042 公爵軍撃破
1万の公爵軍と対峙する我々牧場の5千の兵達。
敵の公爵軍より、馬上のガサ伯爵が大声で降伏を促す。
俺は時を止めた。
アイテムボックスより聖剣を取り出し、格闘の技術「縮地」を発動。
ガサ伯爵に飛び掛かり、聖剣一閃。
首を斬る。
そのまま公爵軍に走りだす。
予め暗部達から聞いていた、公爵軍大将の長男アキラのところへ走る。
行きがてら、士官クラスの騎士達の首を刈っていく。
長男アキラの陣に入ると、アキラの首を斬り、陣ごとマグマの杖で焼き払う。
そして、走ってもとの場所に戻る。
公爵軍は牧場の戦力を舐めていたのか、横に広がり横陣の陣形をとっていたので、それ程時間は掛からなかった。
時を動かす。
息を切らしながら、将軍イサミに告げる。
「はぁ、はぁ、総攻撃をして良いぞ。」
流石に多少息切れした。
「は?はい!」
イサミが前方を確認すると、ガサ伯爵の首が突然落ちて落馬するのが見えた。
公爵軍は伯爵の首が落ちたのを目撃し、驚き動揺が広がる。
「ええええええ!」
「伯爵様が亡くなられた!」
「どうするんだ?」
「突撃!」
イサミの号令で牧場軍は突撃を開始した。
公爵軍後方の大将の陣から、マグマの杖による火の手が上がるのが見えた。
「アキラ様の陣が燃えてるぞおお!」
「大将も死んだのか?」
公爵軍の動揺は更に広がる。
公爵軍中央は士官クラスの騎士達も、死んでいるので、命令が無く混乱を極めた。
大将アキラと副大将ガサ伯爵も既に、いないので攻撃の合図も出来ない。
戸惑う公爵軍。
「おいおい、牧場の奴等が迫って来るぞ、弓の準備をした方が良いんじゃ無いか?」
「隊長から指示が無いぞ。」
「た、隊長が死んでる!」
「えええええ!」
「どうすんだ?」
牧場軍は弓矢と魔法の遠距離攻撃を放ち、公爵軍前衛を殲滅すると、剣を抜き槍を構えて突撃を開始した。
公爵軍中央部は混乱し逃げ惑う。
しかし横陣に広がった左右の公爵軍には、士官クラスの騎士がまだ健在である。
大将の撤退の号令が無い為、戦争は継続。当初の指示通り横陣から鶴翼に移行し、包囲殲滅を目指す。
公爵軍が左右から牧場軍を包み始めた時、その外側から潜んでいた牧場軍の2千づつの遊撃隊が背後から公爵軍を襲撃した。
「それ!進めええええええ!」
遊撃隊の一方の隊長を任せた、オークのオクオの号令が響き渡る。
「突撃だああああ!行けええええ!」
そして、もう一方の隊長である、ジャガー獣人のコーサカも叫ぶ。
流石の公爵軍兵士も後ろから攻撃されると、一溜まりも無い。
「う、後ろから来やがったあああ!」
「ぎゃああああああああ!」
公爵軍は敗走し始める。
指揮官不在により、組織立って撤退が出来ない公爵軍は、殿も無く蜘蛛の子を散らす様に逃げ惑った。