184 エルダートレント2
エルダートレントに苦戦している剣聖ルイを、遠目で見ている俺と、ジャイアントハーフの聖騎士リン、ゴブリンキングのゴブマル、キラービーソルジャーのビーワンとビーツー、ゴブリンとコボルト達。
「苦戦してるね」
リンに聞くと、
「そうですね。大きく躱し過ぎる為、躱すので精一杯で、攻撃に繋がりませんね」
リンは冷静に分析している。
逃げてばっかりだから、それぐらい分かるけどね。エルダートレントの枝の数と蔦の数が多くて、その攻撃を掻い潜れない様だ。
飛び退き距離を取って息を整えるルイ。
張り切ってたからな、下手に手出しするとルイの為にならんしなぁ。
と思っていると……。
ボコッ。
ルイの足下から木の根が伸びて、ルイの足に絡み付き、そのまま上に伸びていった。
「しまったぁ!」
「ケケケケ、イイザマダナ、ヨウブンニ シテヤル」
右足を根に絡まれ宙吊りにされるルイ。
剣を振り回し、足に絡まった木の根を切ろうとするが、エルダートレントは木の根を揺らし切らせない。
身体中に蔦が絡まり、防具や服が溶けていく。
「あぁああああ」
え! 裸になっちゃうよ。
生命力も吸収されたのか、次第にぐったりとしていくルイ。
「あ! ダメっぽいね」
俺は聖剣をアイテムボックスから展開して時を止めた。
そしてルイを吊してる根を斬り払い、
エルダートレントに向かって走る。
エルダートレントを袈裟斬りで斬り倒し、聖剣をアイテムボックスに収納後、ルイの下に戻って、時を動かす。
蔦に絡まったルイが落ちてきたので、受け止めた。
「きゃあああああ!」
目を覚ましたルイが悲鳴をあげる。
そのまま、リンにルイを任せる事にした。リンは回復魔法でルイを回復させると、ルイに絡まった蔦を切り取り、アイテムバッグから、替えの服を取り出し、ルイに着せた。
ぶかぶかのリン服を着たルイが、俺の元に来て御礼を言う。
「ありがとうございました。実力不足が分かりました。修行に励みます」
「お疲れ様、普通のエルダートレントがどんなのか知らんが、あいつはBランクやAランクの冒険者が、倒せるとは思えないぞ」
「確かに、普通のエルダートレントよりかなり大きく見えました」
「だろう」
「タクミ様の言う通りでござる。通常のエルダートレントとは、比べものになりません。先程集まって来たモンスターの数も多過ぎでござった。この森はおかしいでござる」
ゴブマルも同意した。
「確かにおかしいですね」
ルイも眉を顰める。
「残り一つの依頼は、この森の更に奥だよなぁ?」
俺はルイに問い掛けると、
「はい。そうです」
ルイが答える。
「絶対何かあるぞ」
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