103 ヨイ町にドラゴンが来た2
冒険者ケマヌが馬から降りて、俺達の元に駆け寄って来た。
「はぁ、はぁ、この前は申し訳なかった。」
「ん?ドラゴンの鱗を返す気になったのか?」
「いやいや、そう言う訳では・・・ごにょごにょ・・・そんな事より!大変なんだ!ヨイ町にドラゴンに襲われそうなんだ!」
「それで?」
あれ?反応が可笑しいぞって言う顔をしているケマヌ。
「町の住民が危ない、是非助けて貰いたい!お願いします。」
頭を下げて見えない様に、ニヤリと笑うケマヌ。
「やだね。あの町で良い思い出は無いし、お前みたいに、また分け前渡せって言う輩が現れるだろうからね。皆殺された後でゆっくり倒すよ。」
「え?何の罪も無い住民が殺されるかも知れないんだぞ!ドラゴンを倒せば名誉と大金が確実に手に入るぜ!」
「お前が助ければ良いじゃん。ドラゴンにダメージぐらい入れられるんだろう?分け前要求したくらいだし。」
「いや、俺では無理だ。」
「無理だから逃げて来たのか?」
「逃げた訳じゃ無い!ドラゴンを倒して貰う為に、タクミさんを捜しに来たんだ。」
「何だか馴れ馴れしいなぁ、お前と話す事など無いぞ。俺はヨイ町を助ける気は全く無い!だからお前は直ぐに町に戻って、住民の為にドラゴンと戦って来い!」
「う・・・。」
そこにもう1人冒険者が馬に乗って駆けて来た。
「タクミ様、ヨイ町にドラゴンが、現れました。是非お力を貸・・・。ん?ケマヌ!何故お前がここにいる!」
「タクミさんにドラゴンの討伐をお願いしに来た。」
「馬鹿か!お前はタクミ様に嫌われているんだぞ!お前が頼めば、上手くいく可能性が低くなるだろうがあああ!サッサと町に戻って防衛に加われ!」
「う・・・。」
「そうそう。俺もサッサと帰れっていてるんだけどね。これ以上ここにいるなら、ぶっ飛ばす!」
俺はケマヌを睨んで威圧を放った。
「はひぃ、あぁぁぁぁ。」
怯えて後退るケマヌ。
「サッサと帰れ!!!」
「はひぃぃぃぃ。」
ケマヌは乗ってきた馬に向かって逃げた。
「私はBランク冒険者のトムロと申します。ケマヌから話を聞いていると思いますが、助けてください。」
「断る。ヨイ町が滅ぼされてから、ドラゴンを倒す事にした。これ以上ここに居るならお前もぶっ飛ばす!」
「は、はい。すいません。もう帰ります。気が変わったら助けてください。」
トムロは馬に乗って町に戻る。
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トムロが馬に乗って町に向かうと、トボトボゆっくり馬を歩かせているケマヌがいた。
「何チンタラ歩いている!早く町に戻るぞ!一緒に来い!」
「は、はい。」
ケマヌはもう逃げられない事を悟った。




