023 牧場1
俺達は襲って来た16人の騎士達を、気絶させ全裸にし、拘束して放置して来た。
武器と防具、服はアイテムボックスに入れて、下着は途中で燃やした。
男の使用済み下着なんて、臭くて汚くて要らない。
女性の下着は、ちょっと勿体なかったと思った事は秘密です。
16頭の馬も連れて来ました。
「ジジイ、情報伝達を遅らせる為に、馬を連れて来たけど、何処かで売れないかな?」
元暗部のケントに聞いて見た。
「かなり遠回りになりますが、ここから山に向かって、北に行くと牧場があります。」
「良し、そこで売ろう。ついでに乳製品や肉類もゲットしておきたい。」
「畏まりました。」
俺達は目的地の公爵領最大の都市ナキサガに向かって東に進んでいたが、急遽北に進路を変えた。
東に進むと公爵騎士隊の歩兵部隊が、待ち伏せしていたのを俺達は知らない。
北に進路を変え暫く進むと草原が見えて来た。牧場も近いのだろう。
更に山道を進むと、牧場が見えて来た。
「牧場って山の上の高原にある事が多いけど、どうしてだろうね?」
日本でも高原にある事が多い気がする。素朴な疑問。
「家畜の糞尿の臭いがあるので、都市部や平地には作ら無いのです。」
「成る程、ジジイは博学だなぁ。」
「それ程でも御座いません。」
なんて話をしていたら。
「タクミ様、コボルトに囲まれたワン。」と御者席よりコウキ。
「コボルト?」
行く手を遮る1匹のコボルト。
「お止まり下さい。」
御者席には聖騎士リンとコボルトのコウキ。
「何の用だ!」
とリンが訝しげに問う。
「私はコボルと申します。馬車にタクミ様がお乗りしたになっていると存じますが、お会いする事は出来ますでしょうか?」
お、この前助けた奴だ。
匂いで分かったのかな?
コボルトは鼻が利くからね。
「おい、どうした?」
俺は馬車から降りた。
リンとコボルトも御者席を降りて、空かさず俺の両脇に付いた。
俺の後ろにはジジイ。
「タクミ様、先日お世話になった、コボルで御座います。」
「おお、その後どうだ。」
「お陰様で家族仲良く暮らしております。タクミ様はこの先の牧場に、どの様なご用件でしょうか?」
「この16頭の馬を売りに来た。後は乳製品と肉類の購入だな。」
「そうで御座いましたか。実は、この先の牧場には、大勢のコボルトが奴隷として、過酷な労働を強いられています。その奴隷を解放する為に襲撃する予定なのです。」
「コボルの群れは、襲撃出来る程人数が多いのかい?」
「戦える者は15人しかおりませんでしたが、タクミ様に助けられた後、他の群れと合流して、35人になりました。充分勝算があります。」
「ふむ。ここにいるコウキも奴隷だが、解放して欲しいか?本人が望むなら解放も吝かでは無いぞ。」
「解放しないで下さいワン。僕はタクミ様の奴隷で満足だワン。」
「コウキの気持ちは分かった。コボルの考えはどうだ?」
「使徒様の従者として使える、名誉ある奴隷と考えます。本人の希望通りに、出来ればこのまま従者を続けさせて下さい。」
「そうか。」
ちょっと考える。
「ジジイ、この先にある牧場は、都合良く公爵家が所有してるなんて事はあるかい?」
「何が都合良いか分かりませんが、この先の牧場は公爵家の所有で御座います。」
お、流石ご都合主義。
ちょっと笑ってしまうね。
「じゃあ、この先の牧場も奴隷達も俺の物だな。」
「そうなりますね。」
「国外脱出するから、金目の物だけ奪って行くつもりだったが、牧場も貰っちゃおう。」
「「「畏まりました。」」」
リンとコウキ、ジジイが声を揃えて返事した。
「コボル、この先の牧場は俺の物に出来るらしい。一緒に行こう。」
「え!・・・。流石使徒様・・・。」
俺達は、コボル達と一緒に牧場に向かった。
牧場に着くと、コボルトの奴隷が出て来た。
「どの様な御用でしょうか。」
「この牧場を貰いに来た。」
俺達の後ろには、35匹+1匹のコボルト達。
ちょっと恐いかもね。
「え?・・・。」
「お前は公爵家の奴隷か?」
「・・・はい。」
「んじゃ、俺の奴隷だ。」
「え?・・・。」
コボルトは何の事か分からず、キョトンとしていた。