066 アンドロマリウス
迷宮都市リトットにあるダンジョンの地下10階に到達した。
地下9階から地下10階に降りる階段を降りたところにいる。
第三王子レクは感慨深い表情で固まる。
「おお!やっとここまで来た。」
「ささ、王子、祠に向かいましょう。」
騎士に促されて王子は進み、俺達は後を付いて行く。
「ノワ、警戒を頼むぞ。」
「はーい。」
ブラックジャガー獣人のノワは耳と鼻をピクピクした。
俺の斜め前にジャイアントハーフの聖騎士リンが歩き、後ろに狐獣人のババが続く。
その後ろを役立たずの冒険者達が、周りを気にしてキョロキョロ、ビクビクついてくる。
しばらく歩くと・・・。
「何か前から来るよー。」
ノワが耳と鼻をピクピクする。
その声を聞いてレクと騎士達が俺達の後ろに走る。
此奴ら逃げるのはええええ。
前方から妖艶で魅惑的な、紫の肌の女性が1人現れる。
「サキュバスじゃな。」
ババの囁き。
「お主達、何者だ。」
サキュバスは俺達に誰何する。
「冒険者と騎士だ。」
「我々の仲間達を倒して来たのだろう。只者ではあるまい。」
「サキュバスの後ろに嫌な匂いがするよー。」
ノワが鼻をピクピクし、しなやかに身体を屈め、戦闘体勢に身構える。
サキュバスの後ろに黒い影が浮かぶ。
黒い影が人の形に変化していく。
現れたのは上半身は人の形、下半身は蛇。羊の角が頭の両脇に生えており、濃厚な魔力が拡がる。
「あ、悪魔じゃな。」
ババが震えた声で囁く。
「ほう、我を知ってるのか?」
ババの小声が聞こえたのか、悪魔がババを見る。
「名前は知らんのじゃ!高位の悪魔じゃろう。」
「そうだ。我名はアンドロマリウス。魔王ソロモン様の72柱が1人よ。」
「魔王ソロモン!」
レクが叫び、冒険者と騎士達は怯えている。
「魔王ソロモンの72柱だと。」
「高位も高位、大物だよぉ。」
「軍を派遣しないと倒せないんだよな?」
「軍でも倒せるかどうか・・・。」
「何でこんなところに・・・。」
「もう終わりだぁ。」
レクと騎士達が後ろでざわめく。
アンドロマリウスは俺を向き、俺の両手に装備している魔王の手甲を見詰める。
「ほう、先代魔王様のブーツを探しに来たが、手甲があるとはな。」
「ん!手甲?」
魔王の手甲か。すると探しているブーツとは魔王のブーツだな。
「小僧!それを寄こせ。」
「断る!」
「ふふふ、力尽くで奪おうか。」
「ここは、私にお任せ下さい。」
サキュバスの瞳が妖しく光る。
レクと騎士達、冒険者達が襲ってきた。
「サキュバスの魅了じゃ!」
ババが叫ぶ。
レクと騎士達は全員男。
ノワとババ、リンは何とも無さそうなので、女性には効果が無いみたいだ。
ドカッ!
ノワはババの前に進み、先頭の男を蹴飛ばす。
「ノワ、後ろは任せた。」
「はーい。」
リンは俺の前で盾を構える。
カキッ!
サキュバスが、いつの間にか踏み込んで来て、リンが盾でサキュバスの爪を防ぐ。