175 袈裟懸け
森の中をウォーキングをする様に気楽に歩く俺達。
先頭のゴブリンキングのゴブマルは警戒しているが、その後ろの剣聖ルイと俺は散歩感覚で、周りの景色を楽しむ。
最後尾はジャイアントハーフの聖騎士リンだが、リンはいつも通り黙って俺の後ろをついてくる。
「暇潰しの討伐依頼は3件だけになりました」
剣聖ルイが森を歩きながら俺に話し掛ける。
「ゴブリンが討伐した分の依頼は、帰りにゴブリン達の駐留地に寄って討伐した証拠をギルドに見せよう」
「報酬も貰っちゃう?」
「ん~、別にお金に困ってる訳じゃ無いし、ランクの昇格もする気が無いから、嘘をついてまで報告しなくても良いんじゃないか。ただその脅威が無くなった事は知らせた方が良いだろう」
「まあ、それもそうね」
「で? どの依頼のモンスターが1番近そうだ?」
「レッドデビルベアの特殊固体でござる」
先頭を歩くゴブマルが、警戒しながら答えた。
「熊のモンスターかぁ。ルイが倒すのか?」
「はい。是非とも」
「分かった任せよう。危なくなったら、助けるよ」
ゴブマルが立ち止まり、鼻をスンスンした。
「ゴブリンの部隊が前方からこちらに来るでござる」
「まだ、この辺りもゴブリン達の狩りの範囲かぁ。かなり奥まで行かないとダメだなぁ」
「そうですね」
とルイが返事をしながら前方に注意を向けた。
ガサガサ……。
2人のゴブリンと3人のコボルトが、前方より草を掻き分け、歩いて来て跪いた。
革の鎧を着て、上等な剣を腰に差しているので、野良のゴブリンで無いのが一目瞭然だ。
「タクミ様、ゴブマル様、ご尊顔を拝す──」
「あー、そう言うの良いから、ご苦労さん」
俺はゴブリン達の言葉を遮る。
「「「「「御意」」」」」
ゴブリン達は跪いたまま応える。
「そんなに畏まらないで、顔を上げて立ってくれ」
「「「「「御意」」」」」
立ち上がるゴブリン達。
「このまま、タクミ様の露払いの栄誉を賜りたく──」
「固い固い、教育が行き届いているみたいだが、そんなに固い言葉使いじゃ無くて良いよ。探索は数が多い方が良いだろうから、露払いは任せるよ」
「「「「「御意」」」」」
はぁ、なおんねぇかぁ。
「獲物は何でございますか?」
「レッドデビルベアでござるよ。胸間から背中にかけて弓状の白斑を持つ特殊固体でござる」
ゴブマルがゴブリン達に説明していた。
「「「「「袈裟懸け!」」」」」
ゴブリン達は驚く。
「そう、『袈裟懸け』が獲物でござる」
どうやら討伐依頼対象のレッドデビルベアーは、『袈裟懸け』と呼ばれているらしい。
「ありがとうございます。袈裟懸けには、仲間がやられており、討伐隊を組む予定でおりましたので……」
ふむ、結構強いのかね。ゴブリン達が苦戦してるんだ。
ゴブリン達は四方に散り警戒を強める。
俺達は森の奥に進む。
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