120 キラースパイダーとロック鳥
俺とジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワと剣聖ルイの4人は、ゆっくりと森の中を歩く。
ノワが耳をピクピクして小声で囁く。
「10m先にキラースパイダーが3匹いまーす。木の上ですー。」
ノワの口調は緊張感無いんだよねぇ。
「分かった。」
俺は小声でノワに返すと。警戒の態勢を取り足音を消して進んだ。
リンとルイも足音を消して警戒する。
ノワが立ち止まり、木の上を指差した。
「あそこにいます。」
木の上には、体長1mぐらいの巨大な蜘蛛が3匹蠢いていた。
タランチュラと呼ばれるオオツチグモに似ている、黒褐色の剛毛で太い足。
「では、狩ってきまーす。」
ノワは音を立てずスルスルっと木に登り見えなくなった。
キラースパイダーを眺めていると、その上からドサッとノワが落ちて来た。
3匹のキラースパイダーは地面に落ちた。
ドゴッ!ドタドタッ!
その後にノワが飛び降りて来た。
「解体しますねー。」
「う、うん。」
ノワは何も無かったかの様に平然と解体を進める。
熟練の作業であるかの様に全く淀みなくテキパキと進めて、あっと言う間に解体が終わる。
「す、凄い・・・。」
剣聖ルイは唖然としていた。
解体が終わると食材と素材になったキラースパイダーを、マジックバッグに収納した。
「次に行きましょー。」
ノワは暢気に言う。
「ノワさんが、こんなに強くて速いとは思いませんでした。キラースパイダーは森の狩人とも言われていて、その類を見ないスピードが脅威であり、Aランク冒険者であっても油断すれば危険なのに、あんなにあっさりと倒すなんて・・・。」
ブツブツと呟きついてくるルイ。
その時、頭上が一瞬暗くなった。
「ん?」
リンが咄嗟に頭上に盾を展開する。
鳥?
大きい鳥が鉤爪を向けて急降下して来た。
ガツン!
リンが盾で鉤爪を受け流す。
俺は時を止めて、アイテムボックスから、聖剣を取り出す。
魔王のブーツで宙を歩き、空中で翼を拡げたままで固まる鳥のモンスターの首を切断し、時を動かす。
ドサッと落ちて来た鳥のモンスターの死骸。
間近で見るとかなり大きいぞ。
5mぐらいか。
ノワとリンとルイは唖然として、鳥を見ている。
「ノワ、この鳥はなんていう名前のモンスター?」
「え、あぁ、すいませーん。キラースパイダーの解体に熱中して警戒を怠ってましたー。そのモンスターはロック鳥だと思いますー。美味しいと言われてますよー。珍しいですねぇ、初めて見ましたー、調理しましょう。」
「ほほう、それはいいね。当分鶏肉には困らないなぁ。」
「そうですねー、食べるのが楽しみですー。早速解体しますねー。」
ノワは喜々としてロック鳥の解体を始めた。
「手伝おう!」
リンもロック鳥に駆け寄り、ノワの指示に従って解体を手伝う。
「ロ、ロック鳥・・・。そ、そんな」
顎が外れるぐらい大きな口を開けて、目を見開き凝視しているルイだった。




