表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ペットの名前。

作者: KEN

今から25年ぐらい前、僕が二十歳の頃に飼い始めた犬の名前が『マリ』(シェットランドシープドック)で、偶然にもその頃に僕が好きになった女性の名前も『真理ちゃん』だったので少し驚いたのを思い出しました。


マリって名前は僕が付けた名前でもなければ、家族の誰かが付けた名前でもありません。


マリが実家にもらわれて来た時にはすでに成犬になっていたので、誰がマリの名付け親なのかは不明、その代わりに『四軒程の家をたらい回しにされた挙げ句に、我が家に引き取られた』との事情は知っていました。


マリはたらい回しにされた内の一軒のお宅、老夫婦で二人暮らしをしていたお宅に飼われていた時期、そのお宅のお爺さんは大の犬好きでマリを大変に可愛がっていたのに、お婆さんが大の犬嫌い、いつもマリを見るとホウキを持って追い回していたと、その経験からマリは僕の家に来てからも、家族の誰かがホウキ持つと必ず尻尾を巻いて後ずさりながら、姿勢を低くして牙を剥き唸っていた・・・


それと、僕の家に来る前は小さい子供がいる親戚の家で飼われていて、その家では子供にオモチャみたいに遊ばれていたのが原因で子供嫌いになったらしく、僕の家に来てからも子供を見ると牙を剥いて威嚇する癖はいつまで経っても治りませんでした。


そんな経緯を知っている家族みんなは



「マリにとってはこの家が最後の家にしてあげよな」



と話し合い、元来が犬好きな家族だけに、何年ぶりかに家に来たワンちゃんのマリを凄く可愛がり、マリもすぐ家族みんなにとけ込んだけど、元来は寒い地方の牧羊犬を屋内で飼っていたせいで、家中のカーペットがマリの毛まみれになるのだけは、家族みんなで顔をしかめていたのも本当のところです。


それで今日の一番に書きたかった内容、マリが家に来てから2年ぐらい過ぎた頃、ある冬の日に僕がインフルエンザにかかり高熱にうなされながら、誰もいない家で一人寝ていると、マリが僕の枕元をウロチョロ・・・ゴソゴソ・・・


と、あっちに行ったりこっちに来たりとしているので「何をしているのかな?」と思って枕元を見ると・・

何故か僕の枕元には山積みになったドッグフードが・・・

v

この時にすぐ「マリは病気の僕を心配して自分のエサの容器からせっせとドックフードを運んでくれていた」と気付き、マリが一生懸命に運んでくれたドックフードを食べた僕はすぐに高熱も下がって元気復活!


なんて事がある訳もなかったけど、首をかしげてキョトンとした顔で僕を心配してくれているマリを見て


「ありがとう・・・でも俺はドックフードを食べられへんねや・・・」


と説明しながらも、マリの人間以上に思えた優しさには、心だけにも元気が復活したと思います。


そんな感じで家族の一員となったマリも15年程前に他界しました・・・



実家にもらわれ来てから10年程でしたが、マリにとっても、家族にとっても、心から幸せな時を過ごせたと思います。


ちなみに僕が好きになった『真理ちゃん』は、僕の中学校からの親友と結婚をし、現在は3人の母となって、家族5人で幸せに暮らしています。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ