

飛んできた方向を見ると一人の少女がいた。背丈は140くらいの白いロングヘア、そして羽を見る限り精霊族だろうか

「どうしてここにいるの」

静かなトーンで彼女はそう聞いてきた。

「旅に出たばかりでこの森を彷徨っていただけだ。急に攻撃してきたのは、まあいいか」

そういえばと思い、ダメ元でで彼女に聞く。

「そうだ、俺の旅に付き合ってくれないか。案内人が欲しくて」

精霊族は魔術の扱いに長けているものが多いし、自分の使えないような魔術でサポートしてくれるならよりうれしい。もっとも案内役さえしてくれればそれで十分ではあるのだが。

「言っておくけど、私はずっとこの森にいたから近頃の世界の様子は知らない。昔と変わってないなら、場所くらいは分かる」

数年で世界が大きく変わることは稀だし、この娘は自分より長く生きている可能性もありそうだ。この言い方からして本当に案内役をしてくれるのだろうか。

「案内してくれるのか?」

「テストする。あなたが最低限戦えるなら付き合ってあげてもいい。それと、先に言っておく。私を連れるなら、余計な面倒に襲われる」

別に戦う分にはいいが余計な面倒とは何だろうか。まあいい、最近運動していなかったから久しぶりの戦いはワクワクする。

「オーケー、そのテスト受けてやる」

彼女から伝えられたルール。それは30分戦闘し、彼女に一度でもダメージを与えることがこちらの勝ち、こっちが戦闘不能になったらこちらの負け。あまりに俺が有利なルールだったため一度抗議したがあくまでテストだと言われ受け入れてくれなかった。

「すぐに決めてやる」

彼女の爆破魔術を合図にテストが開始された。すぐさま翼を広げ、最高速で彼女の正面に一発。しかし、目の前から姿が消え、頭上から巨大な火炎弾が襲う。すぐさま正面に飛びギリギリで避けたが

「おいおい、マジか」

想像以上の攻撃、おそらく最上級の類だ。これが攻撃だけならまだいい、問題はそれ以外の魔術。特にこちらの能力を低下させられるのはまずい。短期決戦だ。腕を竜形態に変え、全身に炎を展開する。自身が持てる最高速度と威力で叩き込む。

俺の腕が彼女に当たる直前、体が急停止する。

「束縛もあるか、いや、まず俺の全速力に対応できる時点で実力で負けているか」

彼女は俺を抱えて全速力で飛行し始めた。

「テストは中止、一刻も早く遠くへ行く」

「急にどうしたんだ」

彼女の行動への疑問を素直に口にした。

「面倒に襲われるって言った、さっきあなたを束縛したのは私じゃない」

第三者の襲撃を受けたらしい。気配は感じなかったが、確かに魔力の流れは彼女のものにしては変だった。

「追われてるのか」

「うん。だからテストした。流石に私もある程度戦えない人は守れない」

そういう意図か、というか守ってくれるのか。案内役になってくれたことを含め、相当優しいらしい。だが彼女の能力から考えて並みの兵力は一瞬で抑えられそうなものだが、もし彼女が勝てないのであれば追っているやつも相当な上澄みなのだろう。

「応戦は無謀か?」

「死にたいなら置いてく」

「狙いはお前じゃないのか」

「冗談」

いや冗談かそれ、まあ逃げるに越したことはないか。急に彼女が止まる。

「もう大丈夫」

どうやら追手はもう来てないらしい。とりあえず聞いておかなければならないことは聞かなければ

「テストの続きはどうする」

すぐに彼女が答えてくれた。

「あの火炎弾が避けられるのなら十分。攻撃も申し分なかったし」

どうやら合格らしい。ならこれからは彼女に色々とお世話になるな。追手のことは多少気がかりではあるが、とりあえずあてのなかった旅に案内人がついてくれたことを今は素直に喜ぼう。

そういえば大事な事を聞き忘れていた。

「名前聞いてなかった、なんて呼べばいい」

「リネア。私の名前。あなたは」

「レイだ」

そして旅は、彼女の案内により最寄りの町、サマローナへと続く。




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