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天幕の中では、私とウィリディス王国第二王子アルベルトが席につく。

私たちの後ろには、筆頭魔法使いエミル、第二騎士団副団長コンラード、アルベルトの補佐官スヴェンが立っている。


ちなみにこの四人は、私の中で勝手に攻略対象sと名付けている。

第二王子に、大陸一の大魔法使い、お父さんが騎士団総長の次男、お父さんが宰相の次男なんて、乙女ゲームの攻略対象みたいじゃない?

乙女ゲームやった事ないけど。


対するあちら側は、スマラグティー王国第二王子フレデリクが座っている。

後ろには、強そうな騎士と文官ぽい人が立つ。

この三人も、うちの攻略対象sと同じくらいキラキラのエフェクトつきイケメンだ。


まずフレデリク王子。薄い金色の髪に、薄い水色の瞳をしている。薄い水色といっても冷たく見える方でなく、春の空のような温か味のある水色ね。

身長は百八十センチないくらいかな。並んでいたアルベルトより少し高いように見えたから。

西洋人顔なので年齢はわかりづらいけど、二十代半ばといったところかしら。

アルベルトと同じく正統派王子様系イケメンだわ。


名のられなかったので名前は分からないけど、強そうな騎士は、キリっと短く濃い茶色の髪と目力の強い緑色の瞳が相まった男前系イケメンだ。

コンラードと同じくらい立派な体躯をしている。きっとかなりの腕前だろう。

やっぱり年の頃は分からないけど、たぶん三十代にはなってないと思われる。


騎士と一緒に立っている、たぶんスヴェンのような補佐官っぽい男の人は、サンドベージュの長い髪を後ろで一本に結わえている。綺麗なペリドットの瞳は聡明そうだ。

一緒に並ぶ騎士さんと二十センチくらい身長差があるから、たぶん百七十センチくらいだろう。スラッとしたイケメンだ。

この人も二十代半ばくらいかな。


うちの攻略対象sもそうだけど、どうしてこう主要メンバーってみんなイケメンなんだろう。少しずつ種類の違う。

やだなぁ。これ、乙女ゲームじゃないよね?


イヤな考えから気を逸らそうと目を外に向ける。

天幕の外には、ウィリディスとスマラグティーの騎士たちがきれいに整列しているのが見えた。


あら。意外と近くに立っている騎士ロイの姿を目に止める。

並び順って何か理由があるのかしら?なんて思いつつ、じっとロイを見る。


この世界的にはフツメンとの事だけど、私にはキラキラ系イケメンよりカッコよく見えるよ。まぁ恋愛脳のなせる業なんでしょうけどね!

しかも日本にいたらロイだってちゃんとイケメンだしね!


いやいや、意識を戻そう。


さて、私たちの今後の予定としては、まずは王都で祈ってできるだけ澱みを浄化する。

浄化できなくなってきたら、残りの澱みを巡る旅になる。

まぁ、ウィリディスの時と同じね。


国の中枢から立て直しをしなければならないでしょうし、王都の周りから澱みをなくすのは仕方ない。

だけど地方にも魔獣に苦しめられている人々がいる。

頭でわかっているつもりではなく、私は実際にそれを見てきた。

できるだけ早くたくさんの人を助けたい。


王都までは国境ここから馬車で三週間との事。

わかっていたけど、また馬車か…。


しょうがない、それでも私の乗る馬車の乗り心地はだいぶいいみたいだし。

他に乗った事がないからわからないけど。




三週間と聞いていた王都までの予定は大幅に伸びて、すでに一ヶ月が過ぎている。


何故かというと…


「お疲れ様!今日もありがとう!みんなのおかげで澱みが浄化できたよ!ケガをした人はちゃんと治療して!みんなしっかり休んでね!」

「「はい!聖女様!仰せのままに!」」


国境から王都に向かう道筋にある澱みを浄化しているからだ。

通り道に澱みがあるのなら、なくしていけばいいじゃない?


フレデリクたちスマラグティー側からは、早く王都に行きたいけれど、自国の澱みをなくしてくれているので言いたいけど言えない、みたいなもどかしさを感じる。


ヤキモキする気持ちもわかるけど、澱みはなくなっているんだし、ちゃんといい事だってあるじゃない♪


私が祈る間の魔獣討伐に苦戦していたスマラグティーの騎士たちだけど、数を重ねるごとに上手くなってきているのだ。


聖女の派遣契約には、聖女が祈る間の魔獣を討伐するのはスマラグティー側だけとなっている。ウィリディスの騎士たちは私を守るだけだと。


それはそういうもんなんでしょうし、国同士の取り決めに私がどうこういうつもりはない。

だけど、なんせ最初の頃の戦いが危う過ぎた。


第二騎士団(うちの子たち)だって、ウィリディスの浄化の旅の時は最初から上手くいった訳ではなかった。

だけど一年も澱みの魔獣と戦っているうちに、いかにケガを少なく、いかに危険を少なくできるか、戦い方のコツみたいなものをつかんでいったのだと思う。


スマラグティーの騎士君たちも、最初の頃の第二騎士団(うちの子たち)と同じようにケガがひどかった。

鍛え抜かれた騎士といえど、さすがに魔獣が相手では戦う(慣れる)回数が必要なのかもしれない。


私はケガは治せない聖女だった。

浄化の聖女とは、癒しの力はないものなのか。

神様もケチだわ。聖女なんだからどっちもくれたっていいじゃないの。


でもまぁ、ない物ねだりをしてもしょうがない。

私は私にできる事をする。


という訳で、浄化(戦闘)後のスマラグティーの騎士君たちの元に行く事にした。

ケガをした騎士君たちが、最初の頃の第二騎士団(うちの子たち)とかぶっちゃって、ケガがひどくなったり死んじゃったらイヤだったんだよね。


私はケガは治せないけど、浄化が出来るので?ケガの化膿止めにはなれるのだ。(実証済み)


この世界には治癒魔法はあるけど万能ではないし、医療だって現代日本と比べたら未発達だったりする。

治療が行き届かず亡くなってしまったり、死ななくてもケガがひどくなって騎士や兵士を辞めざるをえなくなってしまう、なんて事も多いそうだ。


そうなると無職になってしまうとか…。


怖すぎる!

福利厚生制度の導入を強くお勧めする!


話は逸れたけど、そういう訳で聖女様(化膿止め)はケガ人の元に行く。


ケガ人たちは、聖女様が自分たちを心配したり、労ってくれた事にめちゃくちゃ感激した。

あんなにアドレナリンを大放出していたら、回復力も上がるんじゃなかろうかってくらいだ。

なんだか治りもいいような気がする。

病は気からっていうしね。


とはいえ、最初から問題なくお見舞いに行けたわけではなかった。

私は奪われてはならない大事な大事な聖女様だからね。


当然反対されたけれど、アルベルトに頼み込んで、ウィリディス側全員一緒ならばと行ける事になったのだ。


そこでスマラグティーの騎士を褒めたり労ったりする私を見た第二騎士団みんなは、次から一緒に戦うようになってしまったという訳だ。


君たち、どんだけ私に褒められたいのよ…。


二十人いるうちの半分が討伐に加わって、残りの十人が私を守る。

ウィリディスの時と同じやり方だから、これはすんなりいく。慣れたものだ。


国は違えど同じ騎士、こちらの効率のいい戦い方を見て、スマラグティーの騎士たちもどんどん戦い方が上手くなっていったって訳。


まぁ、結果オーライだね♪




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