192 ダンタリオン2
俺達はマヒロシ王国王城の謁見の間にて、悪魔ダンタリオンと対峙していた。
俺とジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワの3人は、それぞれヒッポグリフに騎乗している。
俺達を追って来ていた洗脳された騎士達は、謁見の間に入らず。リンが魔槍アムドゥスで壊した扉の外にいた。
王座に座るキオーガの姿をした悪魔ダンタリオン。王座まで続く赤いカーペット。その両脇に並ぶ洗脳された騎士達。
「ダンタリオン、騎士達の洗脳を解いて帰る事は出来ないか? 魔王と積極的に戦うつもりは無かったんだがな。降り掛かる火の粉は払うぞ」
俺は念の為にダンタリオンに聞いてみた。
「はっはっは、バカな事を言うなぁ。今は戦う気が無くとも、勇者はいずれ魔王様の前に立ち塞がるだろう。ここで死んでおけ」
まあ、あっさり手を引くとは思っちゃいなかったので、当然と言えば当然の回答だ。
しかし、何となくまんまと神の手の平の上で踊らされてる感があるんだよなぁ。
神は俺に「魔王は倒さなくても良い。好きなことを好きなようにやりなさい」って言ってたが、好きなようにやってたら、いずれは魔王とぶつかるのは必然だ。
「倒さなくても良い」って事は、「倒しても良い」って事だしな。
それにしても、謁見の間に入ってから、何だかグイグイと近付く何かを感じるんだが、多分ダンタリオンが俺達を洗脳しようとしてるのだろう。
リンをチラ見したら、リンがサムズアップをしていた。
ふむ、これってリンのパラディンガードが俺達を守ってるって事か。魔道具が無くても問題無いんだ。
ルイを連れて来ても良かったんじゃねぇ? 連れて来たら足手纏いになるから、連れて来なくて正解か。ルイは余計な事をするからなぁ。
俺がボーッと考えてたら「タクミ! どうした?良い度胸だな。俺の前で考え事か、俺と戦わないのか?」
なんてダンタリオンが言いだした。
余程死にたいらしい。
「ダンタリオン、お前の方から攻撃しても良いんだぜ」
「ちっ、掛かれ!」
ダンタリオンの指示で洗脳された騎士達が一斉に掛かって来た。
「リン、頼んだ!」
俺はリンを見るとリンは頷き、パラディンガードを解いて、『|聖騎士の浄化《Paladin Purification》』を発動した。
魔槍アムドゥスを掲げたリンの身体から、聖なる力が湧き出でて謁見の間を埋め尽くした。
騎士達は洗脳が解けて、両手を付いて打ちひしがれる。
「くっ、小癪な真似を……」
ダンタリオンは不気味な老人の姿になっていて、手に持った本のページをめくり叫ぶ。
「出でよ! 暗黒の闇からその身を現せ! 闇の龍達。」
謁見の間の四方の角に現れた4体の漆黒の龍。
「あああああ!」
「黒い龍が現れたぞ!」
「助けてくれええええ」
怯えて叫ぶ騎士達。




