179 トレント
袈裟懸け達のデビルベアの群れが、サトウ国の配下に入る事になった。
森の中のデビルベアの生息域はサトウ国の領土として、周辺国に宣言する事にしたが、時間が掛かる事から当面は、ゴブリン達の1部が周辺に居住し、警備する形で進める。
デビルベアの群れを仲間に加えた事で、思わぬ事があった。
デビルベアは蜜蜂のモンスターであるキラービーと、共生していたのだ。
デビルベアのサトウ国参加に伴い、キラービーもサトウ国の傘下に入った。
共生している事から生息域が重複していたので、キラービーだけ傘下に入らない事になると、大変困った事になるのだが、袈裟懸けとキラービークイーンは仲が良く、二つ返事で了承して貰った。
キラービーが作る蜂蜜は栄養価も高く良質で美味、大変高価な食材だ。
期せずして、良質の食材も入手可能になった。
それはさておき、残り2件の討伐依頼を進める為、俺達は森の奥に進むのだが……。
「妾の兵隊も同行させます。何かと役に立つでしょう」
キラービークイーンが2匹のキラービーソルジャーの同行を申し出た。
2匹のキラービーソルジャーは名前が無くて不便なので、ビーワンとビーツーと言う名前をつけた。
それと袈裟懸けも討伐の同行を申し出て来た。キラービーも袈裟懸けも、この森の事は詳しいので、案内も兼ねて同行を許可した。
「ルイ、次の討伐対象は何だ?」
俺は剣聖ルイに聞いた。
「エルダートレントです」
「木のモンスターか」
ブブブブー。
「『案内する』ってビーワンが言ってるでござる」
「ありがとう。じゃあビーワンについて行こう。」
俺達はビーワンに案内されて、エルダートレントのいる場所に向かった。
相変わらず5人のゴブリン達は露払いとして周りに散って、警戒を続けている様だ。
森は背の高い木々が鬱蒼と生い茂り辺りは薄暗くなっていく。
「ぎゃあああああ。」
前方で悲鳴が聞こえた。
「ゴブリンの声か?」
ビーワンと袈裟懸けが飛び出す。
俺達も遅れて駆け寄ると、ゴブリンに蔦が絡まっていた。
顔がある大木から伸びる蔦。
周辺に散っていたゴブリンやコボルトが、蔦を斬ろうとしているが歯が立たない。
「トレントでござるな」
ゴブマルが囁く。
「クアアアアアア」
袈裟懸けが、ゴブリンを絡めていた蔦の元になっている大木に体当たりした。
ズドン!バキッ!!
大木が折れると蔦の拘束が緩まり、ゴブリンが抜け出して来た。
「はぁ、はぁ、はぁ、すいません」
生命力が吸われたのか、疲れ切った表情のゴブリンを、ジャイアントハーフの聖騎士リンが回付魔法で回復した。
「ほっ、ありがとうございます」
折れた大木の幹から魔石が顔を出しており、ビーツーがその魔石を飛んで取ってきた。
ブブブブー。
ビーツーから魔石を受け取った時、周りから不気味な音が聞こえた。
シュルシュルシュル……。
「ふむ、どうやら囲まれたでござる」
ゴブマルの声に周りを見ると、蔦が絡まった大木が周りを囲んでいた。
大木の幹にある顔が笑う。
「ケケケ、ヨウブンがオオゼイデキタゾ」
「クヒヒヒ、タイリョウダァ」
「キケケ、ウマソウダナ」
「ククク、イタダキマース」
大木の蔦が一斉に俺達に向かって来た。
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