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反逆のロッテ  作者: ドロガメ
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ロッテ、レベル上げというモノをやらされる。

 ロッテ、レベル上げというモノをやらされる。




「ロッテ、とりあえず変身しとこうか? 危ないからな。ポーズを忘れるなよ。いくぞ~っ」


「せ~のっ! へ~んし~ん!!」


 美月の間の抜けた合図と共に、律儀にもロッテは教えられた魔法具装着獣人化の動きをやって見る。

 わざわざポーズをしなくとも、ロッテが左手に装着された見えないナックルダスターを意識さえすれば、その力が使えるのだが、美月に様式美というモノは必要なのだと丸め込まれての動きであった。


 右手を上に半円を描きながら、最後には見えないナックルダスターを装着した左手を突き出す。空手の突きのポーズで最後はキメる。

 それに合わせる様に、必要のないリンちゃんまでロッテの隣で同じ動きポーズをキメる。


 二人そろってポーズが決まった所で、ロッテの体がピカリと一瞬だけ光ると具現化されたナックルダスタ―が装着され、猫耳カチューシャでも付けた様なロッテが現れた。耳がピコピコ動く。

 その他は大して変わってはいない。

 もちろん、隣のリンちゃんにいっさいの変化はない。


「よ~し、二人そろって決まったな! やっぱっ 実戦でやるとカッコいいぜ。」


「んじゃっ 悪人の皆さん、待っててもらって悪いね♡」


「うるせ~っ ピカッと光る只の幻術じゃねえか。脅かしやがって」


 まるで、お約束の様に変身の間は身じろぎもせず、じっとその時を待っていた男達が騒ぎ出した。


「オーシ ロッテ、やれっ!」


「えぇ~っ 美月ちゃん、話し合いは~」


「ロッテ、教えといてやる。話し合いてえのはな。殴り倒してからやるもんだぜ。」


「ブン!」


 美月の言葉に合わせる様にリンちゃんは、何処から取り出したのか、長い六角の樫棒を取り出し振り回し始めた。

 男達もそれぞれに、盗賊の得物を構えている。

 光る刃物を眼にしたペペとロッシュは、思わずリンちゃんの後ろへと後づさる。


 ゴブリンメイジのリンちゃんだが、本来は美月の魔法の依り代として魔法の攻撃を得意としている。

 しかし、最近のロッテと格闘技動画を一緒に見るにつれ、棒術を会得したのか、使いたくてたまらない様だ。


 六角棒の長さを生かし突きを食らわし、引いては回転させると逆の石付きで叩くなど、流れる様な動きを見せる。


「ブン!」 「ドン! うげっ!」


 其の長物の間合いに入っていた素人同然の人足崩れの盗賊たちは、成す術もなくあっという間に打ち倒されていく。

 リンちゃんを中心とした駒の様に、六角棒が暴れまわる。

 触れるものは弾け飛ぶベーゴマの様に男達を弾き飛ばしていく。

 ロッテが、戦う隙もなくあまりにも素早い動きで、周りにいた男達を討ち倒してしまった。


 最後の男を薙ぎ払うと、頭上で両手を使いクルクルと回し、そして右に左にと回すと演舞の様な動きで締めくくる。


「ブンブンッ」 「コン! あっ」


 後ろのペペが、体をくの字に折られて吹っ飛んでいく。

 勢いあまって、後ろに隠れていたペペの胴体を薙ぎ払ってしまった。


「あっ! やっべっ ロッテ! ポーションぶっかけろ!」


 後ろに隠れていただけなのに、いきなり殴られ泡を噴くぺぺ。

 ポーションを取り出すとロッテが走っていく。


「しまったな。リンちゃん、話し合いをする奴が居なくなっちまったよ。」


 六角棒を試すのが楽しかったのか、勢い余って倒し過ぎてしまったリンちゃんは隠す様に六角棒を仕舞った。


「ギギッ ♡」 (テヘッ♡)


「リンちゃん、ロッテの出番まで持っていくなよ」


 その時、バンッと中途半端に開いていた扉が、蹴破られて飛んでいく。

 入口から窮屈そうに身を屈めて男が入ってきた。

 眼帯を付けた男が、丸太の様な棍棒を担いでいる。


「あ~っ 大人しく帰ってくれればよかったんだがな。オメエらみたいなガキどもを痛めつけるのは、本望じゃねえんだ。」


「だが、少しやり過ぎてくれたようだな。一応此奴らの頭目をやらされている以上は仕方がない。」


「棒術なら俺も少しは相手になってやれるぜ。 来いゴブリン野郎!」


 勘に触ったのか、リンちゃんは六角棒で地面をドンと突いた。

 美月が男の勘違いを訂正してやる。


「おい! リンちゃんを怒らせるなよ。こう見えてリンちゃんは、女の子だぜ。傷つくだろ。」


「リンちゃんは手出し無用な。ロッテ! 出番だぜ。」


「長物を避けて、懐へ飛びこめ。後は殴り放題だ。」


「いっけ~ッ!」


 男は余りにも小柄の猫耳娘が相手と聞いて一瞬ためらった表情を見せる。

 しかし其の小さな体から感じた事のない漂う魔力に気が付いた。

 慌てて向かってくるロッテに集中し、こん棒を構える。


「ロッテ! 死なない限り幾らでも助けてやる。幾つもの戦いを見てきたあたしには、あんたらのレベルが見える。今のロッテなら敵わない相手じゃねえぇ~。思いっきり行け~。」


 冗談とも気の抜けた様な応援の美月の声が響く。


(なに、言ってんだよ~。美月ちゃん。此の獣人の宝物のナックルダスターから幾らでも力が湧いてくる。体が軽い。相手の動きだって)


 片目の男の踏み込み、更に長い腕を使った想定外な距離をつぶして棍棒の突きが飛んできた。


「タン!」


 小さく左へと躱し地を蹴ると引き戻される棍棒の上に跳躍する。


(相手の動きだって、こんなにゆっくり見えるんだ!)


 ツツッと手元へと引き戻される棍棒の上をすり足で進む。

 眼の前には片目の男の顔。

 思いっきり左を振りぬいた。


「ラララッ~」 「ゴッ!!」


 三本の突起の付いたナックルダスターが男の頬に食い込んでいく。

 爆発するかのように弾ける。


「オワッ!」 「ガッシャーン!」


 男の巨体が吹き飛び、積み荷を崩してその下に埋もれる。

 短い声を上げると小さなロッテの放った一撃が片目の大男を吹き飛ばしてしまった。

 まるで重量級のプロボクサーの会心の一撃を食らったかのように強烈な一撃だった。


(此れが、獣人の宝物の力、……おばあちゃんから受け継いだ力……)


 ロッテは、魔力を放ちながら輝いている左手を見る。

 素早さ、豪力、五感、更に第六感、身体能力に()ける獣人だが、人族の様な魔法は基本使えない。

 しかし、古くから伝わる魔法具の中には、装着する事で獣人の能力を上げる物が存在する。

 全ての獣人が使える訳ではないが、ロッテの祖母のロレッタと此のナックルダスタ―は体の一部の様に相性がよく馴染んでいた。

 そして、其れは孫のロッテにも受け継がれていた。


「ガン。」


 崩れていた積み荷が投げ飛ばされると男は立ち上がった。

 眼帯が外れ、今炸裂するように殴られた顔は変形している。

 ブルブルッと意識を立て直す様に首を振る。

 同時に、血と僅かな肉片が周りに飛び散った。


「オイオイッ! 無理をするなよ。今の一撃くたばってもおかしくない一発だったぞ。あたし達は、おめえらを殺すつもりもないんだ。話をしたらポーションで治してやる。もうやめろ。」


「うるせえぇ~! 俺には引けねえ事情があるんだよ。俺が此処で倒れる訳にはいかねんんだ。」


「ガアァァ~!」


 まるで猛獣のような雄たけびを上げると棍棒を捨てて掴みかかってきた。

 ロッテは、掴みかかる男の腕を掻い潜ると、そのわき腹を強化された右手で突きあげる。


「ボムッ」

(もう、左のナックルダスタ―で殴ると死んじゃうよ~)


「オウッツ」


 男は、一瞬口を開き吐き出しそうになったモノを飲み込んだ。

 左手のナックルダスタ―ではないにせよ、今の強化されたロッテの右手でも十分にあばらの一本は折れている。


 倒れない男に美月もあきれる様に声を出した。


「タフだな。……何かの執念か……」


「オオオーッ」


 何かに取りつかれたように男は掴みかかってくる。

 潰れていない片目には強い意志がまだ光を灯していた。


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