172 黒の衝撃
剣聖ルイが依頼を受注するのを、俺とジャイアントハーフのリンが、食堂で待っていたら、冒険者パーティー『森の狩人』に声を掛けられて、一緒にお茶をしていた。
「おい! 見ねえツラだなぁ。お前ら余所者かぁ」
お揃いに黒い革の防具を着けた4人の男だけの冒険者達が声を掛けてきた。
モヒカンの頭や髪を逆立てた赤や黄色、青の髪の毛で、黒い革の防具には、金属の棘がついていたり、髑髏の装飾が施されていたりして、昔のパンクバンド見たいな格好だ。
ちょっと笑っちゃう。
「誰だこいつら?」
俺は隣に座ってる『森の狩人』のリーダーであるキオーツに聞いた。
「Bランク冒険者パーティー『黒の衝撃』の方々です。『英雄に至る者達』とライバル関係にありましたが、『英雄に至る者達』が居なくなって、この冒険者ギルドの大将的な存在となりました」
「そう言えば、『英雄に至る者達』ってダンジョンに送ったけどどうなったんだ?」
俺はノワに声を掛けたが……。
あ! ノワはいなかったんだ。
「全員狼に喰われたと聞いておりまする」
真っ黒の装束で、顔に黒い狐の面を着けた、ゴブリンキングのゴブマルが、跪いて出現した。
「お、おう。ありがとう」
喰われたかぁ。
なんて会話していると……。
「おいおいおいおい! 俺達が話し掛けてんのに、無視するとはいい度胸だなぁ!」
怒りまくってる『黒の衝撃』達。
「俺達はBランク冒険者パーティー『黒の衝撃』! 俺はリーダーのマヨコハだぁ!」
ダン! ガシャンガシャン……。
俺達がいるテーブルを拳で叩き、陶器のティーカップが音を立てて転がる。
「俺はEランク冒険者のタクミだ」
「私はリン」
「はぁ? Eランクのひよっ子が俺達を無視したのか?」
「だからどうした? 喧嘩を売ってるのか?」
「てめぇええええええ! なんだその口のきき方は! 俺達を舐めてんのかぁああ!」
いきなり俺に蹴りをいれてきたマヨコハ。
ズドッ!
蹴った足に、リンが展開した単槍の石突きが突き込まれた。
「う゛っ! いでぇええええ」
「タクミ様に無礼な!」
リンが立ち上がる。
リンの身長は2m超、『黒の衝撃』達を見下ろす。
「何しやがる! このデカ女ぁ!」
「デ・カ・オ・ン・ナ?」
リンの顔が歪む。
あ! これヤバいぞ。リンがマジで怒ってる。黙って見てよう。
単槍をクルリと回して、穂先を『黒の衝撃』に向けたリン。
足を折られて踞るリーダーと、リンを取り囲む3人の男達。
「おうおうおうおう、俺達に歯向かって、ただで済むと思うなよぉ!」
男は斧を構えた。
「ぐへへ、全裸で土下座して、俺達に奉仕すれば許さないでもないがな」
山刀を抜いて舐める男。
「まあ、その前にひん剥いてやる。がはは」
金属バット型の黒い棍棒を構えた男。
リンは単槍を構えて、顔を真っ赤にして怒りで手が震えている様だ。
恐怖で震えていると勘違いする男達。
「おうおう、手が震えてるじゃねえか」
この斧男は俺の中で「オウオウ」と言う名前にしよっと。
「ぐへへ、大人しく脱げぇ!」
この山刀男は「グヘヘ」で……。
「脱がしてやろうか? 胸もデカそうだなぁ。がっはっは」
この黒バット男は「ガハハ」だな。
あーあ、こいつらみんな終わったな。
「バカばっか、みーんなバカ」だなぁ。
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