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(三)
「情報屋」の情報通り、僕たちはそのビルに向かった。旧ソ連時代に建てられた装飾も何もない質素な雑居ビルだった。そこにはロイが社長を務める会社が入っていた。
ビルの入口前には軍の装甲車が一台止まっていた。しかし周囲には他に誰もいなかった。入口に兵士が二人いるだけだった。
「あれはロシアの最新式、T―15ですよ」
「情報屋」が言った。この国の陸軍は旧式兵器しかもっていないはずだった。ソ連から独立した際にそのままソ連軍の装備を引き継いだと聞いている。それなのにロシアの最新式の装甲車がある。ということは、ロシアが独裁政権に味方しているという証拠だ。
(続く)