031 公爵家長女アンナ3
俺達は公爵家の長女アンナの騎士達と戦う事になり、時を止めようと思ったら炎に包まれていた。
やば、今時を止めても、炎が消えないからここから動けない。
「ほおっほっほっほ、あっはははは。愉快だわ。暗部の前隊長『疾風の毒使い』を倒したと聞いたから、心配してたけど、天で話にならないわ。」
「『疾風の毒使い』も耄碌したんでしょう。」
くそっ!何とかしなきゃ・・・。
ん?
熱くないぞ?
「タクミ様、私が側にいる限り、タクミ様に傷一つ付けさせません。」
聖騎士リンが盾を掲げていた。
「リン、助けてくれたのか?」
「はい。『聖騎士の守り』を発動していますので、ダメージは一切ありません。」
「おお!有難う。」
「どう致しまして、私はタクミ様の盾ですので、当然の事です。」
「ノワ、火を消す事は出来るか?」
「可能です。お任せ下さい。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
アンナは炎を見詰めていた。
「骨も残らず燃え尽きそうな炎ね。」
「秘蔵のマグマの杖で熱量を増大させてますから、岩をも溶かっ・・・。」
「!」
アンナが、マグマの杖を構えていた魔法騎士を振り向くと、喉にナイフが突き刺さっていた。
「な、何が・・・。」
魔法騎士が死んだ事により、炎が搔き消えた。
すると、炎が消えた後にタクミ、リン、ノワが立っていた。
「な、何で傷一つ付いてないのよ!」
アンナは驚愕の表情。
「聖騎士リンの『聖騎士の守り』に、この程度の魔法は効かないね。」
「な、何いいいいいい。」
「攻撃はもう終わりかい?」
「くっ、剣で斬り払えええええ!」
アンナは叫んで騎士を見る。
「えっ・・・。」
騎士4人は首を刈られて、倒れていた。
「いやあああああああああああ!」
アンナの叫びは悲鳴に変わった。
「ひぃ。」
両手で顔を覆い、泣き崩れた。
「ああああああああ。」
俺が炎が消え去ると同時に時を止め、騎士達の首を刈っていたのだ。
「おい!不敬罪で斬り払うんだろ?遣ってみろよ。」
俺はゆっくりとアンナに近付く。
「た、助けて・・・。」
アンナは土下座していた。
「お前は、同じ事を言った人々を許したのか?」
「・・・。」
無言のアンナ。
「この女は、許しを請う者達の首を、喜々として斬り落としていったわ。
更に相手が亜人の場合、その首を広場に晒した。」
ノワはアンナを睨む。
「ひ、ひぃ。」
アンナは恐怖から腰を抜かして漏らしていた。
「あああああああああ。」
立てなくなったアンナは身体を引き摺り、這いながら何とか遠ざかろうとしていた。
「止めを刺します。」
ノワはナイフを構えた。
刃渡りが長めのナイフ。
俺は頷く。
ノワはそのナイフで、逃げるアンナの背中側から、心臓を一付き。
「きゃああああああああ!」
アンナの悲鳴が響いた。