087 Cランク冒険者のリーマバ
俺達は迷宮都市都市リトットを後にして、王都へ向かった。
俺達を乗せた地竜の引く馬車は快調に進む。
御者はジャイアントハーフの聖騎士リン、馬車の中に俺とブラックジャガー獣人のノワが乗っている。
「もうそろそろお昼になりますので、次の野営地で休憩にしましょう。」
ノワが調理器具を点検しながら、頭の中では昼食のメニューを考えている様だ。
「分かった。お昼は何を作るんだい?」
「リクエストはありますか?リトットで食材を大量に買い込んでいますので、大抵の物は作れますよ。」
ダンジョンでババに手解きを受けたので、ノワの料理の腕が上がってるからなぁ。
ノワの料理はなんでも美味しいんだよなぁ。
「やっぱり肉だな。がっつりくるやつが喰いたい。」
「そうですよねぇ。熟成したミノタウロスの良い肉も買ったので、バーベキューにしましょう。」
「牛肉か!良いねぇ。」
「賛成!」
御者をしてるリンも話を聞いていたのか、肉を食べたいらしい。
暫く進むと野営地に到着した。
草原の一画に野営地がある。
既に数組の商人や冒険者達が食事をしていた。
空いているスペースに馬車を止めて、野営の準備を始める。
「昼食の準備をしまーす。」
ノワがいそいそと昼食の準備を始めた。
リンは地竜を馬車から外し、休憩させるとともに地竜の餌をやったり世話をし始める。
俺はリンが準備した折り畳みの椅子に座り、ぼーっとその様子を見ていた。
「おい、その地竜はお前のか?」
野営をしていた冒険者らしい男が、一人で近付いて来た。
使い込んだモンスターの革鎧を装備した男は、腰に剣を下げていた。
どうやら凄んで威圧している様だ。
俺には全く意味が無いけどね。
「そうですけど、何か?」
「俺は、Cランク冒険者のリーマバだ。坊主は冒険者か?」
リーマバの胸には首から下げた、Cランクの冒険者証が見えた。
冒険者の仕事は一切してないけど、まあ、冒険者って言えば冒険者だな。
「そうですが、何か?」
「ランクは何だ?冒険者証を見せろ!」
「あんたに見せる義務は無い。」
「おい、坊主。俺が名前を名乗ったんだ、名前ぐらい名乗れ!」
「お断りします。」
「ガキが!冒険者は何時でも身分を明確にするため、冒険者証を見せる必要があるんだ。それくらい覚えておけ!さあ、出せ!」
「じゃあ、冒険者は止めます。従って、見せるのも拒否します。」
「はぁ!馬鹿にしてんのか!このガキがああああ!」
リーマバはニヤリと笑うと、いきなり殴って来た。
男の口調に心配して、リンが駆け寄って来ていたので、リンに任せる。
リンが盾を展開して、男の拳を弾き返す。
ゴキッ!!
「うおっ!!」
リーマバの手首が折れた様だ。
リーマバは左手で右の手首を押さえ、苦痛に顔を歪める。
「このアマがああ・・・。」
リンが眼を細くしてリーマバを見下ろす。