始まり
「ではいくぞ」
月城は交渉が成立するやいなや紀和を連れて歩きだす。彼らはまだ高校生で、今から1時間目の授業が始まるところであるが、思い立ったら何とやら、月城は一歩踏み出したら止まらない。
「どこへだ」
「良いからついてこい」
有無を言わせぬ強制力を発揮する。
「それは学生の本分たる学業をおろそかにして、授業を抜けてまでする必要があるということか?」
「授業中寝ている奴に言われたくないな」
紀和は授業中に睡眠、休み時間に食事をとり、そして、朝・昼休み・放課後に練習をしていた。教室で寝るか食べるかしかしていない男の生態は校内ではそこそこ知られていることであった。
「貴重な休息と栄養補給の時間をとられたくない。それに、問題を起こして活動停止にでもなっては非常に困る」
「そんな事を言っては何にも出来んではないか」
「選手は休息中の過ごし方も含めて二十四時間三百六十五日選手だからな」
紀和の世界は競泳を中心に回っている。
「だから我の下僕となる時は一秒もないとでも言いたいのか」
「何も協力しないとは言っていない。部としての活動、選手としての俺に問題をきたすような行動は慎んでほしいと言っている」
「心配するな、神に不可能はない」
「人間に不可能なことをしてしまっては選手としてフェアではない。自分がコントロールできる世界で戦っても意味がない。今のこの世界の支配下、制御下のもとで競い合うことに意味がある」
その時、一瞬月城の表情が曇ったようにもみえた。
「あー、分かった分かった。まあ、今日はそこまで大ごとにならないからとりあえずついてこい」
が、気のせいだろう。
何だかんだと言いながら紀和は月城についていった。そこそこに規則を守って生きてきた紀和にとっては新鮮な行為であった。授業中に誰もいない廊下を駆け抜け、校舎内を走り回る。
「ところでだ」
紀和が切り出す。
「何だ?」
「そもそも俺は何をすればいい?」
何をいまさらと言いたいところであるが、何やら次の世界を創るらしいことくらいしか分かっていない状況であるから、理解できない訳ではない。あえて言えば、やる前からすべてが分かることは無理だとしても、そもそも何をするのか全く分かっていない状況で交渉を成立させてしまったことが理解しがたいと言えるかもしれない。
「ただ我に従えば良い。それだけだ」
バッサリ、さっくり、シャキッと、切りすてられた。
「それでは俺のパフォーマンスを最大限発揮できない可能性が高い。選手にとってある種必要なスキルではあるが、考えずにただ従うことが俺はあまり得意ではない。それでも構わないなら従うが、水泳部に協力している限りは最大限期待に応えたい」
生真面目というか、若干面倒くさい。少なくとも月城はそう思っていた。
「ああ、面倒くさい。もうすぐ分かる。さっさとついてこい」
月城は全速力で駆け抜ける。
「特別メニューだ!!」
上半身が無駄に鍛えられている陸上運動に適さない体つきで早朝練習後で疲労困憊の競泳選手になら勝てると思ったのだろうか、ついてこいと言わんばかりに走りだす。確かに彼女は速かった。
「待て、少なくとも慣れるまでは練習は俺が管理する。休息とのバランスも大事なんだ、勝手にメニューを加えられては困る。それに、トレーニング用のウェアとシューズに着替えた方がいい。スポーツドリンクも用意していないのに水分補給はどうするつもりだ」
紀和は余裕をもって低めの脈拍になるように注意しつつ中程度の出力で追いかける。どうやら体を解す程度に運動強度を調節しているようだ。
「う、はっ、ひ、うるさい!!」
月城は息が乱れて声が出ない。全力で走ればある程度引き離せるものの、相手は無理に追ってこない。ペースを乱すことなく走ることに集中していて、気がつくとすぐに追いつかれる。息も乱さず追いつかれて腹が立ったのか、さらに加速して引き離そうとする。
「よせ、朝の練習はかなり強度が高かった。これ以上負荷を上げて乳酸をためるのは良くない。せめて脈拍150(回毎一分)以下でコンディションを整える程度の出力にセーブしてほしい」
しかし、そこまでスピードを上げる程月城に余力はなかった。一瞬振り切ったものの、次の瞬間には走ることすらできなくなっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……。くそ、何だお前、練習後でクタクタなんじゃねーのか」
「ああ、その通りだ。だから何度も言っている通りトレーニング強度を考えてメニューは考えなければならない。速くなれるのならば二十四時間休まず練習し、ムチャクチャな強度のトレーニングもやってみたいものだが、残念ながら、気合と根性だけでは伸びるタイムにも限界はある」
「五月蝿い、それは限界超えた事のある奴が言うことだろ」
紀和が少し考えて、こう答える。
「確かに、その可能性も考慮するべきではある。練習をコントロールすることを考えすぎているだけかもしれない。実際に、一般に言われている適切な練習量が本当に適切なのか、あるいは、俺に適しているかは自明ではない。あるいは、そもそも選手である俺はそういうことを考えてわならないポジションであると言う説もある。そういった事を月城が感じ取ったのであれば無視するわけにもいかない。どこに問題があったと思ったのか詳しく教えてくれないか」
そうは言われても、勢いだけで発した言葉に根拠も何もあったものではない。そんな事など、
「知ったことか」
だ、そうである。しかし、それでは紀和は引き下がらない。
「いや、どういう思考過程を経て、どう言うロジックにより、その発言に至ったかを追究したい訳ではない。恐らくは、そこまで考えられて発せられたものでは無いであろうし、それが普通であると思う。俺が聞きたいのはそう言うレベルの理由ではなく、『なぜそう言う考え、思いに至らざるおえなかったのか』あるいは、『自分にそう言う発言をさせたものは何か』そして、とりわけ、『そこに無意識的に、あるいは、間接的にでも俺の問題点に関連した影響が含まれていないか』と言うことに興味がある」
己を高めるために貪欲である。
「単にお前を虐めたかっただけだ」
月城は素直に答えた。
「厳しくしごいてくれる鬼コーチの必要性を感じた、あるいは、虐められている方が俺がより進歩できることがイメージできたということか?」
どこまでも、面倒くさい奴だ。ああ、面倒くさい。
「ああ、はいはい」
若干投げやり気味に、吐き捨てるように言った。
「そうか、参考にしておく。ありがとう」
「おう、もっと感謝しろ」
月城は開き直った。
そんなやり取りをしているうちにいつの間にやら、学校にこんなところあったっけ的な場所へとやってきた。いつもより細く長い通路に無数に並ぶ扉。異様なまでに清潔感があり、人が活動している場所とはとても思えない。綺麗に整いすぎた場所だった。
「学校にこんな場所があったとはな」
と、言うわりに紀和は一切驚きの表情を見せない。
「こんな場所あるわけないだろ」
「つまり、ここは校内ではないと言うことか。しかし、俺の記憶では学校の外に出ていないはずであるが、何かしたのか」
「ああ、神の力を発揮して移動したのだ」
えっへん。どーだ、凄いだろ。
「本当に特殊な力を有していたのか」
と、言う割には驚いていないように見える。
「何だ我の言うことを信用していなかったのか」
「俺が信じれるかどうかはどちらでもいいことだ」
「・・・・・・それで良く我の申し出を受ける気になったな」
「神と言った一般には見解の分かれるであろうことであるから特別疑っているわけではない。神と言うだけで安易に拒否する必要もなければ、受け入れる必要もない。それに、神とはそもそも何なのか正確に把握していないし、世界と言うものをどう捉えるかによっても見解は分かれる。何か新たな世界を創造することと同型の構造を持ったものを創るだけであるならば、人外の力を発揮することなく普通の人ができると考えられることもいくつかあるだろう。立場によっては我々はすでに神自身で万物に宿っているという発想もある。俺の想像する神とは全く別の何かである可能性もある。
俺としては水泳部に協力してくれればそれが何であっても問題ない。それが嘘であっても、それを信じてほしいと望むのであれば信じよう」
「そうか、それならそれで良い」
そう言うと、月城は立ち止まり、振り返った。
「我の世界を設計するプログラマーに会いに行く。何か聞きたいことがあれば奴に聞けばよい」
「分かった」
「あら、こんな時間にどなたかしら」
扉の向こうに待っていたのは容姿端麗な美青年。言葉遣いがアレであるがソッチの人ではない。すらっと長い手足、透き通った白い肌、中性的で精悍な顔立ち。その美しさはどこか人間離れしていて、自然すぎて不自然であるような異様な雰囲気であった。
「あら、あかねちゃんじゃない。会いたかったわ」
満面の笑みではあるが、何故だか若干イラッとする。
「我はできれば会いたくなかった。あと、あかねちゃん言うな」
月城はイラつきを一切隠さない。
「そちらの方は」
「下僕の紀和だ」
何故だか、どことなく、得意気で自慢気だ。
「紀和だ」
紀和は表情を一切変えない。
「あらあら、まあまあ、宜しくね」
「紀和、こいつが河野貞晴だ」
河野は綺麗に微笑みの表情を作り上げる。何故だかとてもイラッとする。
「宜しくね。どうぞお掛けになって」
来客用の立派なソファに座るように促した。
「今日はどうしたの? あかねちゃん」
不自然にニコニコしている。何故だかかなりイラッとする。
「あかねちゃん言うな。そして黙って我のために働け」
声色が怖い。
「あら、仕事の話? 相変わらず速いわね」
「仕事以外でお前に話すことなどないわ。それより、やるのかやらねえのかハッキリしろや」
「私があかねちゃんの頼みを断ることなんてあって?」
途轍もなくキラキラした笑顔。これが残念な事に気持ちわるい。
「たまには断れ。我はお前と仕事などしたくない」
「嫌なら他に頼めないのか」
紀和が口を挟む。
「プログラマーとしての腕は一番だ。残念ながら断られん限りはこやつを外す理由がない」
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
口元がニヤニヤしている。これはそこはかとなく気持ちわるい。
「我の用は済んだ。後は二人で話しておけ」
「了解した。それより、そろそろきちんと食事を取っておきたい」
「・・・・・・」
「俺が話をしなければならないのであれば、用意をしてもらいたい」
「我に命令する気か」
「マネージャーとして選手の食事管理をして欲しいと言っている」
「簡単なもんものなら私が用意するわよ」
「単に食欲を満たしたいというものではなく、選手としてコンディショニングをしておきたいと言うものだ。当然栄養バランスや摂取カロリーには気を遣う。その要求に応えることはできるのか?」
「それじゃあ少し難しいかもしれないわね」
「分かった、我が用意する。約束は守ってやる。お前はさっさと話をつけておけ」
「了解した」
そう言って、部屋を後にした。
「凄いわね、あかねちゃんに言うことを聞かせるなんて」
河野は驚いた表情を見せた。驚いた顔は意外と普通だった。
「彼女は言葉が乱暴なだけで極めてフェアな人間だ。相手が言葉の乱暴さに惑わされない限りはそこまで特別な扱いは必要ない。どちらかと言うと俺の知る中ではかなり普通な方であると思う。会ってから数時間しか立ってないため、あくまで今の俺が知る範囲の話ではあるがな」
河野はニヤリとした。許容範囲であるが、やっぱり気持ちわるい。どうやら紀和に興味を持ったようだ。
「あかねちゃんが普通ね・・・・・・」
「あくまで俺の感覚での普通だ。何が普通かと言われて正確に答えることはできない程度の曖昧さのある概念であり、一般性を持ったものではない。ただ、素直で、決断力があり、表面的な印象よりは優秀で真当であるという風に認識している」
「ふ〜ん。貴方も頭の回転は早そうね。会話での情報交換では力をもてあましてそう。こっちにいらっしゃい」
そう言うと、河野は部屋の奥にある扉から隣の部屋へと案内した。
その部屋はいったいどう言うつくりになっているかわからない程に広大で肉眼では部屋の端の壁が確認できず、そして、その広大な空間を巨大なマシンが埋め尽くしていた。色々な機械が複雑に絡み合っていて混沌としている。マシンとは言ったもののその姿はどこか異質で、宇宙人か異世界人の進んだ技術で造られてた機械というイメージである。人間の感覚で言うと気持ちわるいと言う言葉が似つかわしい。
「これが私の本体よ」
人は見かけで判断してはイケないと言うが、その、何と言うか、グロテスクである。
「そうか」
紀和は当たり前のように目の前の得体の知れない気持ちの悪い物を受け入れた。見た目で差別はしないようである。
「驚かないのね」
「世界を創ると言っているくらいだ、その作り手が人間である必要はないからな。正直関わりあいたくはないし、俺の世界の感覚で非常識な存在とは相互作用したくはなかったのであるが、必要に迫られた以上は仕方がない。それよりも早めに話しておいてくれた方が俺は嬉しい」
「人間にしては変わっているわね」
クスッと笑うその顔も、本当に残念な事に気持ちわるい。
「お前達の感覚でも俺は変わっているか?」
「そうね・・・・・・『面白い』かな。さあ、こっちよ」
その巨大でカオスなマシンの一部を取り出すと、それはパソコンのようになっていた。
「この方が早いと思うわ。映像とかあった方が分かりやすいでしょ。必要な情報を脳に直接届けるから情報効率も良いはずよ。あかねちゃんからはどこまで聞いてるの?」
そう言って、何やらハイテクマシン的な物を紀和の頭に取り付けた。
「ほとんど何も聞いていない」
「あの子も相変わらずね。良いわ、何から知りたい?」
「とりあえず何をすればいいのかが具体的に分かっていない。世界を創ることについて具体的に教えて欲しい」
「分かったわ」
マシンが熱を帯び、大きな音を立てると同時に紀和と河野は尋常ではない早さで情報を交換する。
「世界の創造についてはまず神について説明しなければならないわね。神とは元々は人間を創造した主ではなく、人間の想像した神をもとに造られた者なの。貴方の持っている常識や感覚はその元々の人間の世界での常識と同等のものと考えて大丈夫よ。元々は力学系の大規模シミュレーションを繰り返す中で偶々発生した知的生命体にそのシミュレーションを行ったクリエーターのサキちゃんが興味を持ち出したのが始まりだったの。ある意味サキちゃんが貴方のイメージする神に近いのかもしれないわ」
シミュレーションの詳細が紀和の神経系に急速に流れ込む。普通の人なら発狂するところであるが、どうやら紀和の精神力と神経系の機能スペックはそれに着いてこれるらしい。
「もとの世界のシミュレーションでは神は定義されていなかったが、その世界で生まれた人間の想像する神をサンプルとして、神が本当に存在する世界を創ろうとしたと言うことか」
いきなりこのような話をされて平然と話について言っている紀和は何とも・・・・・・紀和らしい。
「そういうこと。つまり、人間の想像をサンプルとして神様システムを新たに構築したわけ。元々はただの力学系のシミュレーションなのにその内部のマクロ変数の立ち振る舞いから読み取れた、つまり人間にとっての、世界の創造や基本原理に関する理論や思想は、正しいかどうかという意味では的外れなものが多かったけど、内容としてはリッチなもので興味深いものだったわ。そんな中で、人間の想像するものの中にはあまりに都合よく人間らしい神も多かったものだから、サキちゃんが『人間に世界を創らせたらどうなるか』という実験を始めた事が貴方達のような現人神の誕生だわ」
河野はニンマリしている。どうやらこういった話をするのが好きなようだ。気持ちわるい。
「ちなみに元々の世界はどういうシミュレーションだったんだ?」
この質問は不正解だったのかもしれない。
「基本的には粒子多体系のモンテカルロシミュレーションよ。まあ、確率の方はリッチな構造を作るために試行錯誤したらしいけど。採用されたものはそちらの世界では量子論とか言ってやたらと流行ってたと思うわ。そこまで騒がないといけないほどのものでもないのにね。まあ、世界の一部であって、粒子の巨視的な振る舞いのなす構造物たる人間にとっては確率の定義の仕方や不連続な力学法則、時空の扱いとかは少し困難なものだったけれどもね。まあ、そのお陰で無駄に間違った理論が研究されたから新しい世界を創る時には参考にさせてもらっているわ。動力学的パラメタ決定法とかいうのが一時期流行って・・・・・・(略)・・・・・・いたのよ。」
河野の言葉に呼応して、それぞれのキーワードの具体的な内容の詳細がマシンを通して紀和に流れ込む。それにしても、河野はこの手の話しがすきなのか、やたらと話が長く、ちょっと興奮気味で気持ちわるい。そして、ウザい。紀和が平然と話を聞いているのがビックリ出ある。
「つまり、人間が世界を正しく認識しているかどうかなど問題ではなく、その仮説の中で生まれる理論や思想の構造がリッチであればクリエーターの立場からすれば興味深い事となり得るということか。むしろ、ある程度不完全な状態を作り出し、そのバランスの中でどういう結果になるかを見る事にクリエーターの関心は向いているように思える」
「と言うことは、我々神が創るべき世界もそういった独創性やリッチな構造を持った世界を創ることが要求されるわけよ」
「そのためには今までにどのような世界が創られてきたのかを知る必要があるな。また、何と何を区別して、何を同一視しているのか、つまり、何を新しいと感じているのかも知っておきたい」
「それにしても、貴方優秀なのね。ビックリだわ。そちらの世界では何をして入らしたの?」
本当にビックリだ。色々な意味で。
「競泳選手だ」
「・・・・・・」
「専門はブレスト・ストロークだ」
まあ、ビックリ。
「おい、こら!!」
月城が大声を出して暴れている。
「あら、ごめんなさい、あかねちゃんが戻ってきたみたい。いったん戻りましょ」
「分かった」
二人はもとの部屋に戻っていった。
「お前ら勝手にどっか行くな」
月城は怒号している。
「すまない。向こうで河野氏の本体に会っていた」
「・・・・・・気持ち悪くなかったか」
「少なくとも俺の感覚では普通だったぞ」
月城は驚きの表情を隠せない。何と河野までもが驚いている。
「普通て」
月城は呆然としている。
「まあまあ」
河野は気持ち悪く笑っている。
「とりあえず、食べてもいいか」
「そうだ、食え。我が持ってきたんだ、ありがたく頂け」
紀和は頼んでおいたあたかも栄養士が用意したようなとてもバランスを取れた、しかし、量が半端なく多い食事をとり始めた。
「しかし、さっきかなりの精神労働を行ったからな。炭水化物が足りないかもしれない。ブドウ糖をくれないか」
月城は用意していたブドウ糖の塊を手渡した。吸収が速くエネルギー補給には最適らしい。
「彼、とても優秀ね」
紀和は一心不乱に食べている。
「我が選んだのだ、当然じゃ。話はどこまでしたんだ」
「基本的なところは終わったわ。あとは、いくつか今までに創られた世界を見て欲しいんだけど」
「その辺は我も一緒にいた方がいいな。準備もそれなりに必要じゃ。とりあえず、いったん帰るか」
「まて、食事はきっちりと取らして欲しい。昼と夕方の練習に響くからな」
口の中を一杯にしながら紀和が言う。
食事が終わると月城と紀和はいったん学校へと戻った。