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悪逆無道の異世界冒険記  作者: ボルトコボルト
174/192

174 森の状況

「依頼を受注する時に聞いたのだが、どうもここのギルドの討伐依頼が、極端に減っている様だ」


受付で受注を終え、戻って来た剣聖ルイが話し始めた。


「そう言えばCランク以下の依頼が、極端に少なかったなぁ。受注されたので無かったのではないのか?」


俺はギルドの依頼票が貼ってある掲示板を見た時の事を思い出す。


「そうなんです。だから私達もこんな時間に、ここで油を売ってる次第です」


『森の狩人』のリーダーキオーツも同意する。


「なんかヤバい事が起きてるのか? また悪魔関連とか?」


なんか嫌な予感がしないでもないぞ。


「いえいえ、全くそんな事はありません」


剣聖ルイは俺の後ろにいるゴブリンキングのゴブマルを見た。


何でも無かったみたい。


ゴブマルは無言で跪いている。


「ゴブリンの部隊が駐留してますよね」

剣聖ルイは俺に視線を戻す。


「ん? ああ、成る程。ゴブリン達が近隣の森のモンスターを討伐してるのかぁ!」


「そうなんです」

剣聖ルイはまたゴブマルを見た。


「それは、そうですな。拙者達も食べなければ、生きていけぬので……」


「え!! もしかして……、まさかゴブリン?」


『森の狩人』のシャマナが驚きゴブマルを見た。


「しぃー。内緒だよ」

俺は人差し指を口に当てる。


「あ、すいません」


周りを見て口を押さえるシャマナ。周りにいる冒険者達はこちらの事は気にしていない様だ。


「私がゴブリン達と移動中も、次々と仲間に加わるゴブリンやコボルト、オーク、オーガと言った亜人種がいたのですが、今でも続いているのでしょう」


「拙者達とサトウ国の噂を聞いて、近隣や遠方からも、森の亜人種が集まってくるでござる」


「人族に住み家を追われたり、同胞が襲撃されたりしていたからだろうね」


「現在この都市のギルドでは、ゴブリンやコボルト、オーク、オーガの討伐依頼は無くなりました」


「ああ、ラナが気を利かせたんだろう。冒険者とゴブリン達が争うと問題になるからね」


「森の中で亜人種と出会うので、森にも行き辛くなってますし、依頼が少なくなって、稼げなくなった冒険者が都市を出た為、冒険者の数は少なくなりました。私達も採取の依頼で何とか日々生活していますが、先が見えないので、都市を出る事を考えています」


キオーツが会話に入ってきた。


「そうかぁ。サトウ国に来るか? 歓迎するぞ」


「え! サトウ国? タクミ様はサトウ国の関係者なのですね。良いのですか?」


「良いとも、全く問題は無い。ダンジョンもあるから、それなりに仕事はあるはずだ。しかし亜人種や獣人と仲良く出来る事が前提だな」


「ありがとうございます。後程、メンバーと相談してから、決めたいと思います」


「まあ、無理はしないようにな。ところでルイ、討伐はBランク以上で森の奥にいる強力なモンスターになると思うが、ゴブマルと擦り合わせしたほうが良いかもな」


「そうですね。既にゴブリン達が討伐している可能性がありますよね。どうゴブマルさん、既に討伐したモンスターはこの中にいる?」


ルイは依頼票をゴブマルに渡す。


ゴブマルは立ち上がりルイから依頼票を受け取り確認すると、


「これとこれは退治したでござる。素材はまだ駐留地にあるはずでござる」


「あちゃー、残念。早めに行かないと、他のモンスターも退治されちゃうわね、急ぎましょう」


「そうだな」


ルイの言葉に俺達は立ち上がり、『森の狩人』に別れを告げて、森の討伐に行く。


悶絶して気絶している『黒の衝撃』の4人は床で倒れたまま……。


ギルド職員や他の冒険者は、俺達に近付かない様にしていたらしく、俺達が冒険者ギルドか出る時に、『黒の衝撃』の元に駆け寄っていた。


ジャイアントハーフの聖騎士リンが、『黒の衝撃』を回復する訳ないので、ナニは潰れたまま治らないだろうね。

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カクヨム様にて先行掲載中、

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