148 ラナ王女と再会
俺は冒険者ギルドのギルド長とある約束をして、ギルド長を解放してやり、冒険者ギルドを出て宿屋に向かった。
すると、横の店から見たことがある女性が出て来た。その女性も俺達気付いた様だ。
「た、タクミ・・・、様。」
「ん? げっ、ラナじゃないか!何でこんなところにいる?」
目の前にマヒロシ王国の第二王女ラナがいた。前回会った時は冒険者風の新品の革の鎧だったが、今はお洒落なワンピースだったので、直ぐには分からなかった。
髪もセットして、お姫様らしい雰囲気になっており、お付きの従者数人を従えていた。
「タ、タクミ様に無礼な振る舞いをした為、この国に近い辺境にある王家の別荘に押し込められたのよ。その別荘の周りの小さな領地を与えられて、中央から遠ざけられたのよ。」
「ほう、それで国を出て何でここにいる?」
「くっ、私の領地は田舎なのよぉ。都会の都市に行きたいけど、マヒロシ王国の王都には、立ち入り出来ないので、ここで羽を伸ばしているの!」
「ふむふむ。まあ、そう言う事もあるか、それじゃ!」
と言って手を振り宿に向かうと、ラナ達も後ろから付いてくる。
「ん? ラナどうした?」
「どうもしません!私が泊まってる宿がこっちなのよ!」
何を怒ってるんだ?
「無礼ですねー。殺しますかー?」
ノワが小声で俺に尋ねる。
「いや、良いから。放っておけ。」
ノワが過激になっていくなぁ。
ノワが後ろを振り向きラナをギロリと睨むと、ラナは青くなっていた。
そして宿に着くと、ラナ達も同じ宿に泊まっていたのが分かった。
「最上階が取れないと思ったら、タクミ様が泊まっていたのね!」
と悔しがられたが、スルーした。
「はぁ、何だか疲れた。」
今日はもう飯食って、温泉に入って寝よう。
宿で豪華な夕食を食べて、残念ながら期待のラッキースケベもなく、淡々と女子から温泉に入り、寝るのだった。
そして、次の日の朝。
部屋で朝食を食べたので、ラナと会うイベント等も無く、宿を出て冒険者ギルドに来た。
冒険者のみんなが依頼を受ける時間帯だけあって、Cランク以上の冒険者が出払っている割には、それなりに冒険者で賑わっていた。
俺達が冒険者ギルド内に入ると、ざわめきが静まり、冒険者達が一瞬こちらを見るが、目を合わせない様にしているのが分かる。
冒険者達の大半は、昨日の件を見ていたんだろうな。昨日の事を知らない冒険者には、俺達に聞こえない様に、小声で囁く冒険者もいて、説明しているのだろう。
そんな中で、依頼票が貼ってあるボードの前に進むと、俺達を見てボードの前にいた冒険者達が避けた。
「Cランク以上の冒険者達が出払ってるだけあって、Cランク以上の依頼が沢山あるなぁ。」
「そうですねぇ。大した事が無い依頼なので、纏めて受けますか?」
とルイが聞くので。
「そうだなぁ。特に予定も無いからそうするか。」
俺達はCランク以上の依頼の内、塩漬けになりそうな依頼を数枚剥がして、受付に向かった。
 




