018 決闘2
どうしてこうなった?
フカクオ公爵の次女カノンに決闘を申し込まれて受けた。
決闘前に代理で決闘予定の『剛剣』カイトをサクッと倒して、余裕と思って居たら、暗部のジジイが出て来た。
因みに暗部の正式名称は王家暗殺部隊らしい。
俺に出来る事は、時を止めてぶん殴るだけだから、やる事やりましょう。
流石にいつの間にか、死んでました。じゃ決闘が成り立たなそうなので、白黒はっきり付けましょうか。
俺のチートスキルは『拳神』なので、素手で構える。
「武器を持って無いのか?」
ジジイは無表情で問う。
俺の情報を敵に与える気は無い。
問いに答えず。
気合い一発。
「さあ、来いいい!」
と言って、時を止める。
げっ!
俺に向かって飛んでくる短剣が、宙に浮かんでいた。
なにっ、これ!
いつ投げたんだ?
全く分からんかった。
直ぐに時を止めて良かったぁ。
ほっとした。
しかも刃が紫色の液体でちょっと濡れてる。
ど、毒?
ヤバいよ。このジジイ。
この?ジ・ジ・・・・ィ?
ジジイが消えた?
目の前に居たはずのジジイが居ない。
ど、何処に行った?
廻りを見る・・・。
居た!
俺の左斜め後ろ。
これ、毒を塗った短剣を牽制に投げておいて、回り込んで殺すつもりだったんだね。
こわっ!
今のレベルで『拳神』だけだったら、確実に殺されてました。
ふぅ。ヤバかったよおおお。
もう、滅茶苦茶にしてやる。
ジジイの両手両足をパンチで破壊する。
仰向けは、なんか怖いので俯せに倒して、馬乗りに乗って死なない程度に叩く。
勿論、毒の短剣の軌道からズレてね。
毒の短剣が誰かに当たらない事も確認しているよ。
時を動かした後、聖騎士リンに当たったりなんかしたら、目も当てられないからね。
時を動かす。
「ぐっ、ぐあああああああああああ!いががが、がぐげげええええええ!」
ジジイが悲鳴をあげて叫ぶ。
魔王の手甲は痛み100倍だからね。
そりゃあ痛いだろう。
痛みが一気に来たんだろうしね。
何て言ってるか分かんない。
後頭部を殴り始める。
何回も何回も・・・。
「う、うわあああああ。」
ジジイが泣き叫ぶ。
「えっ、ええええええ!爺いいい!」
カノンが驚き焦る。
殴り続ける。
「何で何で何でこうなったのよお!
おかしいよ。爺が負ける何て。
何か卑怯な事をしたんだわ!
騎士隊を呼んで来なさああああい!」
殴り続ける。
馬車の影に居たカノンの従者が、王城に走って行くのが見えた。
「ひぃ、ひいい。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。」
殴り続ける。
「た、助けてくれえええ。」
殴り続ける。
「も、もうやめてくださいいいい。」
殴り続ける。
「おい、お前暗部の者か?」
殴り続ける。
「・・・痛い痛い痛い痛い痛い。」
殴り続ける。
「それは言えないのかな?」
「か、勘弁してええ下さいいいい。も、もうううう殺してくださいい。」
殴り続ける。
そこに王家の騎士隊十数人が駆け付けて来た。
「こらあああ!何をしている!」